神楽流古武術を冒涜するのはヤメロ!

 

謎の魔法の性奴隷

ひみつのテングちゃん

 

「みすからてのひみつ」

 

 

 

「は〜」

「龍炎舞ッ!!」

「ヒッ!?きゃああああ!」

「…か、香澄ィッ!」

「…ま、舞…。…お、お前…、一体何を…」

「…まずはひとり…。ちょろいものね」

倒れ伏す香澄を見下ろしながら、信じがたいセリフを吐く舞。

その顔はキングが今まで見たこともないような、酷薄な笑みで彩られていました。

「ま…舞が香澄を…」

突然の信じがたい事態に呆然とするキングに、舞は凍り付くような視線を向けてきます。

「うふふ…キングさん…」

「ちづる様の野望を阻む最大の障害…ようやくあなたを葬り去ることができる…」

「舞…何を言って…。えッ? ちづる様だって!?」

「さあ、いくわよッ!ひとーつ、ふたーつ、みっつぅッ!!」

「クッ!?ま・・・、舞!?」

立て続けに飛んでくる花蝶扇をかろうじてかわしたキング・・・。

しかし…。

「甘いわねッ!」

「なッ!?あくッ!」

突然背後にあらわれたちづるの攻撃をまともに浴びてしまいました。

「…チィッ!」

「…うっ?」

素早く体制を立て直し、反撃に転じようとするキング。しかしすでにちづるの姿はありません。

「ふふふ、どこを探してるの?わたしならここよ。」

「!?ッ」

「どうしたの?わたしならここから一歩も動いていないわよ。」

その言葉どおり、ちづるは何事もなかったかのように、もといた場所にたたずんでいます。

(…バカな?…やつはたしかに今ここまで…。しかもまったく気配を感じなかった…)

「フッ、神楽流古武術・・・。弐百拾弐活・神速の祝詞…」

「わたしにとって、いかなる間合いもゼロに等しい…」

「お〜」

「ほうら、行くわよ!舞!」

「はいッ!」

「えっ?」

「ムササビの舞ッ!」

「ぐ、ああっ」

「ほらこっちもっ!」

突然の上空からの攻撃をまともに浴び、思わずのけぞるキングに、凄まじい速さでちづるが突っ込んできます。

「打つッ!」

「がフッ」

シュンッ

(!?・・・なッ、消えた!?)

そう、急速に接近、腹部に強烈な打撃を与えたちづるは、そのままキングの目の前で忽然と姿を消したのです。

舞とちづるの強烈なコンビネーションの前に、ゆっくりと地に伏すキング。

(…うう、やつの技は一体…。…ぼ、亡霊か…?)

うずくまるキングの前に、ゆっくりと歩みを進める影・・・。

「…ま、舞…」

「ふ…」

呆然とするキングに冷たい笑みの一瞥をくれた舞は、

襟元に手をかけると一気にキングを引き起こしました。

「い〜い気分だわ。キングさん…」

「あなたを憎めば憎むほど…」

「龍炎舞ッ!」

「うわーーーん」

「あなたを痛めつければ痛めつけるほど…」

「陽炎の舞ッ!」

「いやーーーん」

「快感がアタシの体を駆けめぐる!」

至近距離から立て続けに必殺技を喰らい、炎に包まれて倒れ伏すキング…。

「ほォら、もうイキそうよ! オーッホッホッホッホッホー!」」

いやらしく舌なめずりをした舞は、倒れ伏すキングを大きく蹴り飛ばし、

言葉通り、恍惚に身を震わせ高笑いを続けています。

そしてそれを眺めてでほくそ笑むちづる様…。

(ふふふ…、そういう風に舞を洗脳したのは何を隠そうこのわたし!)

(キングさんを攻撃するたびに幸福感と快楽を感じる舞に、もはや躊躇はあり得ないわ)

 

一方蹴り飛ばされてみじめにはいつくばるキングは、

そんな舞を見て絶望に涙を浮かべていました。

「しょ〜」

(…ゆ…夢じゃない…。舞が本当にわたしを、…倒そうとしている…)

(…さっきまで一緒に闘っていたのに…。側で笑っていてくれたはずなのに…)

(あんな怖い笑いじゃない…。もっと明るく優しい…)

(わからない…、なにもわからないよ…)

(ユリ…舞…香澄…。誰もいない…)

(どうなってるんだ…。わたしはここで一人で何をしているんだ…)

それでも涙を振り払って立ち上がったキングは、舞から視線をそらし、

後方に佇むちづるを睨みつけました。

「…くっ、…ち、ちづるゥッ。一体どういうことなんだッ。」

「…答えろッ!舞に何をしたァッ!」

 

「ふふふ、いい気味ね。キングさん」

「舞に何をしたですって?」

「何でもしてあげるわよ?だってわたしは舞を愛しているのだもの…」

「ああ…ちづる様」

ちづるの言葉を受け、憎悪から一変、至福の笑みを浮かべる舞…。

「舞はわたしのかわいい奴隷。この神楽ちづるに身も心も捧げた忠実な戦士…」

「わからない?舞は最初からわたしの命を受けてあなたのチームに参加していたのよ?」

「ふふふ、そうですわ」

「アタシはちづる様の命令を忠実に果たすため、あなた達と行動を共にし、内情を探っていただけ…」

「…でなければ誰が憎いあなたとチームメイトになんかなるものですか!」

吐き捨てるように独白する舞を見て、ちづるは満足そうに頷きます。

そして対照的に固く目をつむりがっくりと項垂れるキング…。

「ふふふ…、可愛い事を言ってくれるのね、舞…。あなたを手元から離すのはわたしも辛かったわ…」

「こ〜」

「ちづる様…。嬉しい…」

舞がちづるに向ける熱っぽい視線は狂信に満ち、病的なものを感じさせます。

「や…」

まるで愛を確かめ合うような舞とちづるの言葉の交わし合い…、

「やめろ!」

それは容赦なく吐かれる自分への決別や背信より、よほどキングを打ちのめすものでした。

「ちづる、わたしはお前を倒すっ!」

ここに至り、舞の心が完全にちづるのものであることをはっきり思い知らされてしまったキングは…、

普段のクールな姿からは考えられない激高をもって必殺のイリュージョンダンスを仕掛けます。

安易に放たれた遠距離からの突進技にも関わらず、無防備に待ち受けるちづる。

しかしキングの初段がヒットする直前、いきなり前面にもう一人のちづるが現れました。

「断つッ!」

「な、何っ!?」

ガガガガガガガガガガガガッ

「きゃーーーーーーーーーーっ!」

何が起こったのかもわからず激しい衝撃とともに上空に巻き上げられるキング…。

12Hit!

まともに浴びた対空技の衝撃に吹っ飛ばされたキングの体は、

一瞬のうちにズタズタに引き裂かれていました。

「ふっ…、百活・天神の理(ことわり)…」

「う…ボ…ボス対空…」

「ふふふ、そうよ…。まともにヒットすれば体力の6割を奪うわ」

「もちろん完全無敵」

「美しいですわ…、ちづる様」

「く…くそ…、グ…ぅ……」

激しい痛みにキングはまたも倒れ伏してしまいました。

完全に沈黙した香澄と涙を流し跪くキングに、笑みを浮かべつつ彼女を見下ろすちづると舞…。

キングの体力ゲージはまだわずかに残っているものの、

その光景は残酷なまでに勝者と敗者の陰影を浮かび上がらせていました。

 

(ついにこの時が来たわ!)

(すべての希望を失い、キングさんの精神はもう崩壊寸前…)

(あとはわたしの術にかければ、拠り所を求める彼女の心は必死にわたしにしがみつくはず…)

(舞よりも簡単に事は運ぶはずね)

(しかしこのスタジアムの明るさと広さではさすがに術はしかけられない…)

「舞…」

「はい、ちづる様」

「キングさんにとどめをさしてあげて…」

「わたしの部屋に彼女を招待するのよ」

「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」

 

「フフフ…、ちづる様のご命令がくだったわ」

「もう楽にしてあげるわね、キングさん」

再びキングに向い歩みを進める舞…。

(…くッ、もうダメか…)

「さあ、とどめよ!」

(ごめんね…舞…)

「不知火最終奥義ッ!」

(ごめん…ね………ユ…)

「レオタード忍びば…「ケーーーーン!」

「ち…えっ?」

(リ…えっ?)

「は…えっ?」

「イライザ?」(←違います)

 

どがーーーーーーーーーーーーん
 「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」(←爆音にかき消される悲鳴)

 

瞬間、耳をつんざく轟音(と悲鳴)。

今まさに最後の奥義を繰り出そうとしていた舞を中心に、突如凄まじい閃光が爆発しました。

凄まじい光量と爆風に思わず目を伏せたキングが怖々と目を開くと、

そこには目の前に立ち塞がっていたはずの舞が黒こげになってつんのめっています。

忍装束は背中を中心に大きく焼け落ちて、背中とおしりは丸出し状態、

中身は火傷で赤く腫れ上がってぼろぼろです。

「ま…舞…。…こ…これは一体…」

「…い…今のは!? いっいっい…一体、なにが起こったのッ!」

「気弾…。今まで見たこともないようなとてつもない気力の固まりが舞を直撃した…」

「…しかし、こんな…カイザーウエーブさえ遙かに凌ぐレベルの巨大な気弾。しかも…」

「気弾ですって!?一体どこから?」

(あの桃色の閃光…、そしてあの声…)

「あまりに弾速が速くて見極めづらかったけど、あちらの方から…」

既に残骸と化したスタジアム…、かつて選手の入場ゲートがあった方向を仰ぎ見る分身ちづる。

そこにはおぼろげにうかびあげる謎の人影が!

「あれは!」

 

「いィやァーーーーーーーーーーーーーーー!」

突然、かけ声とともにキングの元に全力疾走してくる謎の人。

「な…何? こちらに来るのか?」

いきなり爆走して来た謎の人に驚き慌てて構えを取るキング。

しかしアラレちゃんのような勢いで突っ込んできた謎の人は、

キングの目の前をそのまま走り抜けると、ずずっと体を沈め…、

「ちエストーーーーーーーーーーーーーー!」

なんと後ろに倒れている舞に思いっきりスライディングキックを喰らわせました。

ごろごろごろーーーーーと彼方に転がっていく舞の無惨な死に体…。

…を、なおも追う謎の人は追い打ちの馬乗りバルカンMAX八稚女でさらにとどめを差しに行きます。

「うオオおオオオオッッッッ(←例の初号機喰い)

口あんぐりのダブルちづるを尻目に、慌てて止めに入るキングちゃん。

「おい、待て待て待て待て、待てーーーーーーい!!

「死ぬ!舞が死ぬ!やめろ、こらッ!…って、うわ、キャーーーーーッ!

バリバリ囓りつく謎の人の肩に手をかけ強引に振り向かせたキングちゃんは、

その顔を見てガラにもなく女の子みたいな(←失礼)叫び声を上げてしまいました。

なんとその顔は…

 

 

 

 

 

 

天狗だったのです。

 

 

 

 

 

 

 

次回予告です↓

キング「はぁーーーーーー、なにはともあれよかったねえ」

ユリ「ウン、ウン、このまま終わっちゃうかと思ったッチ」

舞「てゆーか、アタシは完璧に諦めてました(笑)」

舞「間隔開けすぎて、作者の記憶も完全にあやふやになってますしね」

ユリ「そもそも舞台は96年の大会だからぁ、うわ、なんと8年も前の話になりますね」

キング「SNKも潰れちゃったし、ネオジオも終わったし…」

キング「ハア…」

ユリ「ハア…」

舞「ハア…」

キング「ま…とにかく次回のアップは早いはず…って、作者は言ってる」

ユリ「信じない!」

舞「信じない!」

ちづる「信じない!」

分身ちづる「信じない!」

香澄「信じない!」

キング「あ…あはは、あんたたちもいたんだ…」

キング「うん、わたしももちろん…」

キング「信じない!」

 

 

次回、魔法の性奴隷 ひみつのキングちゃん

「ふたりのちづるのひみつ」

期待せず待てッ!!

 

 

待てない人はココからどーぞ