スポーツコラムNo.6

ラグビー日本選手権から雑感(2001/2/12)


社会人チームと大学生チームがトーナメント方式でラグビー日本一を決める方式となって3回目の日本選手権。

今年もやはり社会人チームが圧倒的な実力差を示してベスト4に名を連ねた。
この方式は導入前から反対の声が根強かったが、やはりこの方式で日本一を決めるのは無理があると思う。

そもそも一昔前までの大学生と社会人との実力差が比較的小さかったことが異常なことであって、現在の姿はいわばやっと普通の状態になったと言うこともできると思う。

ラグビーはご存知のとおり、実力の高い社会人チームの試合よりもレベルが格段に落ちる大学生同士、特に明治、早稲田、慶応の3校が直接,対決をする時は異常に客が集まる。

これはラグビーを楽しみに来る客というより、大学同士のプライドを賭けて戦う、代理戦争を楽しみに来ているお客さんが多いように思える。

これは箱根駅伝にも通じることだが、レベルの高い試合、または格の高い試合に客が集まらず、それよりレベルの低い、または格の低い試合に注目が集まるというのはそのスポーツにとって有益なことなのだろうか?

話を元に戻そう。
神鋼VS慶応の試合を見る限り、神鋼の強さ(フィジカル、テクニック)が際立ったのは当たり前だが、こんな試合をすることでチームの調子が狂い、次の試合に支障が出るのではないかと心配するほどだった。

これは日本選手権なのであって、練習試合ではない。とても日本選手権という名の下で行われる試合でないことは確か。
社会人チームにとっては”怪我でもしたらどうするんだ!こんな公式戦はいい迷惑だ”と思っているに違いない。

そんなに大学生のレベルアップを図りたいなら社会人チームと練習試合を頻繁にすればいい。
練習試合といえど競った試合を展開できれば相手も多少は本気になってくれるだろう。
この程度の書き方しか出来ないほど大学生と社会人との差は大きい。しかし何度も書くがこれが当たり前の姿なのだから。

そして年々レベルの差は広がることはあっても縮まることはないだろう。
それはそうだ。現実はさておき、日本はW杯に出て勝つことを目標にしているからだ。
日本代表の主力が籍を置く社会人チームが大学生チームに負ける(あるいは競る)ようでは世界との差が縮まるわけは無い。

もうひとつ違った視点から日本選手権を見ると、この日本選手権は実質2回目の社会人選手権となるが、もし社会人選手権優勝チームが優勝できなかったら社会人大会優勝の意味がなくなってしまうのではないかということ。

社会人大会の方式もベスト8以降はトーナメント方式なのでやり方も同じ。
もし社会人大会をベスト8以降も総当たりのリーグ戦でナンバー1を決めるのなら多少は価値を見出せるかもしれないが・・・。
このままではとりあえず社会人選手権はベスト4に入ることだけに専念し、その後は日本選手権に標準を合わせざるを得ないと思うがどうなのだろうか。

これに限らず、日本ラグビー界には問題が山積しているように思える・・・。平尾前監督の解任に近い辞任、旧態依然とした一社丸抱えの社会人チーム、構造的には何も変えずにプロ化だけを叫び、ナショナルチームを本気でサポートし、強くしようとしていく気があるのか定かでない協会・・・。

このような状態を変えていくのは日本ラグビーが完全に衰退しないと無理なのかもしれない・・・。
あるいはもっと選手が海外のリーグへ飛び出して活躍するようになれば日本代表だけは強くなるかもしれない。
ただそれが根本的な解決策とはとても思えないが・・・。

いずれにせよ今の状態が続く限り、世界との差はますます広がっていくことだけは確かだと思う。

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