今回の主な軸は3つ。
まずはタイトルにある通り、ウルトラ兄弟。
前作にも登場した過去のウルトラマンの人間体を演じたハヤタ・シンの黒部進(初代ウルトラマン)、モロボシ・ダンの森次晃嗣(セブン)、郷秀樹の団時朗(帰ってきたウルトラマン・新マン・ジャック)、北斗星司の高峰圭二(エース)
の4氏「ダンディー4」(4名を指す前作からのユニット名)。
マドカ・ダイゴ(ウルトラマンティガ)の長野博(V6)、アスカ・シン(ウルトラマンダイナ)のつるの剛士 、高山 我夢(ウルトラマンガイア)の吉岡毅志の平成3部作の面々。
そして平成と昭和をつなぐヒビノ・ミライ(ウルトラマンメビウス)が今回の物語を綴っていきます。
そして今回のもう一つの注目はダンディー4の恋人役とその娘(実娘もいます)の存在と言えます。
特に夕子役の星光子さんの実際の娘さんは本当に当時の夕子のようです。
また平成3部作の相手役もしっかり登場しており、ファンへの配慮も欠かしません。
今回の舞台はメビウスのいた世界とは少し異なったパラレルワールド。
ダイゴをはじめとする平成組と昭和組が共生しているところにメビウスがやってくることから始まります。
今回のテーマは「出港」。背景である横浜港50周年のテーマそのままです。
そして夢をそれぞれ勇気を出せずに諦めてしまった平成組3人が夢を思い出し、それを追いかけるまでを描きます。
現在世界的な不況を見せている情勢で多くの方が自信や夢を諦めていると思われる中で、非常に素晴らしいテーマだと思います。
この作品では多くの見所がありますが、自分なりに挙げてみたいと思います。
<導入>
まるでAlways三丁目の夕日を彷彿させる昭和の懐かしい雰囲気全開のオープニング。
その雰囲気そのままの生活を経験してきた30〜40代の方々には感慨深いものがあるのでは?
<序盤>
突如現れたキングゲスラとウルトラマンメビウスの戦い。
メビウスの戦い方が少しアクティブというかパワフルで違和感があったんですが、スーツアクターがTV版とは違ってました。
それでも充分盛り上がる要素はたっぷりです。BGMもアレンジが入っており、いい感じ。
<中盤>
ここからはネタバレになるので詳しくは書きませんが、ミライと記憶を失っているダンディー4、そしてダイゴのやりとりが面白いです。
特に郷に対してのミライの台詞は少々聞き取りづらいですが、スタッフの遊びが入っていて笑えました。
<終盤>
罠にはまったメビウス。
絶望的になった状況で過去の別の世界の記憶が甦り、平成組・ダンディー4と次々とウルトラマンに変身していくシーンの連続は圧巻。
個人的にはダイゴの変身は力が入っていて、その後のティガのBGMアレンジが震えるものがありました。
そしてアスカ・我夢の叫びと共に変身するシーンと静かに変身するダンディー4の対比も良く、充分に盛り上がります。
戦闘シーンは主にCGが使われており、かつてない巨大な怪獣や敵との戦闘が繰り広げられます。CGの技術も進歩したなあと感じる場面が多かったですね。
エンディングは変わって、さわやか路線とウルトラらしい破天荒な展開で終了する形になっています。
ウルトラマンの映画としては異例の大ヒットを生んだのも納得の出来でありますが、気になるところを少し挙げます。
「しつこい」
終盤の戦闘とそれに反応する人類のシーンが単調すぎます。興ざめしてしまうかも。
「メビウス」
前半では大活躍のメビウスが中盤以降完全に空気になります。これに違和感を覚える人も多いでしょうね。
「構成がイマイチ」
全体的にシーンの時間割の練り込みが足りない感じ。冗長に思えるところが多かった。
「エンディング」
あまりにも毛色が変わるため、最後のシーンで唖然とする人が多いと思われます。
「戦闘シーンが不足気味」
個人的にはもう少し堪能したかったなあという印象。
「我夢」
演技プランが少し雑かも。あれでは違和感を覚える人が多いのでは?
平成組と昭和組が共演するというサプライズもそうですが、最近夢や熱さを忘れ、あきらめがちになっている大人の方にも観ていただきたい良作です。
監督が劇場版初メガフォンということで色々な面で不慣れな点はありますが、パラレルワールドという難しい題材をなんとか形にしたという印象です。
主演のV6の長野氏の熱演もあり、ゲストも豊富で、ファンを楽しませる要素もたっぷり。
この作品では特に佐橋俊彦氏のBGMがなんといっても秀逸でした。完全に世界観を盛り上げ、作品全体を引っ張っていたといってもいいほどに。
冬木透氏の楽曲も素晴らしかった。
前作でも思いましたが、ぜひ続編として、メビウスのテレビシリーズに出演したレオの真夏竜氏や80の長谷川初範氏、そして未登場のタロウ・篠田氏を加えた超豪華劇場版を
期待せずにはいられません。ですが円谷プロは大人の事情で今作を最後にウルトラマンに尽力してくださった多くのスタッフが離れてしまいました。
そう言う意味でこの作品が最後のウルトラらしい劇場版になる恐れがあるのは残念でなりません。
またレンタル版には収録されていない特典映像は必見。あなどれないほどのボリュームと内容があり、それだけでも商品になるような豪華さです。
ファンならば入手しにくいですが、初回限定版であるメモリアルボックスを購入されることをオススメします。
今作でドキドキした方、戦闘シーンに物足りなさを感じた方は前作の劇場版もぜひご覧になることをオススメします。
よろしければレビューを読んでのご感想をお聞かせください。
・V6が歌うこの作品のテーマソングDVDシングル。いい曲です。
・大決戦!超ウルトラ8兄弟公式サイト:公式サイト。インタビュー動画もあり。
・円谷プロダクション公式Webサイト: Tsuburaya Station Web:円谷プロの公式サイトです。
・ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟レビュー:話題になった劇場版のレビューです。
・ウルトラマン診断テスト:自分が制作した気楽に遊べる診断テストです。
・バンダイネットワークス株式会社:BANDAIのネットショップです。