スポーツコラムNo.62

水増しを続けるプロ野球(2011/4/25)


−実数風水増し−

プロ野球の観客発表は実際にスタジアムに足を運んだ人+シーズンチケットの販売数となっており、一般人が観客動員と言われて想像する実際にスタジアムに足を運んだ人を数えているものとは異なるものだが、そのようなことは一般的に知られておらず、プロ野球が発表する数字=観客動員として一般的に認知されているだけでなくメディアでもその数字を観客動員、または観衆として報じている。

シーズンチケットを上乗せするというところが肝でシーズンチケット販売数を公表しない限り事実上水増しし放題で実際のところプロ野球は相変わらず水増し発表を続けている。

東日本大震災の影響で楽天が神戸で試合をすることになり、シーズンチケットが適用できない試合を行っている(HP上で神戸の試合分は仙台での試合で上乗せできると発表している)。
にも関わらずどう見ても1000人から2000人ほどしか入っていないガラガラの試合を5633人とあり得ない数字を発表して水増しを認めるかのようなあからさまな発表を行っている。

東日本大震災の対応でプロ野球があまりにも自己中心的な組織で企業スポーツの本質そのままの似非地域密着だということは徐々に一般国民にも知られてきていると思われる。楽天は事務所ごと神戸に一時移転し、選手達も仙台に帰る機会がありながら帰る手段がなかったと嘘をつくなど選手監督がボランティアとして活動したベガルタ仙台の姿とどちらが本当に地域密着しているかよく表れていた(苦楽を共にするのが地域密着で地元がピンチになったトンズラすることを地域密着とは言わない)。

震災直後で地方開催という観客が入っていなくても仕方ない状況の中で正直な観客数を発表していればまだ実際に足を運んだ人+シーズンチケットの販売数という建前を信じる人もいたかもしれないが、楽天の発表によってプロ野球の水増し発表はグレーではなく真っ黒となった。

−NHKの罪も深い−

NHKのニュースウォッチ9ではプロ野球の結果に観客数を表示している。放送局の中でNHKは最も信頼度が高く、有事の時にNHKの視聴率が高くなることもそれを証明している。
そのNHKで主催者発表の数字を観客動員の数字として放送すればほとんどの視聴者は何の抵抗もなく実際にスタジアムに訪れている人数だと理解するだろう。
NHKは野球に非常に甘く、ニュースウォッチ9は特にスポーツコーナーが野球偏向になっている。NHK側もプロ野球側が正確な数字を発表していないのを知っていてそれでも数字を出しているのではないか。実情を知ろうが知らまいがNHKがプロ野球の水増し発表の事実化に加担している形には変わりなく、意図的にせよ無知からの報道にせよ報道機関としての信頼を損なう行為を行っていることに変わりはない。

小さいものを大きく見せかけようととするのがプロ野球の特徴だが、その象徴ともいえる水増し。一昔前の東京ドーム連日5万5000人発表の時は大本営発表だと誰もが気付くが現在では実数風発表に大手メディアを巻き込んでさも実数だと見せようとして悪質化している。

−年俸も水増し−

観客数の水増しと共にプロ野球を大きく見せようとしているのが年俸。オフシーズンの契約更改はTV、新聞を使って大々的に報道され、億単位の年俸を報道することによってプロ野球選手は価値のあるものだと刷り込んでいる。

しかし、プロ野球の高額年俸はプロ野球のみに適用される国税庁の通達があるからこそ実現できており、選手の年俸は野球の興行で得た利益からではなく、親会社の事業で得た利益から得ている場合が大半となっている。つまり親会社の本業が黒字ならば球団の年間数十億の赤字が広告費として認められ、NHKを始めとする大メディアで連日企業名を宣伝してくれるので特にブランド力がない新興企業には球団を持つことは特に旨みがある。しかしTBSやかつての近鉄のように本業が苦しくなると毎年数十億円の赤字を発生させる球団はお荷物でしかなくなり、身売りしようとする。

野球選手の年俸は野球の試合で稼いだものではなく、選手の年俸さえも球団の収入から出せる適正水準を大幅に超えた水増しとなっている(そもそも年俸を0にしても赤字になる球団もあると思われる)。



観客数の水増しに国税庁の通達によって成り立つ選手の年俸。この二つに限らず知れば知るほどプロ野球界の異常さを感じるのが通常の人間だろう。マスコミの庇護によってここまで日本ナンバー1スポーツとして生き永らえてきたが、インターネットの時代に暗部を隠し通すことは出来ないだろう。一刻も早くプロ野球が日本ナンバー1スポーツの地位から退場することを切に願っている。
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