カラスの攻撃とその対処



 5月も後半になりると、「カラスに襲われて困っている」とか、「カラスが怖い」などというメールが非常に多く届きます。

 まずは、「なぜカラスは人を襲うの?」をお読み下さい。やはり、そこにカラスが巣をかけている以上、こちらに敵意がなくても攻撃行動を押さえる手段はほぼありません。ただ、上からの攻撃がメインですので、傘をさすのはある程度有効だとは思います。あと、攻撃された場合のために帽子は有効でしょう。
 一番いいのはそこを通らないようにすることですが、仕事の関係からそれができない人もいます。私もそういう職場にいるのですが、でもまだ攻撃を受けたことはありません。カラスから攻撃を受けないようにするには、いろいろコツがあります。大切なのはカラスが怖いからといって背を向けて逃げないことです。
 よく「カラスと目を合わせると襲われる」と言いますが、それは逆なのです。なぜなら、カラスにとって人間は数倍も大きな動物なわけで、やはり人間は怖い存在なのです。繁殖期にはそれでも人間を追い払おうと必死なのですが、そういうわけで攻撃をしてくる時はカラスから見ればなるべく安全な、人間の背後から来るのです(後頭部から後頸を狙うことが多いです)。
 私流対処法はこう。カラスが怒ってきた場合、「ガー!ガー!」とか「カッカッカッカッ」とこちらを向いてけたたましく鳴いてきます。まずそれがサイン(威嚇)です。通常はこれを察知してすぐその場を離れれば問題ありません。しかし、これに気づかなかった場合、もしくはそれでもそこを進まなければならない場合は、カラスはさらに声を荒げ、電線や枝をつつくようになります。そして低空飛行で本格的な攻撃行動が始まる…。
 こんな時は、ひるまずにカラスに正面を向いて静かにじっと見つめるようにしています(いつ攻撃してきてもいいように、というのもあるんですが)。そうするとカラスも怒りの声は挙げますが向かってくることはなくなります。それで、視線をそらさないようにしながらゆっくり立ち去るのです。「スキ」を見せないというのがポイントなのかもしれません。ここで調子に乗って騒いだり棒を振り回したり、余計なちょっかいをかけてはいけません。完全に「キレて」なりふり構わず攻撃してくることが考えられます。
 あくまで私流なので「それで襲われた」と言われても責任は負いかねますが、背を向けて逃げるよりはよほど安全だと思います。逃げることはカラスに自分の方が弱いということを示していることになります。弱いと判断すればカラスも攻撃しやすくなりますよね。「攻撃して来ても逆にやってやる」くらいのつもりでいればカラスもそれを察知し、おいそれと攻撃して来られなくなります。冗談のような話ですが、私はこうすることによって威嚇はされても直接攻撃はされたことはありません。
 しかしまぁ、できることなら「怒っているカラスには近づかない」。これが一番の対処法ですね。

 もう一つ重要なことは、「襲われた」という人の中には結構「思いこみ」が多いということ。これだけ人との距離が近くなって来た現在、カラスが低空を飛んでニアミスを起こすことが結構あります。カラスは攻撃どころか人間を気にもとめていないのに、頭をかすめるように飛ばれてそれに驚き、人間の恐怖心と自意識過剰で「襲われた」と思う人がいます。逆にそれはカラスが人間から逃げるために飛んだなんてこともあるでしょう。
 だいたいカラスが攻撃してくる時は先に挙げた事前のサインがあります。威嚇行動なしにしかも接触をされてないのなら、ただ近くを飛んだだけ、という可能性が大いに考えられます。確かに耳元で「ファサ、ファサ」と羽音を立てて飛ばれれば驚きもしますよね。(^_^;

 さて、人に対する攻撃は人がその対処を覚えれば防ぐことができるわけですが、よく「巣を撤去する」という方法を聞きます。確かに、カラスは自分の子どもを守るために攻撃してくるわけで、巣がなくなれば防衛する目的がなくなるわけで攻撃行動も止まります。しかし、巣を落とすということはその中にいるヒナを殺すということだということは分かっていてください。それに対して呵責がないのならその方法も良いかもしれません。巣を落としたはいいが、その中のヒナが処分できなくてどうしようか困っているという話もたまにあります。
 また、巣を勝手に落とすことは法律でできないことになっています。ちゃんと都道府県に連絡して、専門の方にやってもらいましょう。その方が安全ですし。しかし、巣を落としても時期に余裕があれば同じなわばり内にまた巣を作ることも多くあります。そうすればまた同じことが始まります。カラスの繁殖は成功すれば年1回ですから、それよりはたかだか1ヶ月程度、人間の方が一歩引いてやれば攻撃も止むのですが…。

 自分が攻撃されればカラスに対する恐怖心や恨みも出てくるでしょうが、カラスを過剰に増やしたのは人間ですし、彼らの生活環境を変えてしまったのも人間なのです。人間だらけの場所で子どもを守りたい一心で、必死に人間を追い払おうとしているカラスに対し、私達人間も省みるべき所があるのではないでしょうか。
 なお、巣落としでカラスの数を減らすことは難しいと思います。数が違いすぎますから。

 もし攻撃を受けてしまった場合は、傷があればすぐに病院に行ってください。カラスのくちばしや爪は非常に鋭いです。カラスに限らず野生動物はいろんな細菌も持っていますし、念のため、医者にかかった方が良いかと思います。

どけよ!こら!!
こちらを向いて「ガー!!ガー!!ガー!!」と、これが威嚇行動。攻撃前のサインです。
これに気が付くことができれば、攻撃を回避できる可能性が高まります。