スポーツコラムNo.22

日本代表(2007/1/29)


−ナショナルカラー−

読者の皆さんは日本代表または全日本と聞くとどの競技を思い浮かべるだろうか。サッカー日本代表、バレーボールの全日本、あるいはラグビーの日本代表を思い浮かべる方もいるだろう。

日本のチームに対して多くの外国のチームと比べて何か違和感を感じたことはないだろうか?イタリア代表といえばどの競技を問わず青のユニフォームを着ている。フランスも青だ。ブラジルは鮮やかなカナリアイエローを誰もが連想する。オランダはオレンジ、アルゼンチンは水色と白のストライプと相場が決まっている。

バレーボールの会場にサッカーブラジル代表のユニフォームを着てブラジルを応援していても何も違和感がない。では日本の場合はどうだろうか?サッカー日本代表の青のユニフォームを着てバレーボール会場に行っても浮くだけだ。ましてや相手がイタリアやフランスだった場合どちらを応援しているのか分からなくなる。

サッカーではワールドカップが狙えるようになってからは多少の色の違いはあるにせよ青が基本だ。バレーボールは赤・黒・白の3通りがあり、一般にはどの色がメインユニフォームなのか分からない。ラグビーは桜をモチーフとした薄ピンクの時代もあったが今は赤と白の横縞だ。
他と違うことをすること恐れる国民がこうもバラバラな色を選択しているのは、スポーツ省のようなスポーツを仕切る組織がないためそれぞれの競技の協会が独自の判断でユニフォームの色を決めたためだろう。
日本の色と言えばこれというのを決めた方が日本人も外国人も日本といえばこの色と親しみが持てていのではないだろうか。

では日本はどの色がいいのだろうか。ほとんどの外国は国旗の色をモチーフにしている。イタリアの青は国旗の色と関係ないと思われがちだが、旧国旗に盾形紋章に青の縁取りがあり、その青がユニフォームの色となっている。有名な国で国旗と全く違う色を配色している国はオランダ(オレンジ)、オーストラリア(黄色と緑)、ニュージーランド(黒)くらいか。

国旗の色と連動しているのが自然だと思うので赤と白でいいのではないか。サッカーの場合は近隣諸国が赤を使っているために赤を使いにくかったというのもあるだろうが、日本の国旗は赤と白が配色されているので堂々と赤を使えばいい(他にも周辺アジアに対して先の戦争のこともあり日の丸をモチーフにすることに対して遠慮があったのだろうがスポーツと政治は別だろう)。

サッカーで言えばアーセナルのような配色デザインが適しているのではないか。ナショナルチームでは袖と胴体部分の色を変えている国はほとんどなく、覚えやすい利点もあり、国旗のイメージにも近い。

赤と白を推すもうひとつの理由が膨張色で応援が目立ちやすいというのもある。同じく膨張色のブラジルの黄色の応援団は世界中どこでも目立つ。日本サッカーの青だと収縮色で迫力に欠ける。世界中のビッグクラブで赤色が多くなっているのは赤の大集団が相手側に与える威圧感が多少なりとも関係していると思う。

−応援−

どの競技を問わず日本人の応援と外国人の応援との違いは、ブーイングがあるかないかというのがまず挙がる。日本は武士道精神で正々堂々と戦い、相手を尊重する精神が根付いているというのもあるが、日本語の発声方法はブーイングに適さないというのもあると思う。
日本の試合会場は外国に比べて声がかなり高い。もちろん女性の観戦比率が高いというのもあるが、日本語は基本的に口先だけで発音しているために男性の声も高めだ。英語などを話している人間は普段から腹の底から発声していて(余談だがこの発音の仕方の違いが日本人が英語の発音を苦手としているのではないかと思う)、ブーイングの腹の底から大声を出すことは自然に出来る。しかし日本人は練習しないとなかなか難しいだろう。

ブーイングをせず自国のみを応援するというスタイルの国があっても別にそれはそれでありかもしれない(ブーイングは相手に心理的なプレッシャーを掛けて心を乱させようという狙いがある)。それよりももっと気になるのが、バレーボールで見られるような全員が同じ事をする応援形式だ。バレーボールの場合はDJがマイクを使って掛け声の先導を行い、「ニッポン、チャ・チャ・チャ」や「Go Go ニッポン」と合唱し、得点が決まれば会場の多くの人間が持っているスティックバルーン(2本の空気の入った棒)を叩く光景は違和感を覚える(スタンド全員で小旗を振るF1日本GPにおいても同様だ)。

入場行進は足並みを揃えてと教わってきた日本人なので応援までも皆が同じ事をするというのは自然な事かもしれないが、裏を返せば各個人の意志は極めて弱く、誰かが音頭を取ってくれないと静かに見ているだけなのではと思ってしまう。
実際2002年W杯の際には普段の代表戦のような声をよく出すサポーターが集まって観戦できず、あまり相手にプレッシャーを掛けられずホームの利はなかったように見えた(チケットは抽選制で普段サッカー観戦をしない人が多かったというのもあるだろう)。特に決勝トーナメント1回戦でのトルコ戦は顕著でもちろん実力的にはトルコが上回っていたとしてもそれを相殺するホームでの雰囲気があればもうひとつ上のステージが見えたかもしれない。

諸外国のような殺伐とした雰囲気を嫌う人もいるかもしれないが、観客ひとりひとりがプレーに対して厳しい目を持ち、悪いプレーをすれば味方と言えどブーイングをするようになれば代表選手も地元では絶対負けられないという意識も強くなるだろう(欧州のクラブではサポーターの愛情を持った厳しい目とサポートがホームでの強さに繋がっていると思う)。やはり日本人全体としてはまだまだ競技を見る目が乏しいとい言わざるを得ない(スターシステムによるキャラクター重視の報道のため競技の中身についての報道が大きく不足しているのが大きな原因)。

素晴らしいプレー(試合)には拍手、味方の酷いプレー(試合)または相手に対して効果的なブーイングができる見る目を持った観客が多くなることも日本が球技で強くなる上では必要なことではないかと思う。
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