−野球情報にオフシーズンはなし− ノルディック世界選手権が日本で開催されるなどウィンタースポーツが佳境に入る2月。ウィンタースポーツのファンの憂鬱をさらに増大させるものが始まってしまた。それはプロ野球のキャンプ情報だ。1月でさえ盛んに放映される必要もない自主トレ情報でウィンタースポーツの露出を制限しているが、2月になるとNHKを含む全局がキャンプ情報一色になる。 ウィンタースポーツは過剰気味な人気となっているフィギュアスケートシングル以外は停滞気味で、ジャンプに至っては競技人口の減少に伴い、世代交代がなかなか進まず、過去の栄光という位置づけになっている感さえある。 1年前に行われたトリノ五輪での日本勢の低調な結果にも日本におけるマスコミのウィンタースポーツの位置づけの低さとそれに伴う国民のウィンタースポーツの関心の低さが結果に表れているようにも見える(趣味でするスノボーなどの関心は高いが、スポーツまでには関心が行っていないように見える)。 昨年はトリノ五輪があったためにあまり露出がなかったキャンプ情報だが、今年は邪魔者はいなくなったとばかりに幅を利かせている。 野球の生命線は大量にTVに露出して視聴者に興味を持ってもらうことに加えて、他の競技の露出をなくして、選択肢をなくすことにある。視聴者が野球以外の情報に全く触れられないのであれば野球以外の競技人口・観戦人口が劇的に増えにくくなる(例外としては子供たちの場合は漫画の影響も多分にありそうだが、そう多くのスポーツ漫画がヒットするわけではない)。 −キャンプ情報は必要なし− 各局がキャンプ情報をこれでもかと垂れ流しているが、はっきり言って野球のキャンプ情報は報道する必要性はない。まず野球という競技の性質を考えてみよう。基本的にはピッチャーとバッターの1対1の勝負の繰り返しで、集団による戦術的なプレーはごく一部で、キャンプでやっていることも自主トレの延長線上であることが推測される(よって○○が何球投げたや××が△本柵越えしたという話がほとんどだ)。 サッカーのように戦術練習がかなりの部分を占めるのであれば、チーム全員で集まってトレーニングする意味はあるが、野球には1ヶ月以上も一緒になって練習する理由はない。実際MLBのキャンプの長さは日本よりもかなり短い。 日本のキャンプが長いのはまるでTVの露出を多くするためとも思えるほどだ(TV局側としても頭を使わずに垂れ流しが可能で楽を出来るので歓迎なのだろう)。 そもそも1月からの野球選手の自主トレ開始というのも他競技の選手からすれば不思議としかいいようがないだろう。 ほとんどの野球選手は10月中旬にはシーズンが終わる。その後2ヶ月半もオフを取っているということになる。もしもその間もトレーニングを続けているのならわざわざ新年になったからといって自主トレ開始というのはおかしいのではないか。 例えば野球のシーズンと重なる陸上競技(長距離を除く)の選手は10月にシーズンが終了すると数週間のオフを取り、遅くとも12月初めには冬季練習に入る(普通は11月一杯を冬季への移行期間としながらトレーニングは続ける)。 この冬季トレーニングの出来が翌シーズンのパフォーマンスに大きく影響を与えるためシーズン中のトレーニングよりも厳しいものになる(スポーツ経験のない方はオフシーズンはトレーニングをしていなかったり手を抜いていると考えがちだが、オフシーズンのトレーニングは非常に重要だ)。 野球選手が本当に2ヵ月半もトレーニングをしていないのであれば、アスリートとはとても言えないし、トレーニングを継続しているのであればわざわざ自主トレ開始などと宣言する必要もない。他の競技の選手はTVに流れないだけで野球選手以上の厳しい冬季トレーニングを積んでいることは確かだ(厳しいトレーニングをしていればあの野球選手の脂肪量は考えられない)。 −世界選手権イヤー− 2月から3月になるとキャンプ情報からオープン戦情報へと形は変われど野球情報ばかりがスポーツニュースで多くを占めると予想される。 しかし、2月22日からは札幌でノルディック世界選手権(ジャンプ、複合、クロスカントリー)が開催され、3月17日からは青森で世界女子カーリング選手権が行われ、締めに3月19日からは世界フィギュア選手権大会が東京で開催される日本における世界選手権イヤーとなっている。 本来ならばこちらの世界選手権を重点的に取り上げるべきだが、それなりに扱ってもらえそうなのはフィギュアのみのような気がする(フィギュアも放映権を持っているフジテレビ以外は距離を置くかもしれない)。 シーズン中の試合の視聴率が年間一桁濃厚で、興味を持っているのはマスコミだけの状況のプロ野球のオフシーズンの情報が、シーズン中のウィンタースポーツの情報を押しのけることは視聴者を無視したTV局の都合としか思えない。 視聴率が20%を超えたと時なら需要があると強弁できたかもしれないが、現在のプロ野球にはオフシーズンでさえもガンガン情報を流すほどの需要はないのだからマスコミはシーズン中のスポーツにスポットライトを当てるべきだ。せっかく世界選手権が日本で行われる競技が多いのだからホスト国として盛り上げる責任があるはずだ。 |
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