ココおかしいと思いませんか?No.35
TVではほとんど放送されない当たり前に考えるとWBCのおかしな所


放映権を持っているテレビ朝日やTBSのみならず各局総出でサッカーワールドカップ並みかそれ以上の露出をおこなっているワールドベースボールクラシック(WBC)。日本にいるとワールドカップと同等の価値があるのではと錯覚してしまうほど各局の熱の入れ方は凄まじい。

−辞退者の山−

他の競技では世界選手権クラスの大会を怪我など、やも得ない事情以外で辞退することはほとんどなく、誰もが世界大会に出場したいと願うのが普通だ。
しかし、WBCでは主催国であるアメリカでは辞退に次ぐ辞退で昨年優秀な成績を収めた投手が総辞退という(結局松坂が参加選手中ナンバー1の実績投手に繰り上がり)トップレベルの選手からも避けられている。

アメリカやドミニカに大量の辞退者がいるが、積極的な日本ですら中日が非協力的姿勢で一人も選手を送っていない。落合監督は野球界の中では異質な人間で周りの状況がよく見えていてWBCに協力したところで日本のプロ野球にメリットがないことは分かっていたのだろう(冷静に考えればメリットどころかデメリットの方が大きい)。

−曖昧な国籍規定−

WBCが適当な国別対抗オープン戦というに相応しい事例として国籍が実に曖昧なところにある。アメリカ国籍でも先祖がイタリア人ならばイタリア代表として出られるなどレベルの格差を縮小しようとしてアメリカ人を他の国の代表で出してなんとか国際大会らしく取り繕おうとしている。

−大陸予選は?−

世界大会といえば個人種目であれば世界ランキングや標準記録をクリアしたものに出場権が与えられ、球技では大陸予選を勝ち抜いてようやく世界大会に出場できる(個人種目でも大陸予選を勝ち抜いて出る種目もある)。

WBCはアジアラウンドがアジア予選のように見えてしまうが、実は既に本戦なのだ。大陸予選もないのにいきなりベスト16から始まってしまうWBC。いかに野球が裾野の狭い限られた地域でしか行われていないかを表している。

−どうしてシーズン開幕直前に開催?−

そもそもWBCの開催時期がキャンプ中の調整段階に行うのか普通ならば疑問に思う。他の世界大会でシーズン開幕前に行うことはない。WBCは五輪を夏場に行うのではなく、2月か3月に行っているようなものだ。これでは選手が最高のパフォーマンスからは程遠いというのも納得だろう。つまり辞退した選手が多くそれでなくてもレベルが低下しているのにシーズン開幕前ということでさらにレベルの低い大会に必然的になってしまう。それもメジャーリーガー達はこの大会に合わせるのではなく、あくまでメジャーリーグのシーズンに成績を出せるような調整をしているのでこの3月開催で特に打者は本来の力を発揮しない選手も多く出てくるのは当然だ。

−投球数制限−

曲がりなりにも世界一を決める大会だというのなら野球のルールに遵守して行われるのが当たり前だ。しかし、投球数制限というメジャーリーグでも日本のプロ野球でも五輪でも定められていない特別ルールの下で行われている。
サッカーのワールドカップが欧州のシーズン前に行われたとして、疲労をためるのは良くないから前後半30分ハーフで試合をしようとなったらその大会の価値に疑問を持たない人はいないだろう。

−韓国と何度も当たるおかしな組み合わせ−

球技の国際大会であれば世界ランキングを基に組み合わせを決めるか、抽選を行って組み合わせを決める。
しかし、WBCは主催者が勝手に組み合わせを決めている。さらにおかしなことは1次リーグを勝ち上がった同一グループ国がまた2次リーグの4ヶ国の中で一緒となる奇妙な組み合わせだ。普通はグループリーグを突破した国は別グループに分けられる。しかし、WBCは1次リーグの同一グループ国と何度も当たる方式となっており、日本に馴染みのないダブルエリミネーション方式のために日本は韓国と5回当たる可能性がある一方でアメリカやベネズエラ、プエルトリコ、ドミニカとは最大1回、当たらない可能性の方が大きいという滑稽な組み合わせとなっていた。スポンサーや放映権料等の最大のお得意様の日本に対して最大の配慮をして勝ち上がりやすくしているようにしか見えない。
幸い大部分の日本人は日本より強いと思っているのがアメリカしかいないと信じており、キューバや韓国は強敵だが負ける可能性はあるものの日本に分があると思っているのではないだろうか。
しかし、本当はドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコと試合をすれば日本の方が分が悪いことなど大多数の国民は知らない。その隠された事実を表に出さないためにもこの組み合わせは非常に都合がよいものとなっている。

−閑古鳥鳴く観客席−

アメリカ人はその競技をじっくり楽しむというよりもその場の雰囲気を楽しむといった印象があり、アメリカ人はどのような競技でもスタジアムによく足を運ぶという印象がある。
しかしWBCはアメリカ戦以外はもちろんのこと開催国のアメリカ戦ですらガラガラのスタンドはアメリカがWBCに関心がないことを如実に表している。
準決勝以降でもこの状態が変わらないと第3回は永遠にない可能性がある(赤字を出してまで続ける意味はない)。

バスケの世界選手権が日本で開催された時でさえ観客席は日本戦以外でも埋まる試合もあった。バレーボールでさえ開催国の日本戦であれば満員になる。WBCは野球の本場でスポーツに足を運びやすいアメリカ開催でありながら閑古鳥が鳴くというある意味WBCの価値に見合った状態で、五輪やW杯と比較しようとすることすらナンセンスだ。

−1発勝負に向かない−

そもそも野球というものが1発勝負に向かないという競技上最大の欠陥を抱えている。野球は投手の出来不出来があまりにも勝敗に影響を与えすぎる。さらに投手の調子というのも試合ごとにかなり波があるので1回試合をしただけで勝った方が強いなどと言い切れない。たまたま「運よく勝てました」という程度だ。
だからこそ韓国に連敗していた日本が前回大会準決勝で勝てたのも実力ではなく、たまたまその日は日本に運が向いていたという程度と考えた方が良い。だからこの大会方式で優勝して世界一からの挑戦と大威張りしていた日本の姿はあまりにも滑稽だった。



このように多くの点でWBCは他の競技の世界大会と比べてもスケールの小さな大会だということがよく分かる。それでもマスメディアはいかにWBCが凄い大会かのごとく伝えようとしている。多くの国民からマスメディアが信用されなくなっているのはこういう事実を伝えようとしない姿勢も非常に大きいと感じ、自業自得という他ない。
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