□作品名/東急5000系(原型)
製作年/198?年
掲載雑誌

・Rail Magazine 198?年 ?号  グリーンマックス(以下GM)車輌改造コンテスト入賞作品発表
 (※写真のみで製作記事はなし。)

□車両全体について

・製作ベースの製品
GM製 東急5000系キット

・製作の動機
GM車輌改造コンテスト「テーマ:東急」に出品するために製作。

・製作上のポイント
ベースとなるキットは晩年の姿ですので、原型に戻すために形態が異なる客ドア窓、側窓、正面窓を
中心に加工しています。また、キット付属品の床下機器が実車とはだいぶ違うので、色々な車両の
床下機器から類似した外観のもの選んで取り付けています。

・製作上のエピソード
コンテストのテーマの「東急」の車輌についてはあまり詳しくなかったので、キットを活かしつつ、登場時の
スタイルに戻す内容の工作としました。また、室内の再現としては、運転室・客室間の仕切り、客席を
製作し、さらに初の試みで「つり革」を自作して設置しています。

・実車について
東急5000系は1954年に登場した車輌で東横線や田園都市線、大井町線、目蒲線などで活躍
しました。車体がモノコック構造の軽量車体であることと、従来の車軸に電動機を懸架する「釣りかけ
駆動方式」ではなく「直角カルダン駆動方式」と呼ばれる新しい駆動方式を採用したことが特徴で、
正面が丸みのある2枚窓の湘南スタイルと緑色の塗装から「青ガエル」の愛称で親しまれました。
東急線から引退した後も地方鉄道に譲渡され、長野電鉄、熊本電鉄などで活躍しました。

また、渋谷駅ハチ公口に5001号車の車体が原型に近い状態(ただし、連結面側をカットされ短縮
されています。)に戻され静態保存されています。

ちなみに、2002年に新5000系が製造・運用されるようになってからは、「旧5000系」と呼ばれるように
なりました。
□各車両について
デハ5001(デハ5000形・制御電動車)

・製作上のポイント
原型の窓形状に戻すために、正面窓のHゴムを削って拡大します。

ライト類はライトの中心に穴を開けて寸法が合うように加工した透明のプラ棒(透明部品のランナー
でも可)をはめ込みます。
・製作上のエピソード
GM製品の板状キットは、ライト類がモールド表現だけで透明のレンズパーツがないものが多いので、
ライトレンズの透明パーツ化はたいへん効果的な加工です。部品メーカーのライトケース、レンズを
利用してもよいのですが、作例のように慎重に作業すればキットのモールドを活かした安価な加工でも
充分に完成品同様の仕上がりにするとことができます。











サハ5051(サハ5050形・中間付随車、後にサハ5350形に形式変更・改番)

・製作上のポイント
キット付属の中間車改造用の妻板、側面、屋根を使って切り継ぎ加工を行い
中間車として組み立てます。

・製作上のエピソード
切り継ぎについては部品の合いも良いので、切断箇所を削り過ぎないように
注意するだけで問題なく組みあがりました。
 









デハ5002(デハ5000形・制御電動車)

・製作上のポイント
デハ5001と同様

・製作上のエピソード
デハ5001と同様
 









□共通工作

・製作上のポイント
原型の窓形状に戻すために、側面の客ドア部窓を正方形に近い形に拡大、
側窓部のユニット枠は削って側面とツライチにします。

・製作上のエピソード
原型の形状に戻す作業はたいへん地味で根気がいる作業ですが、少しずつ
原型の洗練された形状が再現されていくことが確認できるので手応えのある改造だと思います。

・キット付属の床下機器は実車とは形状が大分違うので、実車の写真を参考に近い形状の機器を
いろいろなキットから集めて配置しています。

・室内表現としては運転室・客室間の仕切りと客室の座席をプラ板と真鍮線を使って作成しました。
窓が大きいので室内が良く見えるため効果的な加工です。また、つり革についても初めてチャレンジ
しました。製作方法はモーターツールに「L」型に曲げたφ1mmの真鍮線を取り付け、φ0.2mm程度の
エナメル線を引っ掛けて回してよじりました。必要本数を考えると気が遠くなる作業ですが作業自体は
単純ですので、コツコツ製作することで完成でき、室内の良いアクセントになります。

全体を通してのまとめ・総評・感想

・製作上のポイント
このキットの特徴は中間車を作るときには「車体の切り継ぎ工作」が必要だということです。しかし、
切り継ぎが前提のキットのため、必要なパーツが付属していたり、説明書にも作業内容が明記されて
いるので、初めて「切り継ぎ」をするモデラー向けの入門車輌といえます。また、多くのGMキットが晩年の
形態を製品化しているので、このキットでも正面窓のHゴム支持化、客ドア窓の縮小化、側窓のユニット
サッシ化などの更新・補修された姿となっています。現役最後の姿も印象的ですが、登場時のシンプルで
洗練された姿も魅力的ですので、GM製のキットを作る際には原型、登場時の形態に戻すような加工、
改造をすることも1つのジャンルだと思います。

・製作上のエピソード

今回は室内表現を色々と試したかったので、室内が丸々占領されてしまう動力ユニットを
組み込むことは止めました。また、登場時を演出するための各種標記などは付属ステッカーでは
足りず、他のキットからも流用しています。

・もし、同じ作品を今つくろうとしたら

製作当時はGM製キットのみでしたが、その後、東急電鉄(製作元トミーテック)、マイクロエース(譲渡
先の熊本電鉄仕様など)、赤い電車(譲渡先の各電鉄仕様でディスプレイモデル)などからいろいろな
仕様の完成品が販売されました。しかし再生産がなく入手が困難であったり、ショップ限定で入手し
づらいものが多く、作例と同様の原型への改造をするならば今でもGM製キットを推奨します。キットで
中間車を製作する場合は切り継ぎ加工が必要となりますが、全般に部品の合いが良いことと車体色が
緑一色なので、じっくり取り組めば難しいキットではないと思います。また、床下機器については近い
形状のものが現在のGM製キットでいろいろありますので製作時に比べ選択肢が広がりました。
苦労した「つり革」も現在では部品メーカーからエッチング製・塗装済みのものが発売されていますので
簡単に再現できます。

・模型資料について

東急5000系はモノコック構造の軽量車体といった特徴を持つ車輌なので、車体構造の技術変遷に
おける重要な位置づけを持つ車輌として、登場時の原型の写真などは比較的多いと思います。

・RM MODELS 2007年8月 通巻144号 他