スポーツコラムNo.41

2009年J2観客動員を分析(1)(2010/1/4)


−平日開催増加で平均は大きくダウン−

J1の観客動員数に関しては注目を集めることもあるが、J2の観客動員に関してはあまり目立たない。一年間J2を見てきて感じたことを書き記したい。

2008年の平均7,072人、累計2,227,570人から2009年は栃木、富山、岡山の3クラブが加入し18クラブに増えて平日開催が増えたために平均6,326人、累計2,903,607人と平均では746人の減少したものの累計では試合数が144試合も増えたことにより676,037人増えた。

−各クラブの目標と現実−

イレブンミリオンプロジェクトのページには各クラブの2009年目標観客動員数が掲載されており、この数字を見るだけで各クラブの経営の方針が透けて見えるような気がしてならない。

2009年の実績、2009年の目標、実績と目標の差、2008年の実績、2008年から2009年にかけての増減を別表1にまとめてみた(1試合ごとの動員実績は別表2で)。

2009年は平日開催が多くなるだけに動員増をするには実質的にはかなりの動員アップを果たさないと難しいと見られたが、イレブンミリオンの目標の辻褄合わせの面もあってかJ1から降格した2クラブと栃木を除く15クラブが2008年実績よりも高い目標を掲げた。

最も目標と現実が乖離してしまったのが横浜FC。目標7,700人が半分以下の3,633人とJ2でも水戸のひとつ上の17番目の数字というのは2年前はJ1にいたクラブということを考えるとあまりにも寂しい数字となった。
横浜FCは元々動員力があるわけではなく、昨年の6,793人も無料招待でかき集めた36,945人と20,359人の試合で底上げしているだけで4,000〜5000人ほどがクラブの力と見るのが適当でシーズン終盤まで最下位争いをしていた分だけ4,000人を割ってしまったと見ることもできる。ただ目標の7,700人はあまりにも目標が高すぎ、他の多くのクラブよりも圧倒的に高い入場料も考えると真面目に7,700人を目指そうと考えていたのか大いに疑問が残る。

横浜FCはホームでの観客動員は下から2番目だが、アウェイに行くとカズ人気は今も健在で1試合平均8,084人を集めて2位の仙台を大きく引き離して堂々の1位となっていて他クラブにとっては横浜FCは有難い存在となった。

目標と現実が2番目に差があったのが水戸で、目標6,500人に対して僅か2,673人しか入らなかった。水戸は2000年のJ2参入以来平均4,000人を一度も達成したことがなく、3,000人以下が2009年を含めて5回もあり観客動員に関してはJ2のお荷物クラブといっても差し支えないだろう。
その水戸が終盤3戦に新しくなったスタジアムで試合をするとはいえ目標を6,500人に設定するのはあまりにも無謀で100人いれば100人ともシーズン前に100%目標達成は無理だと言うほど現実離れした数字を掲げていた。
クラブは第3クール序盤までに昇格争いを演じ、横浜FCとは違いクラブの成績は良かっただけにそれでも2,673人しか集まらないということは弱いから入らないという言い訳は通用しない。茨城には鹿島があるからというだけではなく根本的にクラブが動員数を真剣に増やそうとしているとは思えないのがこのいい加減な目標設定からも透けて見える。

3番目に目標と実績が離れたのは優勝した仙台だった。仙台はJ2で屈指の動員力を誇り、絶対数では目標よりも3,779人少なかったものの割合で見れば他のクラブと大差ない。
仙台が目標を大きく下回ったのは宮城スタジアムでの動員が悪かったことが大きい。宮城スタジアムはホーム12戦目まで使用したが、収容能力は4万人以上の巨大スタジアムだが、陸上競技場ということとアクセスがあまりにも悪いということで仙台としては2001年以来8年ぶりとなる1万人割れを4回も記録し、1試合平均11,536人と収容能力約2万人のユアテックスタジムでの平均14,164人に遠く及ばない数字となり、仙台の数字はいかにスタジアムまでのアクセスの重要性と、陸上競技場と球技専用スタジアムの魅力の違いを浮き彫りにした。

目標と実績が3,000人以上違ったのは上記の3クラブと3,437人下回った福岡だ。福岡の状況は他のクラブとは違う。上記の3クラブは開幕前から目標を大きく下回ることは見当がついていたが、福岡は前年実績から+1,121人と昇格争いに加われば可能な目標を掲げながらチーム低迷などゴタゴタがあり2003年以来6年ぶりの平均7,000人台と深刻な不入りとなった。
来季は九州ダービーが多く、大幅な動員増の要素もあるが、都市圏が違うとはいえ、同じ福岡県内の北九州がJ2に上がってくることによりサポーターを奪われる可能性もあり、しっかりとしたクラブ作りが求められるが、現状では先行きが明るいようには見えない。

プラスになったクラブを見ていくとJFLから昇格した岡山が目標より+1,162人と目標を大きく上回って昨年からも+2,497人とダントツのアップ幅となっている。岡山に関しては昇格3チームを記述する時に詳しく述べるとして、岡山以外で目標を上回ったのは湘南+273人、甲府+59人、熊本の+6人とほぼ目標通りの数字となった。

湘南は昇格争いをしたことがとにかく大きかった。第3クールの9試合で8,814人を集めて目標を達成した。

甲府も昇格争いをしたことで第3クールに15,000人以上のほぼ満員の試合が2試合あったことで目標の11,000人を達成した。甲府に関しては平日でも1万人近い安定した動員を誇っており、甲府市の人口を考えると驚異的な動員力となっている。他のJ2クラブにとって甲府は観客動員に関して良い手本と言える(陸上競技場でJ2にも関わらずこの動員力は素晴らしいの一言)。

熊本はほぼ目標通りの平均6,006人だった。昨年の5,279人から727人増と平日開催を考えると着実に動員数を伸ばしている。
ただ2000人台だった試合が4試合あるのは反省材料だろうか。平均6,000人超えたクラブではどんなによほど悪い条件が重ならない限りコンスタントに3,000人以上入っており、まだベースとなる数字はそれほど高くない。
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