ルーディーは疲れていた。

 今まで結構汚い手や強引な手を使って、それなりの成績は上げてきた。
 別に他人が悲しむことや苦しむことなんかはどうでも良かったんだけど、今ではその対象が、「何もかも」になってしまったというだけのこと。
 取り立てて驚くほどのことでもない。よくある話。だけど、彼女がちょっと他のケースと違ったのは、いたずら心を起こしたってコト。
 偽のラブレターを書いてみたりとか、ホームの酔っ払いのサイフを盗んでみたりとか。
 取り立てて驚くほどのことでもない。ルーディーはちょっと疲れていただけ。「笑わなきゃやってられないわ。だって世界は無意味なんだもの」
 でも、ルーディーのいたずらは日増しにひどくなっていった。社長の飲むコーヒーにタバスコを入れてみたり、得意先に送る書類をライバル会社に送ってみたり。
 スリルだろうか? 無意味を楽しむということは刹那的な快楽なのかもしれない。




 それから数ヶ月が経った。
 えっ、彼女が今どうしているかって? 結論から言えば、前と何も変わってはいない。いや、ちょっと違うかもしれない。ルーディーは仕事を楽しむようになった。少なくとも表向きは。
 今まで無感動なままに他人を陥れたりしてきたんだけど、今や彼女はそれを自ら率先して楽しみつつできるようになっていた。
 彼女はもう疲れない。すべきこととしたいことが同じになったから。
 彼女は考えない。考えても無駄だから。
 全てを捨て去って、人格さえも削り取りながら彼女は生きる。生きる理由もありはしないというのに。

続く。