小さい頃から、よく忘れ物をする。あるいは落とし物をよくする。鍵をなくすことなども多かった。 最悪なのは、左手にはめていたはずの野球のグローブを学校帰りに無くしたことである。
先日、常布の滝に行ったときにも忘れ物をしてしまった。
滝にたどり着き、荷物を下ろす。忘れ物をしないようにと大きな石の上に物を寄せる。欲張りなため、荷物が多い。食事をとりながら写真撮影。
石の上に何も無いことを確認し、帰路に就いた。
険しい道を引き返し、比較的楽な道に戻って、もう30分ほどでバイクを止めたところに着くのでは?と思っていた。
すると、「ガサ、ゴソ」と音がする、まさか熊では?と思って振り向くと鹿であった。
「お〜、もののけ姫か?」などとたわいもないことを連想しながら、背中のリュックを下ろし、写真に納めようと試みる。
何枚か撮影すると、鹿はいなくなってしまった。
下ろした荷物を再度、背負っていると何かが足りない。
眼鏡がないのだ。あたりを見回してもあるわけがない、眼鏡を滝に忘れてきてしまったのだ。
眼鏡はキズだらけのボロなので惜しくはない。が、警察に捕まったり、まして事故など起こしては馬鹿みたいである。
このまま帰るか、戻るか考えた末、滝へ引き返す。
またも険しい道を進み、滝へ到着。
石の上を見ると何もない。焦る。
よく眼をこらしてみると石の脇に転げ落ちた眼鏡を発見。
ホッとすると同時に自分の馬鹿さかげんにウンザリする。
しかし、あそこで鹿に出会ってなければ、さらに1時間くらいは歩く羽目になったかもしれない。鹿に感謝。