2007-01-11 (Thu)
□ 恒等式―数値代入法,十分性の確認は不要のはず [math]
(句読点をコンマ・ピリオドで書いてみました.数学のノートは いつもコンマ・ピリオドなので)
学校の授業で恒等式を扱った.しかし問題の解法に妙な点があり, どうも,それは(結構)大事なところに関わっているようだった. で,そのことについて友人と議論していて,結局友人が結論に 辿りついた.
まず,恒等式についておさらい:
定義 等式が任意の値の x について成り立つとき, その等式を x についての恒等式という.
定理1 x についての整式 P, Q がある. このとき,
P = Q が恒等式である ⇔ P, Q の同次の項の係数は等しい.
さて,恒等式の練習問題に次のようなものがある:
等式 2x + 3 = (a + b)x2 - (a - c)x - c がx についての 恒等式であるように,定数 a, b, c の値 を定めよ.
この問題の定番解法は,ふたつある.
ひとつは,未定係数法.定理1により,等式が恒等式 であるとき,左辺と右辺で,同次の項の係数は等しい.このことから a, b, c の連立方程式をたてて解く,という 方法である.
もうひとつの数値代入法が,今回のテーマである.数値代入法 を用いた一般的な答案は,次のような流れになる.
(1)必要条件を求める:与えられた n 次の等式が恒等式であるなら ば,任意の値の x について成り立つ.このことから,等式に (n + 1) 個の異なる値の x を代入し, a, b, c の連立方程式をたてて,解く.(2)十分性の確認:得られた a, b, cを与えられた 等式の左辺に代入する.左辺と右辺で,同次の項の係数が等しいことを 確認する.
ここでいくつかの疑問が湧く:なぜ (n + 1) 個なのか.なぜ (2) のステップが必要なのか.
おそらく,(n + 1) というのは,次の定理に基づいている と思われる.これは教科書にも載っている定理である:
定理2 P, Q は x についての高々 n 次の整式 である.P = Q が異なる (n + 1) 個の値の x について 成立するならば,P = Q は x についての恒等式である (「ことが知られている」―教科書).
(2)のステップはなぜ必要なのだろうか.これについては,普通次のような 説明がなされる:
異なる (n + 1) 個の値の x について等式が成り立つ ことを確認しただけで,ほかの値の x についても成り立つか どうか,分からない.だから,得られた定数の値を等式に代入して, 左辺と右辺で,同次の項の係数が等しいことを確認する.
ところが,定理2によれば,異なる (n + 1) 個の値の x に ついて成立するならば,x についての恒等式である,と言い切れる ではないか.ついでに言うと,x についての恒等式であるならば, 恒等式の定義により,異なる (n + 1) 個の値の x について 成立するのは自明である.よって,この2条件は同値である.
したがって,数値代入法のステップは要らないことが分かった.
数値代入法における(不要な)十分性の確認は,いろいろな本に載って いる.また,定理2もいろいろな本に載っている.
「赤チャート」では,「十分性の確認をしてもよいし,『定理2により 等式は恒等式である』という意味のことを書いてもよい」というふうに なっていて,よく分からない(後者に言及している点では 評価できるけれど).
でも,教科書にも載っている定理で,それが要らないことが示せ る.これって,どういうことなんだろう.
2007-01-10 (Wed)
□ 川端康成『伊豆の踊子・温泉宿 他四篇』 [book]
川端康成『伊豆の踊子・温泉宿 他四篇』(岩波文庫)を読む。 大正から昭和初期の、ほのかな旅情がいい。
□ 夏目漱石『夢十夜』 [book]
夏目漱石『夢十夜』(青空文庫)を読む。 不思議な感じがいいなあ。

