2014年10月  生湯葉、生麩を都内で楽しむ

■家族の時間

 ◯台風の影響で週末は雨模様。 買い物に出る予定も取りやめ、夫婦で撮り貯めていた映画を観ました。
  
  高倉健主演『あなたへ』、3度目でしょうか。 観る度に印象深くなる映画ではあります。

  この映画のテーマをしっかり考えるなんてやはり歳なんでしょうかね。
  
  “あなたにはあなたの人生がある”。 一見突き放しているような言葉で寂しいけれど、 実は愛する人の事を真から考えての言葉なんですね。

  なかなか言えないですよね。自分が亡くなったら早く忘れて新しい人生を歩んで欲しいなんて。

  淡々と進む長崎県の小さな港町への散骨の旅。 迫られ出かけた旅そのものへの疑問、道中に出会う様々な人生(主に各々の夫婦の)の機微を降りまぜてすすみます。
  
  何度か流れる宮沢賢治作詞・作曲の「星めぐりの歌」を謳う亡き妻(田中裕子)の歌が旨い!。 特に夫婦の結び目となった舞台の兵庫県朝来市竹田城跡でのコンサートは印象的です。

  この城は今は一大観光名所の“天空の城”として有名になりましたね。

  終着地の港町を散策していて写真館で亡き妻の子供時代の古い写真を見つけて夫はこの旅への答えを見つけます。

  「ありがとう」。

  更に進んでエンディング。 「今日私が鳩になりました」法職に属していた夫(高倉健)はいつ渡された写真の意味を理解したのだろうか。
  
  “このみちや いくたりゆきし われはけふゆく“  種田山頭火の句でのエンディング。

  考えました。いつものことですが・・・単細胞の頭で


  映画を見ながら、夫は自分の理解力の幼稚さに気づきながらも、自分の人生に置き換えて心が少し豊かになったような気がします。

  外には出られなかったけど、良い週末を過ごしました。 家の外に降り注ぐ雨音は段々強くなって来ました。





 ○生麩や湯葉食べたいな。

  2年前、京都五条【半兵衛麩】で頂いた麸づくし、また食したけど京都まで出かけるのはおいそれとはいかない。
でも食べたいという欲求は消せないですね。
生麩や湯葉料理はカロリー少ないのに目と舌でたっぷり楽しめるし。
 というわけで二ヶ月前から予約してしまいました。
その店は都内北千住【宇豆基野
工房のある本店で頂くのは1種類だけのランチメニューだけだそうです。
2,800円(税込)は高いけどな。【半兵衛麩】から比べれば安いかあ。
取り敢えずせっかくの機会なので夫婦だけではもったいない
都内に居る長男に連絡して参加してもらうことにしました
素晴らしい2時間のランチでした。 料理だけでなくパホーマンス点を加えれば★★★

1F7卓20席ほど、2Fにも団体が入れるくらいの席数がある。くみ上げゆばは1Fの入口にしか無いので、2F席の方は何度も階段を降りてくることになる、雰囲気もあって1F席の方が断然いい。
予約時間前に入店してお土産に買った4品のうちの1品
ゆばキッシュ 550円
中はタコとサーモンがぎっしり。
スイーツみたいなデザインに惹かれました。味はスイーツじゃなかったあたりまえだけど。
品書き
10月神無月の献立です。
予約の名前を呼ばれて席に案内され、まず目の前に
出されたメニュー表
最初に豆茶
そして今日のコースメニュー
通りに次々とテーブル席に運ばれてきます
まずは食前酒
豆乳ぶどうジュース
旨いわ。
最初から引き込まれちゃいました。
先附(湯葉三種)
冷えた竹の器に3種類の湯葉。
右から
汲み上げゆば
さしみゆば
平ゆば
手前の付け汁も3種類
オリーブオイル
たまり醤油あん
岩塩レモン汁
う〜ん
贅沢だな。
まずはお店の方のお勧め通りに箸を走らせます。
平ゆば
最初に出来る湯葉だそうです甘味は控えめですが濃厚ですね。
日光や京都の湯葉とは違う
次に刺身ゆば
きっちり切られず布のような感じ。舌触りを楽しみました。
最後にくみあげゆば
一番甘みがあるそうです。
更に形が崩れますが旨味は増します
最後じゃなかった。
竹筒に残った豆乳をスプーンですくい上げます。
これこそ勿体ない。
豆乳は体にいいそうですしね。
実は最近自宅の食事では最初に豆乳(豆冨も出来る濃度の奴)は欠かせません
寄せ豆腐
パフォーマンス第一弾
厨房でなく。客席の中央にテーブルを構えそこで説明を始めてからにがりを注ぎひたすらかき混ぜます。
写真撮りOK
若い女性でしたが力を込めてかき混ぜやがて固形状態になりました。
寄せたて豆冨。
固形状態になった豆冨を個別にすくい上げて客卓に運ばれました。
寄せ豆腐は醤油餡を掛けいただきます。
出来たてで不味いわけがない。
いや濃厚で言葉がなくなります
この間にくみあげゆばを取りに全員で移動
つまみゆばとも言うそうですが箸で四方を一度切った上で一気に引き上げ器に盛って岩塩を少し掛けてもらいます。最初の1枚は半分ずつ、これ以降は好きなタイミングで取りに来ていいそうです。その場合は半身でなくまるまる1枚でOK
自分で掬い取った汲み上げゆばを席に持ち帰り、先ほど配られた寄せ豆冨と一緒に頂きます。
こうなるともう口の中、胃の中はグルテンまみれ。
碗は土瓶蒸し
松茸、鱧、海老
銀ナンに三葉
酢橘の半身が味代わり
数杯はそのまま碗の中の具の香りを楽しみます。
濃い味のゆば系が続いただけに口直しにはいいタイミング


茶碗蒸しの具です。
松茸、鱧、海老、銀杏、三葉、最後に具を全て碗から出して酢橘を再び注いで頂きました。
当初の思い通り香りを楽しむ汁の方がいいですね。
別料理なら具のほうが楽しめるんでしょうけれど
みあげゆば2枚目
適当な時期に席を立って汲み上げゆばの取れるお店の正面へ移動し箸ですくい上げます
いい感じですね。
今度は何を付けていただこうかな
いや、やはり係の方が卸し金と岩塩塊を持って待ってましたので掛けてもらいました
秋サラダのメイン造り
パフォーマンス第2弾
ローストビーフの塊1本を厨房から運んできて客の目の前で切り分けて盛りつけます
サラダドレッシングは
何と言っても豆乳ドレッシング
やはり美味いですよ。
秋サラダは
松茸、占地茸、
ちらし銀杏、三種野菜、ローストビーフが
ドレッシングして頂く頃には頭のなかに満腹中枢が舞って来ました
食事
焼き秋サンマと渋栗
これもパフォーマンス第3弾
1升炊きの御飯の上に焼きてての秋刀魚を身をほぐして乗せて目の前でかき混ぜます、湯気が立って臨場感ありあり。出来上がったら碗に移しわけぎ、生姜をのせ客に提供
食事のお供は汁
赤だし汁
更に佃煮、昆布
混ぜ御飯はお替わりが出来ましたのでお願いしました。
このころはもう腹8分目
グルテン恐ろしです
甘味3種類は
まず抹茶ババロア
笹巻麸万頭
抹茶ババロア
美味しい
程度の程よい甘み
お替わりしたいくらいです
笹巻麸万頭
これも出来のいい一品
一個じゃ少ないわ
3種類目の甘味は
目の目で作ってくれる
わらび餅
パフォーマンス第4弾
熱々の湯気の立った器の中のわらび汁をヘラでかき混ぜる
熱そうですね。かき混ぜ役の女性の腕は過去の勲章というべき火傷の痕が幾つか見えます
半練り上に出来上がったわらび餅に直ぐにきなこで包み小皿に盛り付け
甘味の三品どれもいい出来です。単品でも売り出せる仕上がりだと思います
汲み上げゆば5枚目
この間にも席を立って自由にくみあげゆばを取りに出かけます
汲み上げゆば6枚目
これで終了
妻は4枚、長男は5枚だったかな。他のお客さんも少ない方でも4枚はいってましたね
ランチにしては高い2,800円(税込)も、甘味3種類を頂く頃には3人共「是非、また来たいね」と言い合っていました。