−スタートが違う− 日本人が最も注目したフィギュアスケート女子。浅田真央は前人未到で男子でも組み込むことが難しいトリプルアクセル(3A)3回成功という離れ業を見事に決めたもののキム・ヨナに大差で敗れて銀メダルに終わった。 ショートプログラムが終わった後からこのサイトの訪問者の検索キーワードに「フィギュアスケート 採点 おかしい」を使用して訪れる人が急増しており、多くの日本人が採点に疑問に思ったことだろう。 当然採点もさることながら用意周到な日本勢潰しのロビー活動がキム・ヨナとジョアニー・ロシェットのメダルに繋がった。 まず浅田と安藤が得意としていたコンビネーションのセカンドジャンプのトリプルループ(3Lo)をどんなに奇麗に飛んでもダウングレードにして二人の大技を封じた。基礎点では安藤のトリプルルッツ(3Lz)+3Loがキム・ヨナの得意技の3Lz+3トゥループ(3T)よりも高いために安藤に3Lz+3Loを認定されるとキムの3Lz+3Loの価値が周りと比べて飛びぬけた存在にならないためにとにかく3Lo潰しを徹底して日本勢の武器を取り上げた。 それでも浅田は3Aを3回、安藤はSPで3Lz+3Loを組み込んできたが、浅田は成功させたもののGOE(出来栄え点)が伸びず、安藤は回転不足と判定されて点を抑えられた。 浅田はルッツジャンプのエッジエラーを取られて3回転ジャンプで最高レベルの3Lzが跳べなくなる一方でキムはフリップのエッジエラーを取られることがなく、ここでも政治力の差を感じざるを得なかった(浅田の矯正前のルッツのエッジエラーは取られて当然だが、キムもeがつくジャンプをしていても最悪でもGOEに影響しない!で済んでいた)。 そして極めつけはキム・ヨナの点を上げるためだけにあるとも言えるGOEを利用してとことん上げて(キムはGOE+17.40、浅田は+8.82、長州は+8.50)フリーでは150.06点というプルシェンコが4回転+3回転を入れたプラグラムでも及ばないような技術点と演技構成点を出し、多くの視聴者がもう勝手にしろと思ったことだろう。 キム・ヨナはステップアウトなど誰がどう見ても減点せざるを得ない要素以外は全てに莫大な加点を与えられ、フリーに至ってはどこでステップをしたかも分からないようなステップでレベル3で加点1.00と遙かにレベルが高いステップを踏んでいる浅田の加点と僅か0.10点しか違わないという空いた口が塞がらない状態だった。 キムほど楽な精神状態で演技できる選手はいない。他の選手は回転不足を恐れ、GOEでのマイナスに恐怖し、レベル取りに必死だが、大きなミスさえなければ回転不足気味の着氷でグリっとしても加点2なのだから楽なものだ。 浅田は目の前で理解不能の150点超えを見せつけられてよく3Aを2回とも決めたと思う。普通の選手ならばあの点を見せつけられれば心が折れるだろう。あの点を見た時点で金メダルは100%ないと宣告されたも等しいのだから。浅田の動揺を誘ってミスを連発させてキムに次いで上げられているロシェットを銀にする作戦だったのではないかと思うほど150.06点はあり得ない点数だった。 −下げられたもう一人の日本人− アメリカ代表ながら日本国籍も持つ長州未来。多くの人がメダルに値する演技をしたと感じていると思うが、銅メダルのジョアニー・ロシェットからは12.49点の差がついての4位だった。 五輪前のコラムで長州はSPでの演技構成点(PCS)が25〜27点に抑えられると予想したが、キム・ヨナが33.80点と男子以上のPCSが出ている一方で長州は26.76点とPCSだけで7.04点も差がついた。 フリーでもキムの71.76点に対して長州は60.56点と10.20点も差がついている。この差がどこから来ているのか誰か説明できるのだろうか。各要素の質もスパイラル、スピン、ステップとジャンプ以外は明らかに長州に分があるように見えたが、技術点でも圧倒的にキムが上となっていた。長州のパフォーマンスでキムと合計38.41点差というのは誰一人として納得できる者はいないだろう。 −改めてフィギュアはスポーツとして終わっている− このコラムのように問題提起をするという動機がなければフィギュアスケートを真面目に見るのは馬鹿らしくてキムの演技など一切見ず、好みの選手のみの演技だけ見て順位など気にしなかっただろう。 女子では現在一人しか跳べない3Aを3度成功して、SP・FS通して2ミスの美しい滑りの選手が23.06点も負けるのだからスポーツではないのは明らかだ。男子が4回転を回避したライサチェクが優勝したのも限界に挑戦するスポーツの醍醐味からかけ離れていることを象徴していたが、女子は男子以上に不可解で不愉快な五輪となり、政治力で結果などどうにでもなることを見せつける五輪となった。それだけにヨーロッパのグランプリシリーズで観客がガラガラになるのも無理ないと感じ、正常な感覚を持った人間ならばフィギュアスケートを見放して当然だろうと思う。 一番悔しいのは演技している選手だろう。同じ質の演技をしたとしてもキムとその他の選手では雲泥の差になるわけだから大好きなフィギュアスケートに裏切られる心情は計り知れない。 他のスポーツでもジャンプや複合で日本の弱体化を狙ったルール改正があったが、順位決定法は公平であるだけに同じ人間が競技するだけにそのルールに対応すれば良かったが、審判の主観で得点が決まる採点競技は審判のさじ加減一つでどうにでもなり、選手はどうしようもない。浅田の涙にもその無念さが含まれていたのではないだろうか。 これほどどす黒い組織は他にはないのではと思うほど真黒なISUが公平な運営をするとは思わないが、採点システム、採点の傾向を改めない限りヨーロッパだけではなく全世界からフィギュアスケートは見放されるだろう。 |
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