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No.46やっぱりおかしいフィギュアスケートの採点(2010/2/24)


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やっぱりおかしいフィギュアスケート採点方法(2008年末執筆)
キム・ヨナのショートプログラム(SP)点数を見て改めてフィギュアスケートの採点に違和感を持った人も非常に多いだろう。
キム・ヨナがトップに出るとしても4.72点も差がつくのは到底納得できないと思った人が多数だったのではないだろうか。観客の演技に対する反応が誰が素晴らしい演技をしたのか如実に表しているだろう。

浅田真央は五輪史上初めてSPで大技トリプルアクセル(3A)を成功させ、フリーと合わせても1992年のアルベールビル大会で伊藤みどりが成功して以来18年ぶり二人目の3Aを成功させ、他の要素もミスなく滑り切った上で技術点で3.20点も引き離された。
ジャンプ以外の要素でも、どう見てもスパイラルは浅田の方が圧倒的に奇麗でぶれておらず、ステップに至っては浅田とキムでは比較にならないほどの動きの違いがあり、なおかつヨナはつまづいているミスを犯していながら技術点で大きく浅田をリードしたのは理解不能としか言いようがない。

詳細なポイント(PDFファイル)を見ると浅田とキムの基礎点はキムが0.50点リードしている。そして加点で2.70点キムが浅田を上回って合計3.20点技術点で浅田をリードしている。
加点の中身を見ると納得できない数字が並ぶ。まずキムの3Lz+3t(トリプルルッツ+トリプルトゥループ)はセカンドジャンプの3tは回転が怪しく、着氷後の流れもなく、これに加点2もつくのはありえない。どんなに甘めに採点しても加点1が上限で0か-1が妥当だろう。
対して浅田の3A+2tの加点はたったの0.6点だ。トリプルアクセルをクリーンに決めて2tもしっかりと決めたにも関わらず0.6点の加点というのはあまりにも採点が辛い。

このコンビネーションジャンプで二人の差は1.9点もついている。難易度と内容を考えると圧倒的に難しいことにチャレンジして成功した浅田が大きく劣った点数しかもらえないのは明らかに採点システムが欠陥だと言えるだろう(加えてジャッジの採点もおかしい)。

スパイラルシーケンスは二人ともレベル4で加点2と同点だった。美しさは誰がどう見ても浅田の方が数段上なだけに演技を反映した得点とはとても言えない。
スパイラルが非常に美しい選手といえば長州未来も該当する。長州のスパイラルもキムよりも遙かに見栄えが良く、キムより得点が出て当たり前だが、レベル4をもらいながら加点は1.6点とキムより低評価というのは説明がつかない。

長州は演技構成点でも非常に抑えられた点数しかもらえず、キムの33..80点(男子選手を上回る点)に対して26.76点と7.04点も演技構成点だけ差をつけられている。キムと長州の滑りにそのような大差があったとは誰も説明できないだろう。説明できるとすれば行われた演技に対してではなく実績がないからとしか考えられない。目の前の演技を正当に評価できないフィギュアの採点システムは特に日頃はあまりフィギュアスケートを真剣に見ていない視聴者の納得は絶対に得られないだろう。

女子での採点も酷いものだったが、男子も摩訶不思議な点数が出ていた。4回転なしで無難な演技を完璧にこなして優勝したライサチェックと大技の4-3を2回決めたプルシェンコの論争は有名だが、地元カナダのパトリック・チャンのフリースケーティングの得点は買収があったと見て差し支えないほどあからさまな高得点だった。
チャンの滑りは明らかに精彩を欠いており、それにも関わらず160.30点をマークしている。4回転もなく、3Aを転倒し、3Lzも失敗した選手が4-3を決めたプルシェンコに技術点でたったの3.41点しか変わらない点数をもらえるのだから常軌を逸している。

プルシェンコと言えば採点システムの批判派の急先鋒で、ことあるごとに4回転の重要性を説いて4回転に挑戦せずに勝てるようではスポーツとして退化してしまうと警鐘を鳴らしてきた。しかし、採点に対する批判がジャッジの心証を悪くし、SPでは演技構成点で大きく下げられてしまい、SPで演技構成点で正当な得点をもらえなかったことが連続金メダルを獲得できない大きな要因となってしまった。

難しいことに挑戦するというスポーツとしての魅力よりも無難な技を完璧に滑る方が圧倒的に高い得点をもらえる採点システムというのはどう考えてもおかしいことだ。

フィギュアスケートはスポーツとして、競技として死んでいるのが改めて確認された五輪となってしまった。
得点や順位を全く気にせず、選手個々のパフォーマンスのみを楽しもうとしない限りフィギュアスケートを心底楽しむことはできなだろう。それだけフィギュアスケートの採点は疑問だらけとなっている。
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