スポーツコラムNo.37

昇格争いが面白い(2009/8/13)


−激戦昇格争い−

昇格争いをしているクラブの当事者またはそのクラブのサポーターは胃をキリキリさせる思いをしていると思われるが、第3者から見ると今年のJ1を目指す昇格争いは非常に面白い。

J2からJ1に上がる基準は今年からリーグ戦上位3チームとなっており、入れ替え戦枠がなくなったことによりリーグ戦での成績が全てとなっている。

全51試合中33試合を消化した段階でセレッソ大阪勝ち点67、湘南ベルマーレ勝ち点66ヴァンフォーレ甲府勝ち点64、ベガルタ仙台勝ち点63とどのチームが優勝しても4位となって昇格を逃すことになってもおかしくないほど先が全く読めない展開となっている。この4クラブのうち3クラブが昇格するとの見方が有力となっているが、その下のグループから奇跡の昇格の可能性が0になったわけでもない。

−J2の面白さ−

J1比べるとJ2のレベルが落ちるのは間違いない。ただし、J1にはない特徴が今年のJ2にはある。
得点ランキングを見れば分かるようにズラリと日本人が上位を独占している。つまり規格外の反則級外国人ストライカーが存在せず、日本人ストライカーの方が得点力が高いということだ。
上位4強にはそれぞれ外国人選手が在籍しているもののトップ下の選手では助っ人と呼べる力を発揮していてもFWの選手はJ2日本人トップレベルと大きな違いはない。

それだけにどのクラブでも上位クラブの勝ち点を削るだけの力があり、上位4クラブは片時も息つく暇のない激戦となっている。

J2は51試合とチャンピオンズリーグに出場するプレミアリーグのクラブも真っ青の過密日程となっており、夏場以降は選手層の違いが昇格争いに影響を及ぼすかもしれない。

どのクラブもディフェンスラインはメンバーを固定させて戦っているが、攻撃的な選手については対応が分かれている。セレッソ大阪と湘南は前線も先発メンバーをほとんど固定して戦っていたのに対して甲府と仙台はメンバーをいじりながらここまで来た。

メンバーを頻繁に入れ替えているのは得点力に課題を抱えていて明確な答えが見えないために試行錯誤を繰り返しているためだろう。反対にセレッソのように誰が見てもカイオ−香川−乾がベストの選択だとレギュラーと控えの差がはっきりしているため固定メンバーで戦うという事情もある。

固定メンバーで戦ってきた2クラブは疲労による失速が心配で、頻繁に入れ替えている2クラブは得点力不足で勝ち点を失うことが心配とどのクラブも不安を抱えての残り3分の1に入る。

−J2昇格争いも混沌−

J1を目指した昇格争いも先が読めないが、JFLからJ2を目指した昇格争いも全く読めない。J2への昇格条件はJリーグ準加盟クラブが4位以内に入り、観客動員1試合平均3000人以上などの諸条件をクリアするとJリーグ加盟が認められる。

準加盟しているのはガイナーレ鳥取、ニューウェーブ北九州、V・ファーレン長崎、町田ゼルビアの4クラブだ。
現在SAGAWA SHIGAが残り11試合で2位と勝ち点9差の勝ち点49で首位を独走しており、どんなに準加盟クラブが上位を占めても4位以内に3クラブが目一杯で1クラブも4位以内に入れない事態も十分ありうる。

というのも2位から12位まで僅か勝ち点8の中に収まっている大混戦で、現在2位の北九州、3位の鳥取でさえ昇格圏外の5位との勝ち点差は僅か2〜3で先行きは全く見通せない。
昨年優勝し、戦力的には十分4位以内に入れる力を持ったHondaが勝ち点32の12位と低迷しているのが不気味でHondaが上がってくる可能性だけではなく、準加盟クラブにとっては直接対決で実力を発揮されると非常に厄介な存在でHondaが昇格争いのキークラブになるかもしれない。

ただ準加盟クラブにとって4位以内に入れば自動的に昇格となるわけではないのが微妙なところだ。

2年前にJ2に上がったFC岐阜が財務面で非常に厳しい状況に陥っており、4位以内に入ってもJ2できちんとうまく運営できるかどうか厳しく問われて昇格できない可能性も否定できない。

大きな基準となっている観客動員3000人以上に対して現在北九州のみのクリアとなっているが、その北九州も2000人前後が基本ラインでタダ券等で動員をかけた試合で8000人台と9000人台を1回ずつ記録したために平均3000人を上回っているに過ぎない。
昨年観客動員の基準を満たすためにタダ券を多く配布した富山がJ2に上がって好成績を残しているにも関わらず2008年の4306人から3404人と900人以上の減少(20%以上の減少)となっており、成績が低迷していればさらに動員が悪くなっていただろうことは想像に難くない。タダ券乱発による観客動員条件クリアに関して何らかの指導が入ってもおかしくない。

JFLに関しては文字情報でしか情報を得られないが、それだけでも関心を持てるほど昇格争いというのは人を惹きつける魅力がある。
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