2004/07/25(改)
2006/01/01(追加)

化粧文化の講座を開設にあたって

日本で最初の講座です。
  2005年度 大阪樟蔭女子大学学芸学部被服学科のパンフレットにご案内のように、化粧文化の講座が9月から開設されます。
 男性も眉化粧をはじめ、よそおうことを当り前にする時代、日本には「化粧」を本格的に考える講座がありませんでした。
 大阪樟蔭女子大学では日本で最初の化粧文化の講座を今年からスタートさせます

美の専門家を目指して
 まずは科目として「顔と化粧の心理学」「身体装飾論」「化粧文化論」「美の産業と消費と社会」を中心に進めます。
 化粧に興味ある学生なら誰でも参加できます。なにげなくおこなってきた化粧について、自ら問い直ししてもらいながら、人がよそおう意味を多面的に学んでもらいます。
 もちろん、実験など可能なことは体験しながら、体験を通して考えてもらう作業です。
 最終的には 美の専門家、ビューティコンサルタントとでも呼べるような多様なセンスと豊富な知識をもって一人ひとりの美の相談に的確なアドバイスができる人づくりを目指します。

常に社会との接点を求めて
 大学ではまだメイクの技術は直接は学べませんが、化粧品会社はもちろん、美容外科などのビジネスレベルから高齢者へのメイクボランティアまで、幅広く活動の場がすでに存在しており、そのための基本的な考え方を学ぶことができます。いわば「人を美しくするための活動」の基礎を学ぶ場といってもいいでしょう。ただし、多様な経験が自分の力を大きくしますから、大学だけでなく、社会における活動を積極的に体験することが大事です。

好きな理由? 美の基準って?
 さて、大学での授業の話に戻りましょう。  化粧や顔、からだの美を考えることもやってもらいます。あなたはなぜ化粧するのでしょうか。
 顔、からだの中で好きな部分、嫌いな部分はどこですか。どうして好きで、どうして嫌いなんですか。
 好き嫌いの基準とは何でしょう。昔の基準は何だったのでしょう。今と同じだったでしょうか。
 世界における基準はどこでも同じでしょうか。それとも違うのでしょうか。 違うとしたらどう違うのでしょうか。似た顔をしている日本人、韓国人、中国人、美意識は皆同じでしょうか。違うのでしょうか

美のための消費
 現代社会では、人は美しくなるために、たいへんな消費をしています。
化粧品だけでなく、食べ物から補助食品、運動(エクササイズ)するための道具類、エステ、フェイシャルフォト、レーザー光線、美容整形、などなど、さまざまな産業が関わりはじめています。
 そのために使われている金額を合計したら、途方もない金額なはずです。
 それぞれの産業はどんな内容で、どんな役割をしているのか、問題点、課題は何なのか、など多面的に語られ、議論されることはほとんどなかったと思います。

疑問をもち、解明することから、バランスの取れた美が
 いろいろな疑問を一緒に解決しましょう。決して答えは一つではないかもしれません。あるいは、わからない場合もありえます。わからないことが答なんているわからないことも起きるかもしれませんが、チャレンジしながら、半歩でも進んでみましょう。
 美を多面的に学ぶことは、結果的に、自分自身が美しくなれることではないかと思います。外見だけでなく、外見にふさわしい内面をもった魅力ある人、すばらしい内面を外見にも表現できる人、内面と外見、さらには生き方をも含めた全体のバランスの取れた人が 生まれることを期待しています。
  しかも、人に対してもすばらしいアドバイスができるようになれば、もちろん喜ばれますよね。

21世紀の挑戦です
 今までにない美の専門家、おそらく4年だけでは足りず、人によっては一生学びつづけることかもしれません。
 まだまだ、チャレンジすることばかりでしょうが、21世紀という新しい時代に、求められている「美」の学習の場の一つとして、まず一歩を踏み出してみませんか。

村澤博人



参考 2006年度 大阪樟蔭女子大学学芸学部被服学科のパンフレット
 2006年度 大阪樟蔭女子大学学芸学部のパンフレット