□作品名/EF58(原型・改良工事後)
□製作年/1989年
□掲載雑誌

・未発表・未掲載

□車両全体について

・製作ベースの製品
KATO製EF58(旧製品)

・製作の動機
製作当時はEF58の特定番号機を作った雑誌記事が多かったのですが、実車が蒸気
暖房装置を搭載した流線型の大型車体における個体差を表現したものばかりでした。
そこで、車体を乗せかえる前の原型を作ることにしました。

・製作上のポイント
車体はKATO製EF15の車体を加工し、必要となる車体前後のデッキ・手すりは、当時発売
されていたシバサキ模型製「EF18・EF58旧車体用デッキ」を組み立てたものを組み合わせました。
なお、パーツのデッキは改良工事により原型の4段から3段に変更された形状のものだったので、
それに合わせてパンタグラフもPS14に乗せかえられた形状として製作しました。

・製作上のエピソード
デッキ・手すりパーツはエッチング加工された真鍮板で、手すりは断面が四角なのと歪みやすかったので、
真鍮線をハンダ付けで作り直しました。また、デッキを付けることで重心が高くなり、ポイント・カーブ部での
脱輪をしやすくなりましたので、デッキ下部、従台車にウェイトを補重してあります。

・実車について
EF58(原型)は1946年に登場した旅客用の直流電気機関車で31両が製造されました。
貨物用のEF15と共通化設計としたのが特徴で、蒸気暖房装置は搭載されず冬季には暖房車を
併結して運転されました。外観はEF15同様の箱型車体で、屋上モニターもなく、パンタグラフは
戦時設計のPS13を搭載、車体前後に2軸先台車を配置しているため、EF53やEF57と同様に
ステップ・手すりつきのデッキが設置されましたが、デッキの幅が狭く、ステップも4段なので大分印象が
異なりました。その後、1952年以降に増備されたEF58は機器の信頼性向上が図られ、蒸気暖房
装置搭載のため車体長いっぱいの特徴的な巨大な車体を載せることになりましたが、原型の1~31
号機も同様の仕様に改造されました。この時捻出された原型の箱型車体は、戦時設計の電気
機関車であったEF13の体質改善にともなう改造に流用されました。現在全車定期運用を離れて
いますが、鉄道博物館、リニア鉄道館などで保存機を見学することができます。

ちなみに、製造途中だったEF58-32~34は歯車比を変更し、貨物用電気機関車として登場しました。
すべてのEF58が流麗な新型車体となったのに対して、EF18は最後まで改装前の 箱型車体のEF58の
姿を残していました。














□工作について

・車体/KATO製EF15車体を流用。屋上モニターを外して取り付け穴部をプラ板で塞ぎ、
不要となる側窓と助手席窓の一部をプラ板で埋めています。

・パンタグラフ/KATO製PS14

・ディテールアップパーツ/銀河モデルN-024 ホイッスル、N-064 テールライト、
タヴァサホビーハウス製PX491 旧国用ヘッドライト( KATO製C57用ヘッドライト相当品)
・角型の旧形避雷器はプラ棒を加工して取り付け。

・カプラーはマグネマティックカプラーに交換。

・側面のエアータンクに真鍮線で配管を追加。

・ヘッドマークはGM製の旧製品を使用。

・車体色/GMカラー・ぶどう色2号で吹付塗装。

・仕上げ/茶系色のパステルを削ったものを筆で表面に刷り込み、軽くふき取って凹部に
残すことで現役自体の使用感を出しました。

・模型資料について

模型製作記事/
鉄道模型趣味1990年5月号 (通巻528号) EF58(原型)の模型製作記事

鉄道模型趣味1982年11月号 (通巻436号) EF18)の模型製作記事

実車資料/
EF58ものがたり[上](交友社)などが参考になります。

変わったところでは、プラモデルメーカーのアオシマから1/50スケールでEF18が発売されていた
ことがあり、忘れた頃に再販することがあるので入手できれば、デッキ付のEF58を作る際には
たいへん参考になると思います。


東急5000系はモノコック構造の軽量車体といった特徴を持つ車輌なので、車体構造の技術変遷に
おける重要な位置づけを持つ車輌として、登場時の原型の写真などは比較的多いと思います。

・RM MODELS 2007年8月 通巻144号 他
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