ペテガリ岳登山の記録を見ると、5年前の7月下旬高見ダムより少し先の林道ゲート車止めから、2時間15分歩いてペテガリ山荘に入り2泊している。しかしダムサイドの大規模な崖崩れ以降、このルートを詰めるのは(長時間かけて入る人もいると聞く)自分にとっては現実的ではない。その後神威岳登山口の神威山荘手前から峠を越えてベッピリ沢川沿いの林道を歩き、ペテガリ山荘に至る連絡路が利用されていると聞き、いずれ折りを見てこのコースを行ってみたいと思っていた。ところが2年前から今度は神威山荘に至る林道も、道半ばから一般車両は通行禁止になったという。このため『遥かなる山』がいっそう遠のいてしまった。各地に大雨を降らせた前週の低気圧は去り、今週はずっと好天が続く予報なので再度の挑戦となった。
【第一日目】 8月6日(水) 快晴 新得(13:30)⇒林道ゲート(18:00) 202.4km
急用のため自宅発13:30と出遅れたので、神威山荘への林道ゲートPで車泊と決めて、天馬街道の日舎から上野深へ向かう。この道は2002年に神威岳に登ったときに通っているので、おぼろげながら記憶に残っている。その時前泊した柏陽館を過ぎ、前回の記録を見ながら神威橋に向かうとその3、2kmほど手前に看板が出て、車止めゲートから先神威山荘までの13kmは歩かなければならない旨記されている。先へ進むと果たせるかな神威橋の僅か3、5kmのところでゲートが閉じられている。駐車スペースは広く本州ナンバー車が3台停めてあるが人はいない。静寂の中に鳥の声と沢音を聞きながら寝酒を飲み早い就寝となった。
【第二日目】 8月7日(木) 快晴 ゲート(7:00)〜神威山荘〜峠越え〜ペテガリ山荘(16:20)
入林名簿に記帳しゲートを7:00に出発。神威山荘前山越え林道左折点まで4時間で歩く積りだ。前半は元浦川の左岸歩きで時刻も早いため日陰が多く微風もあり歩きやすい。所々で滝が流れ落ちていて水には不自由しない。2時間後ニセオマナ橋で右岸に渡ると、道路に大量の土砂が堆積している。数日前の大雨によるものと思われる。その先でも道路の損壊箇所が多い。これでは車は通れず作業車に便乗の夢は消えた。その上日当たりが良くなり暑くなった。進行方向に現れた中ノ岳を見上げながら、辛く単調な林道歩きは続く。
歩き始めて3時間半で突然神威山荘が見えてきた。以前の記憶より付近の木が切られていたこともあり、左折点を行き過ぎてしまった。山荘で早めの食事を済ませ沢歩きスタイルで戻り始めると、後方から呼び止める声がする。振り向くと早朝神威岳に登り丁度下山してきたばかりの単独男性で、これからペテガリ山荘に行きたいので同行させてほしいとのこと。この人は7月7日に尼崎市の自宅を車で出て日本海寄りを北上しながら、日本200名山を踏破し続けているという60代前半の男性だった。一日に2山登頂も多いそうで元気な人もいるものだ。今回は2ヶ月以上も山旅を続けるというから驚きだ。当方としては連れがいるのは歓迎なのだが、荷物が重いため超スローペースで歩いているのでこの点が若干気懸かりだ。ともあれこうして2人連れ立っての山越えとなった。
さて11:40山荘を少し戻った辺りから、植林された未だ樹高が20〜30cmほどのトドマツの斜面をショートカットし目的の林道に下った。4分後最初の渡渉は川幅が広く浅い。暫く川沿いの旧林道跡を行くがそれも消えて沢詰めになった。赤や青のテープがあり踏み跡もはっきりしていて、気をつけてさえいれば迷う心配はないのだが、途中から自分が予想していた沢から大きく西に離れ始めたので不安になり、何度か立ち止まって大分時間をロスしてしまった。1時間経過した頃お目当ての小滝が現れホッとする。どこまでもテープに導かれて進むと沢は狭くなり、GPSに『衛星ロスト』の表示が出始める。最後は笹の急斜面を登り2時間30分で尾根に上がった。ここから踏み跡は右に折れ、僅かに東に進んでから左折し急坂を下っている。下方で一箇所行く手に倒木が詰まっていたが、この下りを30分でクリアすると最初と同様のトドマツ植林地を通って林道に出た。3時間経過している。ここから再度6kmの林道歩きは辛いが、沢は広く車が通っている立派な道だ。こうして神威山荘から4時間20分でペテガリ山荘に着いた。山荘に着くと同時に単独男性がペテガリ岳から下山してきて今夜の同宿者は3名になった。
【第三日目】 8月8日(金) 快晴 ペテガリ岳往復 4:40〜17:10(12時間30分)
4:40スタート。山荘脇の登山口から入山。連れの男性は下山後今日中に神威山荘まで戻ると言い、一足先に出発して行った。前回の経験を基に水2、5リットルをサブザックに入れ、夕方6時までには下山することにし、今日も超スローペースで前進していく。沢沿いに歩き見覚えのある砂防ダムの少し先で尾根に取付き、笹の急斜面をジグで上って行く。1050Pを最初のポイントにしていたが、前回と違い途中丈が長い笹被りの道が長く続いた。道はアップダウンが激しく大きな登り返しの連続で苦しいことこの上ない。ただ樹間から見え続ける1839、ヤオロ、中ノ岳、神威岳そして少しずつ近づくペテガリが救いだ。最後の500mの急登はじっくり時間をかけて登っていくと、例の連れの男性が早くも降りてきた。別れを告げて前進再開。11:25再び山頂の人となった。
先客は1パーティ4人で前夜はCカールにテン泊したという。山頂からは展望絶佳で特に前回は未踏であった1839、ヤオロ、カムエク、ピラミッド峰が見え、それぞれの登山時の想い出が沸々と湧き出てくる。そうしているうちにテン泊組は西尾根を下りていった。
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| 山荘脇の登山口 | 山頂から来し方を俯瞰する | 林道分岐 右は神威山荘へ(復路で) |
山頂で35分過ごし12:00下山開始。もう来ることもないだろうと思うと少し寂しい。復路も厳しさは変わらず最後の沢に下りてホッとするが、虫の襲撃に遭い振り払いながら登山口に戻ると車が3台停めてあり大勢人がいる。17人のパーティのリーダーという人が、冷えた缶ビールを持ってきて『お宅のアルミシートを勝手に移動させてもらったので・・・飲んで下さい』と言う。小屋に入ると宴会が始まっていて、更に500mlの缶ビールと作りたての野菜と魚のてんぷらの差し入れだ。『しょば代にしてもこんなうまい話はない』と思いながら持参した僅かのビールも冷やし焼酎を混ぜて飲み暴睡した。
【第四日目】 8月9日(土) 快晴 ペテガリ山荘⇒峠越え⇒神威山荘林道⇒ゲート 5:45〜12:55(7時間10分)
ペテガリ山荘発5:45。出発後直ぐに車が2台もきて恨めしい。峠を越えて下るとダニの大群だ。虫除けスプレーも効かないので首のタオルでぬぐう。入渓地点の川でタオルを洗おうとすると、汗で濡れたタオルに大量のダニが絡まっていた。(以下省略)
●連絡路を歩いてみて
@軽量化のためテント、寝袋は持たず(シュラフカバー持参)、若干のアルコールを入れてもザックを15kg未満に抑えたのは正解だった。
A峠越えの連絡路はテープがあり、渡渉は浅く沢も難しいところはない。
B峠を越えて降りてからの林道は枝分かれが多いので、帰路は注意が必要だ。
C連絡路は往路4時間40分、復路3時間45分で歩いているが、それぞれ4時間と3時間で無理なくクリアできると思う。
Bザックが軽いとはいえ、13kmと6kmの林道歩きはやはり厳しかった。

1301P手前コブから望むペテガリ岳

山頂から望む中ノ岳、神威岳方面

おなじみの山頂標識と北側の山々