スポーツコラムNo.50

ジャッジの目は節穴だと証明したトリノワールド(2010/4/9)


−正直者は一人だけ−

フィギュアスケートの採点には多くの人が疑問を持っていると思われる。このサイトにも「フィギュアスケート 採点 おかしい」などの検索ワードで多くの来訪者がある。

先月イタリアトリノで行われた世界選手権でより一層フィギュアスケートの採点のおかしさを痛感した人も多いだろう。

まず誰も感じたのがキム・ヨナだろう。ショートプログラム(SP)ではスピンは途中で止まり、スパイラルでも止まってしまい全体的にスピード感がなく全くやる気を感じさせない演技だった。

しかし、出てきた得点は60.30点。中身を見ると演技構成点はクリーンに滑った浅田真央と0.68点差の30.28点で2位とジャッジは何を見ていたのか疑いたくなるほど高い得点となった。

その内訳を見ると誰が目の前の演技を正直に採点し、誰が演技に関係なく得点を出しているのかが分かる。フィギュアスケートのジャッジは採点の並び順も選手ごとにランダムで公表されジャッジの匿名性が極限まで高く、どのジャッジが何点をつけているのか全く分からないようになっていて不正を行っても特定されない仕組みになっている。

キム・ヨナ A B C D E F G H I
スケート技術 7.50 8.25 8.50 8.00 7.75 7.50 7.75 7.75 8.75 7.95
要素のつなぎ 7.00 8.00 8.00 7.50 7.50 7.00 7.00 7.50 8.50 7.45
実行力/遂行力 5.50 8.25 7.50 7.25 6.50 6.50 7.00 7.75 8.50 7.30
振り付け 6.75 8.50 8.00 7.75 7.50 7.50 7.75 8.00 8.50 7.70
曲の解釈 5.25 8.50 7.25 7.25 7.00 7.00 7.75 7.75 8.75 7.45
30.28
平均点 6.40 8.30 7.85 7.55 7.25 7.10 7.45 7.75 8.60 7.57

浅田真央 A B C D E F G H I
スケート技術 8.00 7.75 7.75 8.50 7.00 8.00 7.75 8.25 8.50 7.95
要素のつなぎ 7.25 7.00 6.25 8.00 6.50 7.25 7.50 8.00 8.25 7.25
実行力/遂行力 8.00 7.75 7.75 8.25 7.00 7.75 8.25 8.50 8.50 7.95
振り付け 7.50 7.00 7.50 8.50 6.75 7.50 8.00 8.50 8.25 7.65
曲の解釈 7.75 7.25 8.00 8.50 6.75 7.75 8.00 8.25 8.75 7.90
30.96
平均点 7.70 7.35 7.45 8.35 6.80 7.65 7.90 8.30 8.45 7.74

長州未来 A B C D E F G H I
スケート技術 7.50 8.00 7.25 6.75 8.25 8.00 7.25 8.00 7.50 7.60
要素のつなぎ 7.00 7.75 6.75 6.50 8.00 7.50 6.75 7.75 7.00 7.15
実行力/遂行力 7.50 8.00 7.00 7.25 8.25 8.25 7.00 8.50 7.75 7.70
振り付け 7.25 8.00 7.25 7.00 8.25 8.00 7.50 8.25 7.50 7.70
曲の解釈 7.25 8.00 7.00 7.00 8.50 8.00 7.25 8.50 7.25 7.60
30.20
平均点 7.30 7.95 7.05 6.90 8.25 7.95 7.15 8.20 7.40 7.55

9人のジャッジがいてキム・ヨナに対する評価は最も低いAの平均6.4点と最も高いHでは8.6点と2.2点も違っている。
演技中何度も止まっているので実行力/遂行力の項目は低くなって当然だが、8点台が2人もいてこのジャッジは買収されているか違う演技を見ていたのだろう。

−GOEもばらつき−

毎試合異常な加点をもらえるキム・ヨナだが、過去の加点の正当性にも疑問が投げかけられるほど非常識な点がついている。

キム・ヨナ A B C D E F G H I
3F< -1 1 -1 -2 -2 2 1 0 0
Spsq1 -2 -2 -2 -3 -2 -2 -1 -2 -1

3F<というのはトリプルフリップを行ったが、回転不足だったことを示している。スローで見なくても明らかに回転不足のジャンプで態勢を崩しておりジャンプの質は非常に低い。転倒まではいっていないので-3はないにしても-2よくて-1のGOEがつくのが妥当と思われるが、Fは+2、BとGは+1の加点をしていてHとIは0点とどこに目がついているのか疑いたくなる採点を行っている。

Spsq1というのはスパイラルシーケンスでレベルが1だったということを示している。スパイラルと呼ぶのも憚れるスパイラルに-1しかつけていないGとIはなぜ-1にしたのか説明できるのだろうか。

キム・ヨナの場合は失敗した要素を見るとどれだけジャッジを味方にしているのかがよく分かる。この2つの要素だけで9人中5人のジャッジ(B,F,G,H,I)が非常識な点数をつけていてジャッジが正しく機能していないことを証明した。

−五輪から3.44点アップ−

五輪も世界選手権もどちらもショートで素晴らしい演技をした長州未来。五輪前のコラムで筆者はメダルを取れるだけの力はあるが、演技構成点が上がらないだろうと予測し、まさにその通りとなった。
全米選手権の演技を見れば長州がトップレベルの演技をしていることは一目瞭然なはずで五輪でもその実力を発揮したにも関わらずキム・ヨナとは演技構成点だけで7.04点の大差となった。

この演技構成点というのは他の選手との相対評価ではなく絶対評価となっている。つまり理論上同じ演技をすれば同じ点数が出るはずでクリーンに滑ればそれほど点数にブレは生じないことになる。

しかし、長州は五輪も世界選手権も両方とも良い演技をしながら3.44点も世界選手権の方が点が出ている。
注目すべきは最高点だろう。世界選手権では8.50点をつけているジャッジが複数いるのに対して五輪では8.00点が最高でそれも1ヵ所だけで6〜7点台で揃っている。それが五輪でショート、フリーともに良い演技をした実績が出来ただけで一気に点数が上がっているというのはいかに目の前の演技を正当に評価していないということの証明となる。

フィギュアスケートにそれほど造詣に深くない筆者でさえも長州がトップレベルの演技をしていることが分かるのだからいかにジャッジが実績重視で目の前の演技に対してはさじ加減程度の加点減点しかしていないのがよく分かる。
フィギュアスケートは回転不足を始めジャッジのさじ加減で大きく順位が変わるスポーツだけにこれだけジャッジが目の前の演技を正当に評価出来ていないとなるとフィギュアスケートの順位に意味はほとんどないと言っていいだろう。

長州未来
世界選手権
A B C D E F G H I
スケート技術 7.50 8.00 7.25 6.75 8.25 8.00 7.25 8.00 7.50 7.60
要素のつなぎ 7.00 7.75 6.75 6.50 8.00 7.50 6.75 7.75 7.00 7.15
実行力/遂行力 7.50 8.00 7.00 7.25 8.25 8.25 7.00 8.50 7.75 7.70
振り付け 7.25 8.00 7.25 7.00 8.25 8.00 7.50 8.25 7.50 7.70
曲の解釈 7.25 8.00 7.00 7.00 8.50 8.00 7.25 8.50 7.25 7.60
30.20

長州未来
五輪
A B C D E F G H I
スケート技術 7.00 6.75 7.00 6.75 6.75 6.75 6.75 7.25 7.50 6.85
要素のつなぎ 6.75 6.00 6.50 6.25 6.25 6.50 6.25 6.75 7.25 6.40
実行力/遂行力 7.00 6.50 7.00 6.75 6.50 6.75 6.50 7.50 8.00 6.75
振り付け 6.75 6.75 6.75 6.75 6.50 6.50 6.25 7.25 7.50 6.70
曲の解釈 7.00 6.75 6.75 6.75 6.25 7.00 6.50 7.50 7.50 6.75
26.76

キム・ヨナ
五輪
A B C D E F G H I
スケート技術 8.50 8.50 8.00 8.50 8.75 9.00 8.50 8.50 8.75 8.60
要素のつなぎ 7.75 7.75 7.50 7.75 8.00 8.50 8.00 8.25 8.00 7.90
実行力/遂行力 8.50 8.50 8.25 8.25 8.50 9.25 8.75 8.75 9.00 8.60
振り付け 8.00 8.50 8.00 8.25 8.50 9.00 8.50 8.50 8.75 8.40
曲の解釈 8.50 8.50 8.00 8.50 8.75 9.25 8.75 8.75 9.25 8.75
33.80
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