ファジアーノ岡山ホームゲーム感想

2010年J2第28節vs.ヴァンフォーレ甲府(2位)
試合結果スタッツなど
選手、監督、フロント、サポーター全てが危機感を感じなければいけない試合となった。
ファジアーノ岡山の主要な客層である小学生とその保護者が運動会開催日とバッティングして来られなかったとはいえ、昇格候補であり、日本代表にも噂されているマイク・ハーフナー率いる甲府が相手で6245人しか観客が集まらなかったことに対して非常に大きな危機感を持たなければならない。

残りホームでの開催は6試合。ホーム最終戦かつリーグ最終戦である福岡戦は福岡の昇格決定戦となれば福岡から多くの来場者が見込まれるが、残り5試合はどう見ても甲府よりも魅力の乏しい相手しか残っていない。
そして天皇杯福岡戦、愛媛戦、甲府戦と不甲斐ない戦いを続けているチームを見放してスタジアムに足を運ばない人も出てくると予想される。
昨年から成長を感じさせないチームに対してファジアーノ岡山に関わる全ての人が危機感を共有すべきだろう。

試合内容は中2日でアウェイ連戦となった甲府が前半は暑さもあり無理して攻めず0-0でも構わない戦い方をして何とか0-0で終えられた。しかし、選手個々のレベルの差は歴然で岡山の選手がペース配分を考えずに飛ばしてようやく試合になっているという感じを受けた。

そして後半早々にマラニョンがゴールを決めると後半だけで4得点を挙げて甲府が完勝し、岡山は実力差をまざまざと見せつけられた。

ファジアーノの問題は戦い方がぼやけているところにある。ここ数試合クロスが持ち味の小林を先発で使っているもののクロスからの得点は期待できないというのが正直な感想だ。
唯一クロスで得点を上げる可能性があるとすれば西野くらいだが西野はポストプレーのヘディングには強さを発揮するものの流れのクロスをゴールに叩き込むのは得意のようには見えない。
ましてJリーグ使用球のジャブラニはワールドカップでも見られたようにクロスを合わせにくいボールだ(コーナーキックからの得点が非常に少なかった)。
監督はクロスを重視しているように見えるが、その方針は間違っていると言わざるを得ない。アーリークロスや通常のクロスから得点はほとんど望めないのが正直なところだ。やはりサイドをえぐってからマイナスのグラウンダーでのラストパスなどディフェンスラインを崩さないとなかなか得点には結びつかないだろう。

ひとつ気になるのだ昨年よりも低下している運動量だ。手塚監督時代は走り込みを優先して走り負けないことを最重要視していた。個々のテクニックで劣る選手が格上の相手を倒すには運動量で上回ることは不可欠だということだ。今年の影山体制では昨年ほどの走り込みは行っておらずその影響か後半の運動量が今一つという試合が増えている。
昨年Jリーグに上がって感じたのが拍子ぬけするほど他チームは運動量が少ないということだった。運動量だけは他のクラブに負けないというストロングポイントがあったが、現在はその運動量も他チームと変わらず格上相手に対抗する強みが全くないように見える。
これでホームは天皇杯含めて4連敗で勝利そのものも2ヵ月以上遠ざかることになった。どんなサッカーをやりたいのか残りの試合で未来は明るいものだと思わせるものを監督は提示しなければならないだろう。それができなければ今シーズンでの解任も止む無しだろう。それくらい昨年からの上積みを感じられないサッカーとなっている。

どのようなサッカーをしたいのかに密接にか関わってくるだろう千明聖典のJリーグデビュー。昨年の関東大学MVP男は大怪我を乗り越えてようやくJの舞台に立った。
練習試合で見た千明よりも数段キレのあるプレーで千明を生かすチーム作りが急務だと感じた人は非常に多かっただろう。
内容に非常に乏しい試合の中で唯一の希望のように見えた千明。山陽新聞のMIP調査でも後半途中からしか出場しなかった千明に圧倒的な票が集まったのはそれだけ多くの人が千明のプレーに可能性を感じたのだろう。

千明を生かすにはどうすれば良いのか。間違っても放り込み戦術では絶対に千明は生きない。正確な1タッチプレーで味方を生かすプレーが得意のように見えたのでスピードのある選手に正確なパスを供給できる状況を作ることが重要になってくるだろう。
しかし現在のFW陣で千明のプレーに対応できそうなのは岸田か白谷くらいしかいない。そして千明をどこのポジションで使うのかも難しい。体が小さいだけに粘り強い守備力はないかもしれず、あの僅かな出場時間では守備に関しては全く分からなかった。
千明はボールを捌けるのだから2トップから1トップに変更し、トップ下を配してそこに千明を入れて自由にプレーさせるのが良いように思える。サイドハーフにはスピードを持った選手を入れたいところだが、スピードのある選手は妹尾くらいしかいないのが悩みどころだ。岸田をサイドハーフに戻して白谷をトップで使う手もあるかもしれない。間違ってもここのところ重用されている小林をサイドで使っては千明の良さは出ない。

何かしら不満を感じた人が95%に上った今回の甲府戦。このままでは昨年から全く成長しておらず駄目なままだということをファジアーノ岡山に関わる人全てが認識して改善していかなくてはいけない転機となる試合だったと思う。
山陽新聞試合満足度調査
不満70%
やや不満25%
やや満足3%
満足1%

MIP(投票者71人)
千明聖典44%
妹尾隆佑15%
野田紘史11%
岸田裕樹8%
廣永遼太郎6%
筆者の試合満足度(10段階)
1