「おはよがんす」−おはようございます。 |
「おばんでがんす」−こんばんは。 |
「ごめんくなんしぇ」−ごめんください。 |
「おやすみんしぇ」−おやすみなさい。 |
「たなぐ」−運ぶ、持つ (例)このつぐえおもでがら、一緒にたないでけろじゃ。 (訳)この机重たいから、一緒に持ってくれない。 |
「とのげる」−どかす (例)そごの大きな石、じゃまだがらとのげでけろ。 (訳)そこの大きな石、じゃまだからどかしてください。 |
「なぎつめたでる」−かっかとなる (例)そったに、なきつめたでではだらがなくてもいがべや。 (訳)そんなに、かっかとして働かなくてもいいのに。 |
「ぬさばる」−あまえる (例)このわらす、ぬさばってこまるおや。 (訳)この子供、甘えてばかりで困るんです。 |
「たんぱら」−短気 怒る (例)パチンコにまげだがらって、たんぱらおごすな。 (訳)パチンコに負けたからといって、おこるなよ。 |
「がりっと」−しっかりと、きつく (例)うぢのわらす勉強しねがら、がりっとおごってもらわねばね。 (訳)家の子供勉強しないから、きつくしかってもらわないといけない |
「わったわったど」−ばたばたと (例)ややや、きゃぐいっぺきたがら、わったわったどはだらいで こぇぐなったじぇ。 (訳)あぁあぁあ、お客さんがたくさん来たので、ばたばたと働いて 疲れてしまったよ。 |
「あらがだ」−だいたい、そろそろ (例)ビール10本目?あらがだいいんだな。 (訳)ビール10本目?そろそろ終わりにしないと。 |
「はっけ!」−冷たい! |
「ひょんたな」−へんな、おかしな (例)髪あがぐしたひょんたなわらすきた。しょすぐねんだえが? (訳)髪を赤くしたおかしな若者が来たぞ。恥ずかしくないんだろうか? |
「まがす」−こぼす (紫波町藤田せいこうさんの作品) (例)おつゆ、まがしたじゃ (訳)味噌汁(汁物)をこぼしてしまった |
(其の一)宴会の席での会話 「あいづ、さげのむど、なんちょになるのや。」 「んだな、さいしょはあ、えれぇやづさおへずれまげでるけどよ、 だんだんに、くぐっつぐなってきて、やんべいぐなったどぎはあ、 ほんずねぐなってくるが、ごんぼほるのよ。」 |
(其の一の解答) 「あの人、酒飲むと、どんなふうになるの?」 「そうですねぇ、最初は上司(先輩)にお世辞を言ってる(ごますってる) けど、だんだんに、くどく(偉そうなことや普段の不平・不満を言う)なっ てきて、酔いがすっかりまわった頃(本人がもうこれ以上お酒を飲めな い、周りから見てもう飲まない方がいいという状態)には、訳が分からな くなる(泥酔状態になり、意味不明の言動をしたり、具合を悪くして、他の 人に迷惑をかける)か、人にからんでくるんだよ。」 |
(其の二)農家の軒先でおじいさんとどっかのお父さんの会話 「おめほのわらす、なんちょなやづだ」 「うぢのわらす、かっきねぐ、じょっぱるおや。 ひょんたなどご、 かがぁさにで、やんたぐなってくるおや。」 |
(其の二の解答) 「あなたの家の子どもはどんな子ですか?」 「うちの子供はかなり強情っぱりで、おかしな所が女房に似て嫌に なってくる。」 |
(其の三、解答も併せて)岩手の県北で<短文> @「わぁ、きも、やげできた。」−−「私、腹がたってきた」 A「んな、そったにこつけるな。」−−「君、そんなにふてくされるなよ。」 B「机、くばってけろ。」−− 「机、運んでくれ」 C「やんびゃあ。」−−「やりましょう。」 D「まんず、ねまって。」−− 「まず座って」 |
(其の四)帰省してご両親にあいさつ 「今、帰りあんしたぁ。こうそぐこんででぇ、べっこおそぐなったけ どぉなんとが、けってきた。」 「じゃぁ、おんづさんもおんばさんも、かわりねよーでぇ、いがった、 いがった。」 「わらしゃんどど、一週間くれぇ、とまってぐごどになるごった。もう さげぇねども、たのむっちゃ。」 |
(其の四の解答) 「こんにちは。東北道が混んでいて、少し時間がかかりましたが ただいま帰りました。」 「おとうさん、おかあさんも元気で何よりです。」 「子供たちと一週間ほどお世話になります。宜しくお願いします。」 |
(其の五)法事で私とよそのおばあさんとの会話 「そごのあんこ、こんびり、おあげんせ。」 「したら、でごどたまなのがっこ、ぺっこもらうがぁ」 「のごしても、いだますねがら、まんまどおづげも、かねがぁ。」 「なんぼしたって、そったに、けねじゃ。」 |
(其の五の解答) 「そこのおにいさん、小昼(こびる)食べてください。」(こびるとは 昼食前の腹ごしらえ。おやつともニュアンスが違う) 「じゃぁ、大根とたまな(キャベツ)の漬物を少しいただきます」 「残してももったいないから、ご飯と味噌汁も食べませんか?」 「いくらなんでも、そんなに食べれませんよ」 |
このようなフレーズ、言葉って半分死語になっていますよね。 地元の若者や子ども達に話しても、首をかしげられるだけで すよね。 でも、その場の雰囲気にぴったり合うのが方言のよさですよ ね。また、自分の本当の気持ちを語れるのも方言でないとで きないような気がします。 そういう意味で、方言とは私にとっては決してなくなってほしく ない「愛すべき言葉たち」なのです。 |