第八話「すべては奴から始まった。」


暗雲立ち込め、雷が鳴り響く岩山・・・・

その鍾乳洞の奥深く・・・

レイ「人質とは、らしくないな、フォウ。」

フォウ「申し訳ありません、レイ様。でも、ワタクシは・・・・・・・」

レイ「言い訳はいい。・・・・・・・・もうさがっていいぞ。」

レイ「フォウよ。この娘、ハオをおびき出すには絶好のエサになる。丁重に扱えよ。」

お前ら今まで足止めしてきたじゃねえか。

それに味魔王はどこ行ったんだ?



ハオ「はぁっ!・・・はぁっ!・・はぁっ!・・・・はぁっ!・・はぁっ!・・・・・はぁっ!・・・・・・・・」

ハオ(待ってろよ・・・クミン! すぐに助けてやるからなッ!)

なんか変な岩肌の道を駆けていくハオ。

そこに。

声「待つんだ、ハオっ!!」

ハオ「誰だッッ!!?」

音もなく味影推参。

そして通せんぼ。

味影「頭に血が上った状態で 味魔王に勝てると思っているのかッ!?」

ハオ「うるさいッッ! こうしてる間にもクミンは・・・・・・・・・!!! 味影!! そこをどけェッ!!!」

大興奮。

でもそれはいつもの事だと思うんですけど。

味影「この馬鹿者がッッッ!! お前は今までの戦いで何を学んできたのだァッッ!!!!」

お前も人のこと言えんぞ。

味影「味道専心 無心の境地」

−バックには空中でリンゴを切るハオ

味影「相思相愛 愛の心」

−バックには手を取り合うハオとクミン

味影「因果応報 業の深さ」

−バックには柳緑花紅の肉片を持つ味魔王


味影「この心を忘れた今のお前が味魔王を倒そうなどと・・・・・笑わせるにもほどがあるッッ!!!」

ハオ「黙れッ!! これ以上邪魔するなら・・・・・・・お前を倒すッッ!!

倒すな。

味影「ええぃっ!! 所詮料理人は料理でしか己を語れん
    不器用な人間ということかッッ!!!」


え?何? 何言ってんの!? 何言ってんの!!??

味影「ならば!」

ハオ「いくぞォ! この牛肉を使って勝負だァ!!」

味影「よかろう! その勝負・・・・承知した!!」

ハオ・味影「いざ! クッキング・バトル!!」

拳を突き出す二人。

ついていけません。


クッキング・バトル


殴り合いですが、たまに奇怪な声が聞こえてきたりもします。

味影「中華忍法・揚げるの術!」

似非忍者を殴り倒してハオ勝利。

すると突然、満月をバックに岩の上に立つ味影の姿が映し出されます。

そして気合一閃。

味影「ハァッ!!

味影「パクリ。

なんだこれ。

〜料理解説〜

む・・!?・・・これは・・・・七色のスープか!?・・・・・・・・降り注ぐ太陽の光にも似た・・・・きらきらと輝くスープ・・・・・・
そう・・・これはまさしく虹。・・虹色に輝く・・・虹色スープだあぁ!!!・・・・・・・・・・・・
この・・・人に夢と希望を与える演出・・・・・・・・見事なりハオ!・・・・・・・・・・・・・・・
この味影・・・感涙・・・・・感涙の極みだァァーーーーーー!!!

〜終わり〜

味影「拙者と戦って少しは頭が冷えたようだな。

思いっきり殴り合ってたぞ。

むしろ殺し合い。

味影「しかしお前には、まだ教えねばならん事が!」

と。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!!!!!!!

突然地面が激しく揺れます。

味影「こ、これは・・・! ま、まさか! 早すぎる・・・・・・!」

「グオオォォォォォォォ・・・・・・・・・・!!!!!」

地面から巨大な手のひらが生えてきます。

ハオ「な・・・なんだこいつは!?」

ハオ「はっ! こいつはあの夢に出てきた・・・・」

味影「味魔神。」

は!?

味影「そう。すべては奴から始まった。近年の不作の元凶。 世界の全てを食い尽くす邪悪な存在。

え? え!?

味影「そして、白い髪の女の命を奪う悪の根源。・・・・・・あれはその一部だ。」

そういやあったな、そんな設定。

味影「世界中の食物を貪り喰い、白い髪の女の寿命を糧に生きる最強最悪の魔神。

どんな魔神だ。

味影「味魔王が白い髪の女を探すのも 奴を復活させるためだ。」

味影「見よ・・・拙者達が作った・・・・あの料理を。」

ハオ「ああっ!? 俺達の料理が・・・・干からびている!?

味影「奴に旨みを吸い取られたのだ。このままでは世界は奴に、喰い滅ぼされてしまうだろう。

味影「ハオ。お前はいずれ奴の本体と戦わねばならん。お前が食の世界を守るのだ!!

ちょっと無理があるぞ、この展開。

味影「奴は料理の旨みを吸い取って肉とする。つまり、奴の体もまた一つの食材なのだ。
    食材を葬る術は、ただ一つ。料理だ。料理こそ、奴を倒す唯一の手段なのだッ!!」


もうわけわからないんですけど。

ハオ「なるほど!料理か! 面白い! ならば、文字通り料理してやるぜ!!」

ハオ「いくぞォーー!! いざ!!クッキング、バトル!!!」


〜CM〜


ハオ「くそうっ!! 何故だ!? 何故俺の技が効かないッ!!?」

技を繰り出すな。

味魔神「グオオオォォォォォォォッッ・・・・・・・・!!!!!!」

味魔神の手のひらに光が集まる!

ハオ「し、しまったあぁ!!」

味影「ハオォォォーーーー!!!!」

味影「あまたの食材よ! 拙者の技で消化せよ! 一刀瞬断!! 饗死烹斬!!!」

シュッ!

ハオを助け出す味影。

まただんだんと料理と関係なくなってきたな。

味影「あぶないところだったな、ハオ。」

バックには満月。

ハオ(この声は・・・この包み込むような優しい声・・・・どこかで聞いたような・・・・それに今の技は・・・・・)

ここまできてようやく声に着目。

でも気づきません。

そしてここから、とんでもなく料理とかけ離れた展開に。

味影「拙者に呼吸を合わせるんだッッッ!!!」

味影「いくぞおおぉぉぉぉ!!! 玄武! 白虎! 朱雀! 青龍!

白目をむいて金色のオーラに包まれる味影。

ハオ「こ、これはァッ!? 味四天王の力!!」











味影「今だハオ!! 奴の中心部を撃て!!!

味影「味世界の神々よ・・・・今こそ我らに力を与えよ!!」

印を結ぶ味影。

味影「妖魔 封滅!!!」

ハオ「悪霊 退散!!!」


ハオ・味影「四聖獣!! 疾風怒涛斬んんーーーーーーーー!!!!!!」

シュゴオオォォォォォーーーーンン・・・・・!!!!!!

味影「これで奴は裸になったも同然・・・! 後はお前次第だ! 行けえぇぇ!! ハオォォォ!!!」

ハオ「いくぞォォォ!!! 生者必滅! 死者割烹! 活殺自在! 人業剣!!!!」

味魔神「グオオォォォォォ・・・・・・・!!!!!!!」

味影「よくやった! 見事だ、ハオ!!」

味魔神(の一部)死亡。

恐るべきクッキング・バトル。

ハオ「あんたが力を貸してくれたおかげさ。」

味影「それは違う。お前から力を引き出したのは 仲間、ライバル、そして強大な敵なのだ。拙者はきっかけを与えたにすぎない。」

味影「お前を愛し、見守ってくれる仲間。」

味影「良き競争相手として、互いの力をぶつけ合うことができるライバル。」

味影「そして、お前の力を極限まで引き出してくれた大いなる敵。」

味影「彼らなくして、今のお前はなかっただろう。それを忘れてはならん。」


ありがた〜い説教の嵐。

当然バックは満月。

ハオ「・・・・・そうだな。しかし、なぜ俺にここまでしてくれる? あんた一体何者なんだ?

まだ言うか。

味影「いずれわかる・・・・・グゥッ!

突然苦しみだす味影。

血が滴り落ちてます。

ハオ「どうした!? 味影!! ハッ・・・! まさか、あの時ッ!?」

味影「心配無用・・・忍者はこの程度では死なん・・・!! それより・・早くクミンのところへ行ってやれ・・・・・・!」

ハオ「すまん・・・味影・・・・・! 死ぬなよ・・・!!」

どうやら瀕死。

ざっざっざっざっざ・・・・・・

迷わず放って行くハオ。

なんて奴だ。

味影「フッ・・・我ながら・・・損な性格をしている・・・・・・!」

ハオ「待ってろよ!クミン! 今行くぞ!!」

巨大泥人形(味魔神)と味魔王を背景に次回へ続く。


第八話 終


次回予告


来い! 我が弟よ!! お前の全てを懸けてッ!!!

あの優しかった兄さんはどこへ?

変わり果てた、兄の心に打ちひしがれるハオ!

支えを失ったハオの胸に、ライバルの魂の声が響く!

今、全ての謎が解き明かされる!

次回!クッキングファイター好、第九話!

料理は心だ!

一品の前菜にも、魂を注いで・・・!


いよいよ・・・・ラスト二話・・・・・・・・・!

・・・・・・・・・・・・つづく

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