X君
「いっいっいや、こ、ここ、こ、ここがね?・・・・・るんですよね。そっ、それでね?・・」
またお前か・・・
自己紹介の時からオーラが違うとは思ってたが、まさかコレほどとは・・・
「でっ、でもね?・・・・・・」
いいから。
「それで・・・・・」
わかったから。
「えっ・・? いや、そそそういう事じゃ無く、無くってですね?」
座れって。
「そっ、そっ、そこの部分がね?・・・・・」
何で前に出てくるんだ。
プッ・・・・
クスクス・・・
そら笑いたくもなるわ。
正直僕も面白くて仕方ない。
先生も大変だな。無視するわけにもいかないし。
・・・まあいつもの事なので仕方なしといった感じか。
自己紹介の時に失笑を買っていたX君。
こいつはまたトンでもない逸材だった。
何か気になる事があると突然しゃしゃり出てきて、さっきみたいな喋り(おまけに妙にカン高い声)でまくしたてる。
それは何も授業に限った事ではなく、休憩時間に各々何かしらして時間を潰していても、
突然「そっそそそれは?」等と聞いてきたりする。
みんな、X君に絡まれた人を見かけると哀れみの念を送っていた。
近寄り難いと言うより、近寄りたくない人物。近寄ってきて欲しくない人物。
あまりの変人っぷりに話しかけられても完全無視を決め込む人までいた。
「みんながそれぞれ課題をしている間に、俺はX君で遊んでおくかな。」
なんて言いだすこれまたすげぇ先生までいた。
いや、凄いのはソコまで言わせるX君の方かもしれんが。
とまあいつもの如くクスクス笑いを受けながら席に戻るMr.X。
・・・どうでもいいけど上の服をズボンの中に入れるのはよせ。
ホントはズボンから出す方がだらしないんだろうけど、お前はベルトしてないんだからせめて外から見えないようにしろ。
全く・・・これほどまでに関わり合いになりたくないと思ったのはこいつが初めてだ。
僕だけじゃなくクラス全員がそう思ってる様子。
まさにリアルATフィールド。
専門学校ってのはいろんな人がいるんだな。
・・・つづく
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