前作の「Z.O.E」では中間に入るデモに登場するキャラクターはいかにもという感じの3DCGでのみ描かれており、非常に無機質で人形劇のような印象でした。
これでは感情移入しにくい状況を生み、作品を楽しむという基本的なプレイヤーの意欲を削る結果になりました。
しかし今回はアニメとCGを融合させたPSで発売された「機動戦士Zガンダム」のような構成に変更されました。
これが非常に上手くいき、主人公をはじめとするキャラクターたちがいきいきと表現され、感情移入もしやすいものになりました。
その出来も素晴らしく、本当に一つのSFリアルロボットアニメとしてもクオリティの高いレベルに達しています。
このゲームはアクションゲームですので、その肝となる要素についても触れていきましょう。
まず操作性ですが、若干操作方法に癖があるので慣れるまで少し戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえば主人公機である「ジェフティ」
を思い通りに操作することができます。そのスムーズさは実に見事で、これ以上ないという操作感を生み出しています。
アクションが苦手な人でもなんとかなるように調整されているのも、◎。
全体的なスピードも遅くてイライラするようなものもなく、むしろ少し早すぎると感じるくらいにうまく調整されており、前作では気になった
どこに行けばいいのかわからないというストレスも今回解消されているため、スピード感がいい方向に向いています。
そういう意味で傾向としてスピード感が少ないロボットゲームの中では、傑出した作品であることは間違いありません。
「ストーリー」や「設定」に関しては、過去のロボットアニメやゲームのいいとこどりという印象です。
「ああ・・・これはあの作品の設定まんまだな」と感じる部分が多く、オリジナリティはほぼ皆無に等しいと言えます。
しかしロボットアニメファンというターゲットにはそれが不満にならないよう「王道的」なものをチョイスすることで
それらを見事に回避しています。またマニアが喜びそうな無駄とも思えそうなほどの細かい設定や年表は健在で、世界観
を楽しみたい方にもしっかり対応できています。
ただし長くストーリーを楽しみたいという方には物足りないような長さなので注意が必要です。ただ全体的に
流れるスピード感を落とさずにするにはここらへんが限界かな?と納得いくレベルではあります。
またこのストーリーを彩るには忘れてはならないのが、主演声優の安定した演技です。主人公・ディンゴには
Zガンダムやレイズナー、ダグラムなど数多くのリアルロボット出演がある井上和彦、ライバルのノウマンには多くのアニメで渋さと
たまにはおちゃらけキャラを演じる小杉十郎太を配していることです。
特に井上氏の熱さと大人の男を同居させたような演技はもうお見事としかいいようがなく、まさに適役。
配役を間違えていれば、この作品の完成度は大きく下がることになったことでしょう。
総合的に見れば、実に細かいところまで配慮が行き届き、爽快感を感じられる名作であると思います。
ただゲームの性質上、驚くような展開がなく、周回プレイもそれほど意味をなさず、ストーリー以外にあるモードにはそれほど魅力を感じられなかったのは残念でした。
でしたが、これほどの出来にそれらの文句を言うのは野暮というものでしょう。
また廉価版でありながら大幅なパワーアップを遂げた「SPECIAL EDITION」やそれほど200円しか価格を吊り上げなかった限定版
といい、そういう部分でのサービス精神も実に素晴らしい。さらに現在ではさらに安くなり、2000円以下でこの名作を遊べるというのは贅沢とも言えます。
ガンダムやレイズナーなどに胸を躍らせた方で、快適な操作感のアクションゲームをやりたいと思った時にはこれほど最適なものはないと思いますよ。
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