−JFLから昇格3チームは明暗が分かれる− 2009年にJFLからJ2に上がって来た栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3クラブは明暗が分かれた。 以前のコラムにも書いたようにJ2昇格した初年度は戦力的に厳しく下位に低迷しやすく、J2からJ1に上がったクラブのような昇格効果は期待できない(詳しい数字は別表参照) 富山が15勝20敗16分けの勝ち点61で13位と健闘したが、ホームで6勝13敗6分けと他の2クラブと大差ない成績に終わったことによりJFL時代よりも566人減らして3,740人で動員順位では下から4番目の15位と水戸を除く最下位グループに沈んでしまった。 富山の場合は年間最多観客試合が5,520人と非常に少なく、リーグ最少の数字となっていて県民への広がりに欠けているように見える。明るい材料を探すとすればシーズン前半よりも後半の方がコンスタントな数字を残しており、数字を大きく下げる要因となった平日開催がなくなることも考えると2010年は平均4,000人は楽に超えて来る可能性はある。 栃木はホームスタジアムの栃木グリーンスタジアムが使用できず、他会場での試合が多かったことが響いて前年から342人減って4,706人でJ2で12位だった。 平均の数字を語るよりも栃木にとって深刻なのはシーズン後半の数字が非常に悪いことだ。 シーズン終盤の土曜日開催で2,000人台を2回記録しているのは2010年に向けての不安材料だ。ホームラスト5戦の平均が3,885人とかなりの不入りとなっていて最下位争いをしているチームを見放した格好となり、来年も下位に低迷するようだと今年以下の動員に終わってもおかしくない。 昇格3チームの中で最も健闘したのがJFL時代は一番少なかった岡山だった。1万人超え3回、7000人以上は6回を記録して平均6,162人でJ2で7番目の動員数は立派だった。 岡山市から車で3時間の鳥取市での平日開催の時に運悪く台風が重なる最悪の条件でJリーグ史上最低動員の615人を記録しながら6,000人オーバーは平均6,500人くらいの価値がある。 岡山の素晴らしいところは最下位争いをしてホームで全く勝てないどころか点すら入らない状況でも動員を増やしたところにある。 岡山はホーム6連敗、5試合連続ゴールなしでシーズンを終えたが、鳥取での試合を除くラスト5試合の平均は7,989人とシーズン平均を大きく上回る数字を残し、来年のさらなる動員アップを予感させるものとなった。平日開催がなくなるだけで現状の動員力でも7,000人を超えるが、フロントの来季の目標は8,000人を見据えている。 −その他クラブの雑感− 2009年目標の届かなかったものの平日開催増の悪条件をものともせず2008年を超えてきたのが岐阜、徳島、草津の3クラブだ。 岐阜は経営危機が表面化してから動員が顕著に増えてシーズン後半に7000人超えが4回と上り調子でシーズンを終えた。シーズン前半は1,000人台2,000人台を連発しており、クラブの危機がサポーターを増やした結果となった。 徳島は成績面の向上が大きい。親会社の大塚製薬が補強に力を入れると3年連続最下位のクラブが9位に躍進と親会社の力をまざまざと見せ付けた。 第3クールはコンスタントに4,000人前後の動員があり、ベースとなる数字も底上げしていて来年も動員アップの可能性が高い。 草津もシーズン終盤に落ち込みがなく、平日開催がなくなる来年は動員アップが見込める。ただ正田醤油スタジアムの収容能力は1万人に届いていないためここから1,000人アップ、2,000人アップと大幅アップを狙うのは難しいように見える。 −2010年展望− 2009年は各クラブ6〜7回の平日開催があったが、2010年は全て土日開催になる見込みとなっている。 平日開催だとどうしても3〜4割も動員が落ちてしまうので平日開催がなくなるだけでかなりの動員アップ要因となる。 J2で観客動員優等生だった仙台がJ1に昇格したことにより、今季のJ2は中山雅史が加入した札幌とベースとなる動員が多い甲府とJ1から落ちてきた千葉が引っ張ることになるだろう。 そして注目なのが大分だろう。Jリーグから融資を受け、融資を返済しない限りJ1へ昇格できないため例え大分がリーグ3位以内に入ったとしても昇格はない。 昇格がないこととこれまで経営のゴタゴタがたたって客離れを起こすのか、それともこういう時こそこのクラブを支えなければと足繁くスタジアムに通うサポーターが増えるのか注目が集まる。大分にとって動員でのプラス材料として九州ダービーが福岡・鳥栖・熊本・北九州と4度もあることだ。ダービーは間違いなく動員の底上げに繋がるだろう。今年大分が平均1万人を大きく超えて仙台のJ2レベルの12,000から14,000人集めることが出来れば未来に光が射すことになるだろう。 新規参入するギラヴァンツ北九州はどうだろうか。JFL時代の動員は決して多いとは言えず、JFL時代そのままならば水戸と最下位争いは必須だが、前述のように九州ダービーが4回もあり、中でも福岡とのダービーは多くの観客を集めるだろう。九州ダービー効果で平均4,000人を超えればまずは合格かもしれない。 2010年の各クラブ平均動員予想を記しておきたい。後日各クラブのイレブンミリオンの目標も追記する予定だ。
昇格候補は柏、甲府、札幌辺りに千葉、徳島が絡んでくる展開になるのだろうか。昇格争いをすれば昨年の湘南のように動員を大きく底上げするので徳島が昇格争いできれば平均5,000人達成しても不思議ではない。 柏は前回J2に落ちた2006年が8,328人だったが、J1に居てもホームの柏の葉では1万人に届かないのが普通になっているので2006年よりも低く見積もって7,500人とした。 大幅増が見込めるのはゴン中山効果の札幌。札幌は昇格を果たした2007年に12,000人を超えているので最低でも12,000人は超えてもらいたい。 読めないのが東京ヴェルディ。運営組織が日本テレビからヴェルディOBに代わり、ホームの味の素スタジアムのバックスタンドは閉鎖するとのことだ(経費節約のため)。一番見やすい席を閉鎖する影響と運営組織が変更になった影響がどう出るのか読めない。とりあえず最低でもこのくらいは入るだろうという5,000人と予想した。 順調に伸びて欲しいのが熊本と岡山。この2クラブは将来J2にいても平均1万人入るポテンシャルがあると思うので順調に動員数を増やしてもらいたい。熊本は5,000人以下の試合をいかに少なく出来るかが鍵で岡山はホームでの成績と得点数が昨年よりもかなり向上できれば可能な数字だ(昨年の岡山のホームでの成績は5勝6分け14敗、得点18失点35)。 |
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