HELLO TAXUS Book Mark

 Sometime  LIGHTS  他人の気持ちはわからない
「私、石倉さんの事、かっこいいと思いますよ」
「はぁぁぁあ?」
彼女の発言は唐突だった。
「留美ちゃん。どうして?あんっっっっっな男の何がかっこいいの!」
「え?、だってかっこいいじゃないですか。仕事とか、すごい頑張ってて・・・」
「あれが頑張ってるように見えるの!?」
石倉という人物は、この二人の目には正反対に映っている。
「見えますよ!」
「あんなさいっていな男そうそういないよ。汚くて、だらしなくて、いい加減で、 自分勝手で、ヒステリーだし。背はともかく、顔もたいした事なくて、借金あって。 あれがかっこいいわけないじゃない!!」
「随分な言われようですね」
「そりゃそうよ」
「何〜誰の話?もしかして石倉さん?」
麗が話しに割り込んできた。
「そう。石倉よ」
「麗さん、何で分かるんですか〜?」
「そりゃ分かるわよ。静ちゃんにここまでいわれるような人って言ったらね」
「皆そんな風に見てるんですね・・・」
留美は二人から視線をそらす。
「留美ちゃん。石倉の事なんかどうだって良いじゃない。彼氏いるんでしょ?」
「いますけど・・・私のお父さん、”ヤ”だから・・・それ知ったら・・・」
「・・・大事にしな。優しい彼なんでしょ?」
「でも、なんか頼りないって言うか・・・もっとしっかりして欲しいような・・・」
「良いじゃない?何でも言っていろいろやってもらえば?」
「でもやっぱり、こう、頼り甲斐があって、力強いほうが良いかなって思うんですよ。 石倉さんみたいに」
「だめだめ、あんなの!我侭なだけよ」
「そうよ〜やめときなさい。良い彼が居るんだから」
先輩二人には、反論など通じるはずもない。
「私、タバコ買ってきます」
留美はその場の空気に耐えきれなくなって外へ出た。

時間を作る、
時間をつぶす。
時間をもたせる。
時間をつなぐ。

タバコは時間に対して些細ながらも影響力を持っている。
青白い煙を漂わせ、時間を眺めている。
”灰皿に積もる、私の時間”  そんなフレーズもあった。
「ところで、静ちゃん。この話聞いてどう思う?」
「どの話?」
「知り合いのこの話で、その娘ついこの間結婚したんだけど。 その相手がね。好きな人の友達なんだって。」
「何それ。本当の話?」
「うん。で、それ本人から聞くまでぜんぜん気づかなかったんだよね。 だって、誰から見てもその結婚した二人は、すごい仲が良いんだよ。 その好きだって言う相手の前でもべたべたしててさ。 信じられない話だから、理由聞いたのよ。そしたら、こう言うのよ

『旦那とその人は、親友で、その人の彼女と私は親友だから、 会おうと思えば会いに行ける。
もちろん、ちゃんと告白して・・・ って言うのも考えたけど、それだとうまくいってもいかなくても、 彼氏と友達なくすから・・・』

って。どう?」
「やな感じのシチュエーションだね。友達の彼氏とか、好きな人の友達とか、 絶対嫌。遠慮します」
「静ちゃんならそうだよねぇ〜」
「そりゃそうよ。でも・・・その本人がそれで良いなら、良いんじゃない?」
「上手くやってるみたいだし、そうかもね。ま、私にはわかんないけどね。 彼女みたいな感覚は」
麗の目の前をうす青い煙が登っていく。
「私にしてみれば、麗ちゃんの方がわかんないわよ」
「そお?」
「うん。何でいつも似たような・・・弱気で情けなさそうな男ばっかり彼氏にするのか」
「情けなくなんかないよ〜ひどいなぁ。大体静ちゃんだって・・・」
「留美ちゃん遅いねぇ。どこまで煙草買いに行ったのかしら」
強引に麗の言葉をさえぎった。
望むもの・・・
どうあっても手に入れる事のできないもの。
それが欲しい。
どう足掻いても叶えられない望み。
叶えたい望み。
私の望みを叶えないでください。
叶えないでください。
その望みが叶う事は・・・あるのか?

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Last Up Date 2001.11.04 By Fey