奇人・変人・滝人 (方丈日記)

2002.08.10…眼鏡

トップへ   方丈日記へ

先日、運転免許更新に行った。目があまり良くないので、条件等に「眼鏡等」となっている。 が、悪いといっても、それほど悪くはない。このため、さらに括弧書きで「(小特車及び原付車を除く)」 となっている。

簡単に言えば両眼0.5以上0.7未満である。通常の生活では眼鏡は必要ない。 遠くを見る必要があるとき、運転をするとき、に限って眼鏡をかけている。

滝見のときには、状況によって変わってくる。景色を見続けたいときや、案内に注意が必要なときにはかけ続けている。

以前、八ツ淵の滝に行ったときには、かけ続けて滝見をしていた。 奥の方まで登って、疲れ気味のとき、目の前に虫(蚊? ブヨ? 小蝿?)がつきまとってきた。 右手で虫を払いのけようとした瞬間、眼鏡に手があたり、左手の小川(淵)の中へ落ちてしまった。 私の眼鏡は細身のチタンフレームで茶色である。 落ちた淵は砂利、小石であった。どんなに目を凝らしても判別できない。

目をこらしながら、手探りで川底を探す。見つからない。 しばらく探しつづけたが、見つからない。夕暮れは近づいてくる。 ここから家まで途方もない距離である。眼鏡なしではマズイ。

途方にくれながら、変な連想が浮かんでくる。
滝の神様が現れ、
「あなたが落とした眼鏡は、金の眼鏡ですか? 銀の眼鏡ですか? それともチタンの眼鏡ですか?」
「私が落としたのチタンの眼鏡です」
「正直な人だ。私には必要ないので、すべて差し上げます」

そんな訳はない。 意を決して、もう一度探して見つからなければ、諦めよう。 落とした付近を虱潰しに、念入りに、手で探ってみる。 しばらくすると、手に何かが引っかかった。 「あった〜」。何とか見つかった。 探している途中、木の枯れ枝が手に引っかかったりして、一発で探せたわけではない。

滝の神様に感謝しながら、帰路に着いた。オシマイ。

創作小噺ではない。実話である。この眼鏡はボロボロになりながらも未だに使い続けている。


トップへ   方丈日記へ