魔法の性奴隷の宿敵の分身
ひみつのまきちゃん |
「ふたりのちづるのひみつ」
「コ〜〜ホ〜〜〜」(←ウォーズマン式呼吸音)
おびただしい血溜まりと濃厚な血臭の中、ゆらりと立ち上がる謎の天狗仮面…。
「コ〜〜ホ〜〜」
青いシャツとスパッツの上にまとった白い胴着には所々に飛び散った返り血が染み…、
「コ〜〜ホ〜〜」
シャツとスパッツに合わせたブルーのグローブからは、生温かい血がしたたり落ちています。
「コ〜〜ホ〜〜」
そして視界が歪むような強大なオーラをまとう姿の後ろに屍を晒す舞の姿は…。
「コ〜〜ホ〜〜」
ああ…何と言うことでしょう。あまりの惨状に全身にモザイク処理が…。
「…クックック…、裏切り者は絶対に許さないッチ…」
百戦錬磨のちづるズも予想外の事態に混乱と焦りを隠せません。
「ユ…ユリ…サカザキ…なんで」
呆然と呟くちづるに音もなく姿を現した分身が応じます。
「…この強大なオーラ…。間違いない…先程のとてつもない気弾を放ったのは彼女のようね…」
「クッ、信じられないわ!わたしたちがここまで威圧感を感じる相手なんて…」
「女格チームでも龍虎チームでも彼女はただの先鋒格…」
「侮れないとは言ってもこんなムチャクチャな力を持ちうるはずがないわ!そうでしょッ?」
「…そうね」
「ハッ!?…まさかオロチの血族っ!?」
「…い…いえ、違うわ」
「…一度あの男と相まみえたわたしにはわかる…」
「…この力はオロチとは異種のモノよ。」
「…だけど…」
「え…だけど…?」
「わたしにも信じがたいことだけど…」
「あの天狗はゲーニッツより危険だわ!」
さて、こちらは平静を取り戻したキング…。
恐る恐る天狗仮面に話しかけます。
「…え、えーと…」
「て…天狗…のお面付けてなにやってるの? ユ…ぐぼはっ!」
いきなり強烈なボディーブローを喰らい、体をくの字に折れ曲がらせるキング。
悶絶するキングに天狗女がそっと耳打ちします。
(…おっと、お姉さま…。その名前は今は秘密ッチ…)
(…ゆ…ユリ…ア…アンタね〜)
「えっ!? キングさんがやられたわ」
「なんなの!一体何なの?」
既に恐慌状態に近いふたりに天狗女が視線を向け、いきなり大声で名乗ります。
「はーはっはっはっはっは、わたしの名はみすからて!」
「ハァ?」
「えっ?」
「わたしは謎の美少女空手家、みすからて!」
「え…、何を言って…。あなた、どう見てもユリ・サカザき…って、ぐぼはっ!」
言葉を言い終わるか終わらないかのうち…、いきなりちづるは下腹部に強烈な衝撃を受けて悶絶しました。
見下ろすとついさっきまでキングの側にいたはずの天狗女が、
斬影拳フォームで自分のみぞおちに肘鉄を深くめり込ませています。
「お…お…お…?」
「みすからてだッチ!」
(い…いつの間にあそこまで…。ぜ…全然見えなかったぞ)
「まさか…し…神速の祝詞…」
「お…お…お…お…」
(…いや、わたしたちの技とは違う…)
(…純粋なスピードのみでこの距離を一瞬で詰めてきたのか…)
(…一体どういうスペックなの? 信じられない…)
「おろえええええええええええええええええええ」
「つーか吐いてるし…」
………
テロップ「お見苦しいシーンにより一時放映を中断させていただきます」
………
………
仕切直し
………
「うっぷ…」
「…というわけで、この謎の最強美少女空手家のみすからて!」
「義によりキングさんに助太刀するっチ!」
「だからカッコも声も(ついでに口癖も)普通にユリさんじゃない…って、ぐぼはっ!」
………
またしても放映中断中…(花畑のイメージ映像とクラシック音楽)
………
「くっ、わかったわ。ユリさ…」
ぎろっ(←ガンつけ)
「ヒィィィィッッ!! じゃッじゃッじゃッじゃなくてミス・カラテさんッ!」
「あなたの強さ…。素晴らしいわ…」
「その力、是が非でも手に入れたくなってきた!」
「キングさんと一緒にあなたもわたしが支配してあげるッ!」
「フン、ユ…じゃなくてカラテがいればこちらに負ける要素はない」
「お前を打ち倒し、舞もこの手に取り戻してみせるさっ!」
「そうだよ!香澄さんと舞さんのカタキ!思い知らせてあげるわ!」
「こらッ、そこの天狗!どさくさにまぎれてテキトーな事言ってんじゃない!」
「舞をボコにしたのはあなたでしょーが!」
(…さ…さすがユリだ…)
「ふん、二人いるからっていい気にならない事ね」
「チーム全員を一人で相手にするハンディキャップマッチはKOFボスの宿命…」
「一人欠けているあなた達など物の数ではないわ」
「まとめて相手してあげる…。かかっていらっしゃい!」
「フン、面白い…。さあ、遠慮無く行くよッ!ベノムストライクッ!」
「今さら飛び道具など小賢しいわ」
「払うッ」
その言葉通り袖を大きく翻し、放たれた気弾を反射させるちづるですが、
既にキングは次弾の動作に移っています。
「ダブルッ!ストライクッ!」
「クッ、玉響の瑟音では返しきれないッ」
せっかく跳ね返した気弾はダブルストライクの初弾に相殺され、残った2発目をたまらずガードするちづる…。
「よし、カラテッ!」
「わかってるッチ!」
そしていつの間にかちづるの後方に回り込んでいたカラテが、ガード硬直の隙を突いて突進して来ます。
「しまった!」
「遅いよ!」
一気にちづるの襟首を捉えて高く抱え上げるカラテ。
「ビビビのねずみ男直伝ッ!」
「百烈ビンターッ!」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
「…ん…?」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
「…終わらないぞ…」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
「…ま…まさか…ホントに百発…」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱんっ
「オラッ(←兄譲り)、フィニッシュッチ!」
すぱあんっ
えらく長い間張られまくっていたと思ったら、最後に景気よく叩かれて吹き飛ぶちづる。
両頬を抑えながらゆっくりと立ち上がってきます。
「や゛っ゛…や゛っ゛た゛わ゛ね゛〜〜〜〜」
見るとその両頬はぷっくりと大きく腫れ上がり、ちづるは思いっきり涙ぐんでいます。
「え゛〜ん゛、い゛っ゛…い゛た゛い゛よ゛〜〜〜」
(…うっわ、痛そー。…でもちょっと可愛い…)
さすがに痛ましい姿にたじろぐ…というか、思わずひいてしまうキングですが、
カラテはお構いなしで手をぐるぐると大きく回しはじめて追撃の準備に入っています。
「みすからてっ!」
「ちょ〜〜〜ナッコーーー!」
左腕を大きく伸ばし、飛燕疾風拳で突撃するカラテ。
「させないわッ!」
しかし瞬間、分身ちづるがちづるを護るかのように眼前に立ちはだかり…。
「エッ!?」
「何ッ!?」
「そのチカラッ!封じますッ!」
カラテの超なっくるの下方をかいくぐるように、低い姿勢から渾身の鋭い突きを合わせてきました。
二人が交錯する瞬間、一瞬青白い閃光が迸ったかと思うと…。
「がアッフッ」
まともにカウンターをとられ、キリモミ状態で大きく弾き返されたのはカラテの方…。
「…ゆッ、ユリッ!」
「いやっ…カラテッ!大丈夫か!」
「……ハッ!?これは…」
慌てて駆け寄るキングに、お腹をおさえながらむくりと起きあがるカラテが答えます。
「…う…うう…、さすがに今のは効いたッチ…」
「…ゆ…ユリ…お前…面が…天狗の面が割れているぞ…」
「お姉さま!その名前は秘みッ……えっ!?」
慌てて顔に手をやり、露出した顔面を確認するユリ…。
見ると天狗面は中心からまっぷたつに割れて膝元に落ちています。
「…しかもその身体…」
「なにか全身が青く光っているが…」
「…う…うう…、おかしいッチ…」
「な…なんだか力が片っ端から吸い取られていくみたいで…」
「…裏面八拾五活・零技の礎…」
「その青い輝きはあなたの気力を奪い続けます」
「…ユリさん、あなたの力は危険すぎます…」
「…わたしの霊力をもってその力を封じさせていただきました…」
「な…なんだってーーー!?」(←キバヤシ風)
「な…なんだっチーーー!?」(←キバヤシ風)
「…もっともわたしの力を全て注ぎ込んだ一撃をもってしても…」
「その強大な力を完全に封じるには至らなかったようですが…」
「…お前は…一体…」
「…はじめまして、キングさん…」
「…わたしの名は神楽マキ…。ちづるの姉です…」
「な…なんだってーーー!?」(←キバヤシ風)
「な…なんだっチーーー!?」(←キバヤシ風)
次回予告です↓
舞「なーんか前回と全く一緒の終わりかたじゃなーい?」
香澄「そうですね。前回は天狗が出てきて終わり。今回はお姉さんが出てきて終わりですか…」
舞「ダメね。落第ね。失格ね。不合格ね」
舞「なーにがダメかって?」
舞「その場に倒れてるはずのアタシたちが全っ然出てこないじゃない!」
香澄「ずーーっと倒れてるのも、これはこれでしんどいんですけどね」
香澄「一応、今回は一気に最後まで書ききるつもりだったんだけど…」
香澄「分量的に長くなりすぎたんで一回区切ったみたいです」
舞「フーン、アタシとちづる様の絡みの時と一緒ってワケね」
香澄「ところでユリさんってあんなに強かったんですか?」
香澄「いや、極限流の強さについてはこれでも詳しいつもりなんですが」
香澄「あれほどの凄まじい攻撃力を見せつけられてはとても勝てる自信が持てなくなりました…」
香澄「このままでは打倒極限流など夢のまた夢…。修業し直さないと…」
舞「いや、ユリちゃんの場合は特別だから…」
舞「彼女、普通の人なら何十年もかかる極限流の奥義を、BIGにさらわれた後のたった1年で極めて…」
舞「しかもバーンナックルだろうが、昇竜烈波だろうが、電刃波動拳だろうが…」
舞「一度見た技は自分のものにしてしまうという翼くんも真っ青の天才少女なのよ」
舞「ルガールの初期案では相手の使った技をその場でコピーする能力を持ったボスキャラだったそうだけど…」
香澄(…いや、ルガールって言われてもわたしその人知らないんですけど…。まあいいか)
香澄「いわゆるマーブル対カプコン2のローグみたいなキャラクター仕様ですね」
舞「そうね。結局容量の都合でその案はポシャって、烈風拳とカイザーウェーブが名残として残ったみたい」
舞「まあ、そういうわけでユリちゃんにかかればルガールだって立場無しということで…」
舞「彼女に関してはあまり気にする必要はないわ。追うだけ無駄なのよ」
舞「そもそも彼女の強さに極限流なんてほとんど関係ないし…」
香澄「えっ」
舞「だって極限流なんてまるで覚えてない時点で、あのMr.BIGを半殺しにしたらしいわよ…」
香澄「あはははは、まさか…」
舞「本当よ。つまり彼女は強くなるためじゃなくて、強さを制御するために極限流を習ったみたい」
香澄「し…しかし…」
舞「…そ…そうね…アタシに対するあの容赦のない攻撃…」
舞「…全然制御出来て…ないわね…。そろそろあたしも喋るのが辛くなってきた…わ…」
香澄「ま…舞さん? だ…大丈夫ですか!」
舞「な…なんか思い出が走馬燈のように…。…あ…あ…川の向こうにお花畑が…」
香澄「え?あれ?そ…そんな?」
舞「…………………」
香澄「ま…舞さん、しっかりして下さいっ!舞さんっ!」
舞「…………………」
香澄「舞さーーーーーーーーーーんっ!!」
次回、魔法の性奴隷 ひみつのキングちゃん
「つるはせんねんかめはまんねんのひみつ」
期待せず待てッ!!