1年の最後に
まだ話終わらないのか・・・早く帰りてー。
今はホームルームの時間。いつもの如くでこりんの話が続いていた。
まあ一応話自体はちゃんと聞いている。
今日の話は、もう少しすると開催される学校主催の作品展についてだ。
生徒達が授業の課題等で創った作品の中から優秀な物を、作品展という形で外に向けて発表するらしい。
どうも今年度から始まった企画らしく、第一回という事だ。
まあ授業で創った物をそのままホイホイ出すわけではなく、選ばれた作品にはさらに改良を加えてから出展する。
又、この作品展向けに創った物なんかもあるらしいが、1年生には・・・いや、少なくとも僕の周りではそういった話は無かった。
ただ、この話自体は前々から伝えられており、今日は作品展に出展する候補作品が決定したのでその発表という事だった。
(学校主催の作品展ねぇ・・・そんなの生徒以外に一体誰が見に来るんだ?)
(いや、そもそも生徒だって来るのか?・・・・僕は行かんぞ、絶対にな!)
等と思っている内に、出展候補の作品を創った人達の名前が載った紙がみんなに配られる。
ここに名前が載っている人は、作品展までにさらに対象の作品の完成度を上げる作業に入る。
そして最終的に出展に足ると判断されれば晴れて出展となる。
ふむう・・・結構いっぱいあるんだな。
ってなぬ!?
なんだこれ!!
動画部門 1E〇〇 FIT(←いや、実際には本名が記されていたわけです)
なんで僕の名前が・・・
「おい!お前の名前あるぞ。」
「うん・・・でも動画部門って・・・・・・・まさかアレか!?」
この時、出展候補になるような動画なんて、僕には1つしか無かった。
しかし・・・
3DCGの授業、テーマ”近未来”の時に提出した動画。
このHPでも既に紹介したコレである。
・・・これ、遊びでなく授業の課題として提出するのに正直ちょっと抵抗を感じたような作品だぞ。
一体どの辺が近未来なのかと自分を問い詰めたい。
こんなのを、仮にも外部の人が来るような作品展に出そうなんて、選定した人は常軌を逸しているとしか思えん。
何かの間違いか?
等と思っている内にホームルームが終わった。
ああ、まあいいか。終わったしとにかく帰ろ。
そして後日、本当にこのウンコムービーなのかどうか、選定した人・・・3DCG授業の先生に確認を取った。
「作品展の動画部門に僕のがあったんですが、それって本当にこれなんですか?」
友人達が見守る中、ウンコムービーを見せる。
「おお。そうや。それそれ。」
やっぱこれなのか。
「・・・でも最後これですよ?」
「それがあるからやんけ〜。それに、動画としてまだ一応形にはなってるしな。」
なんて理解のある人なんだ。
ありすぎだろ。
既に友人達は後ろで大笑いしている。
ん?そういや動画部門に選ばれていたのは僕一人だけだったな。
他の人のはコレに劣るほど酷いというのか。
ただ、僕の物もこのままではさすがに厳しいので、もうちょっと手を加えないと作品展には出せないと言う。
むう・・・手を加える、か。
僕としてはコレを出してもいいと言うのであれば、出してみたい気持ちはある。
けど、手を加えるような時間はあまり無いんだよな。
というのもこの時期、1年生の終わりの時期なんだが、その最後の課題としてチームで何か作品を創る、という事をしているのだ。
まあ”何か”とは言っても僕達はゲーム科なので、全チーム(多分)ゲームのようだが。
しかしこの辺がこの学校のラベルの低い所で、一から創るのではなく、授業の時に使った教材用のゲームの改造という形なのだ。
どこかの会社が教材用に創ったという”ランスロットの冒険”なるサイドビューのアクションを適当にいじる程度。
ちなみにこのランスロット〜、授業開始の時点では1面までしか作成されておらず、
2面以降は自分達で作成、という形の教材だったんだが・・・
授業の進みが予定より大分遅かったのか、結局2面以降が作成される事は無かった。
1面の最後で敵の親玉にさらわれたあの子はどうなったんだろう?
まあそれはいいとして、このランスロットのプログラム、非常にわかり辛いと言うかいじり辛いと言うか・・・
こんなのどうしろって言うんだ。
話し合いでシューティングにしようという事にしたんだが、このままじゃ永久に終わらんぞ。
他のチームの様子を見に行ってみるとするか・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・どのチームも永久に終わりそうに無いな。
僕のチームも、かろうじてこのプログラムをいじってるのが僕一人だけという状況。
こりゃもうどうでもいいや。
とりあえずシューティングっぽく見えればいいだろ。
という事でとても他人様には言えない様なやっつけ処理で済ます僕。
内部的にはぼろくそだが、とにかく縦スクロールに”見えるように”はなったし、敵も所々で流れてくる。
うん、いいだろ。
・・・と思っていたら、他のチームでプログラムやってる人が来て、
「そこの部分ってどうやったんですか?」
と聞かれてしまった。
「えっ!!??」
しまった・・・他のチームからの目の事をすっかり忘れていた。
このFIT一生の不覚。
仕方無しに答える。
「ありがとうございました。」
と、そうは言っていたが、彼にとって何の解決にもならなかったことは表情を見ればわかる。
聞かれた内容から察するに、僕と同じ所で詰まってたんだろう。
まあ彼は僕と違ってさらなる答えを探すんだろうな。そんな雰囲気を漂わせている。
僕はやっつけ処理で済ましてしまったが。
彼はきっといいプログラマーになる。
僕の分まで頑張ってくれ。うん。
様々な思いを抱きながら、作品創りの期限が来てしまい、結局まともに完成していない状態のまま提出となった。
だが、どうやら僕達のチームはかなりマシな方だったようだ。
完成させたチームなぞ皆無。
まだ見た目だけ(と言ってもゲームにはなってないが)はそれっぽく見えている分、及第点だろう。
とにかく無事進級する事ができ、めでたしめでたし。
え?作品展の動画?
一応少し手を加えにはかかったが、すぐに最終課題の方にかかりっきりになったせいで、
作品展には全く間に合にあわず断念。
作品展を汚す事が出来なくてちょっと残念。
・・・つづく
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