第5回 文芸と書の世界展(3)

   書人・酒井青楓   文人・峠谷光博 (詩)   
石畳の上でまだ滑らかな/表皮を持て余す/底で静かに滑る 自由に/目が塞がれる/縁は割れていた 清潔な/斜線を打ち消し/震える四肢
           「静かな裂け目の揺れ」より

  書人・鈴木游螢   文人・なかい多麻 (詩)
ひとつ/紺青に拡がる放射線/極限の厳しさにある父が告ぐ
          「花火」より
    書人・鈴木游螢   文人・小笠原洽嘉 (児童文学) 
きみたちが立派な/大人になるころ/まゆ同人は/糸の中でやすらかに/死んでいくもの。
          児童文学同人誌「まゆ」創刊号の巻頭詩より
   書人・前田游夏   文人・小笠原洽嘉 (児童文学)
何を食べるの くわの葉だよ。少しは大きくなった? そりゃ でもね、そんなに いっぺんに大きくなるなんて、できないんだよ。楽しい? 何が? 毎日のいのち フン 生意気な 虫だって楽しい毎日があるんだよ。
          「まゆ」より
   書人・高橋魁山   文人・阿保直満 (随筆)
村は雪が多い。湖岸の道を走っていて、村が近くなると必ずと言っていいくらい雪になる。
          「こわい話 (二)」より
   書人・田中芳泉   文人・横田ていいち (小説)
そう言えば 今日は金曜日だった。僕が本当に一つの恋を終わらせた日に、ふさわしい曜日だ。
          「僕が恋を終わらせた日」より
   書人・田中芳泉   文人・仁岸 巴 (随筆)   
ふるさとは、近くにありて。思うもの
          「母恋の町」より
   書人・前田游夏   文人・櫻井幸子 (俳句)  
海霧の這う天界となる峠かな
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   書人・山本紅流   文人・片石惠泉 (川柳) 
春風にのって飛びたいくつがある