ファジアーノ岡山ホームゲーム感想

2011年J2第2節vsFC東京(3位)
試合結果スタッツなど
最近調子を上げてきた自力のある3位FC東京を迎えて現在の力を知るには絶好の試合となるはずだったが、絶対的FWの柱のチアゴを出場停止で欠いたためにチアゴ以外で唯一ボールが収まるキムを前に持ってきた。

試合は序盤の決定機をものに出来なかったことが大きく響いた。岸田がキムの絶妙なスルーパスからGKと1対1になりながらドリブルのタッチをミスして大チャンスをフイにする。
その後コーナーキックからの澤口決定的ヘディングシュートも枠を外れて2回の大チャンスをものにできなかったことで勝利の女神はFC東京にほほ笑んだ。

今回の試合は昨年までの悪い部分が露呈し、昨年までのストロングポイントを失っていることを改めて感じさせる内容だった。
昨年までの悪い癖は2点目の部分で、スローインで集中力を失うことが本当に多いということだ。まるでスローインでもオフサイドがあるものだと考えているかのようにフリーの選手を作ってしまった。
そして1点目はコーナーキックで失ったが、これで今年13試合でコーナーキックから5失点目だ。セットプレー絡みの失点が非常に多く、セットプレーの守備は相変わらず課題が多い。

昨年までのストロングポイントといえば豊富な運動量だった。J1から降格してきたクラブや昇格候補のクラブといえば技術は圧倒的に違うものの後半バテる印象があり、運動量で上回る岡山が後半押す展開をかなり目にしてきた。
しかし、今年はストロングポイントだった終盤まで持つ豊富な運動量が消えている。今年目立つのが足を攣る選手が本当に多いということだ。
試合を通じての絶対的な運動量はそれほど変わっていないと思われる。しかし、3バックを敷いて中盤を厚くしながら主導権を握れないので4バック時よりも個々の選手にかかる負担が大きく、終盤まで体力が持たない状況になっている。
個人的には4バックが好みなのでどうしても3バックに対して否定的な目を持ってしまうが、それを考えても現状の3バックだとかなり無理をする戦いを強いられているように思う。

今回の収穫を挙げるとすれば高卒1年目の石原のパフォーマンスが継続的に先発で使うに値するものだったということだろう。むしろこれだけのパフォーマンスが出せる力がありながら臼井が先発で使われ続けたことに監督の見る目を疑わざるを得ないほど石原のパフォーマンスは良かった。
今回岸田が負傷し、妹尾も長期離脱となっており、前線はチアゴ、石原を軸に前でキムを使うならこの3人を先発で継続的に使いたい。

今回の試合で改めて感じたのはボランチ千明のシュート意識の低さだ。前が空いていてもパスをする相手を探しており、攻撃的ボランチとしては物足りない。千明のパス回しはストヤノフがいない場合は有効に機能するが、ストヤノフが先発する時はボール奪取に優れ、あわよくばペナルティーエリアに入っていくくらい前への意識がある選手を入れる方が攻撃の厚みが出来てチームとしてのバランスが良くなるのではないか。ボランチより前でボールを奪取して速攻を仕掛け、遅攻はストヤノフを起点にじっくり攻めるメリハリがつけられると良いように思う。
問題は千明の代わりにボール奪取に優れ、前への意識が高いボランチがいるかということだが、多くの人はキムを思い浮かべるだろう。確かにキムならその役割を務められるだろう。しかし個人的にキムは2シャドーの一角で使いたい。J2では別格の力を備えるチアゴにスピードが持ち味の石原、体が強くキープも出来、運動量豊富のキムで1トップ2シャドーを組めば非常にバランスが良い3人だと思う。
では誰を使えば良いかというと個人的には田所を推したい。運動量はチーム随一でガツガツ行けるので守備力は千明よりも明らかに高く、いつの間にかFWさえも追い越してしまう前への意識の高さは昨年の最終戦で強く感じさせた。シュート力もあり、千明のポジションに田所を置けば課題のチームとしての守備力アップと2列目以降の攻撃の厚みがもたらせられると思う。
山陽新聞試合満足度調査
不満56%
やや不満37%
やや満足5%
満足2%

MIP(投票者57人)
澤口雅彦33%
キム・ミンキュン19%
石原崇兆16%
筆者の試合満足度(10段階)
3