ファジアーノ岡山ホームゲーム感想
2010年J2第22節vs.徳島ヴォルティス(9位) |
試合結果スタッツなど |
恐らくこのゲーム絶望的な印象を受けた人とポジティブな印象を受けた人に分かれる評価が分かれるゲームだっと思う。 絶望的な印象を受けた人は数多くの決定機を尽く外したシュート力のなさに絶望感を覚えただろう。 前半早々立て続けに1点ものの決定機を外して、最初の決定機、2度目の決定機で連続してシュートを決めた徳島との攻撃陣の質の違いに落胆を覚えたことだろう。 前半に3度あった超決定機をひとつでもものにしていれば試合は全く違った展開になったと思われる。 徳島のDFは岡山の李や川原といったそれほどスピードのない裏取りが上手い選手ではない選手に簡単に裏を取られていたので他チームであれば大量失点は必至で非常に出来が悪かった。 ポジティブな印象を受けた人はシーズン前半全くシュートすら打てなかったチームがシュートをそこそこ打てるようになり、決定機も多くなったことに前向きな印象を持ったと思われる。 ただそれは今までの基準があまりにも低い所にあったから進歩したように感じられるだけでようやく昨年の同時期に近い攻撃力になったというのが実情だろう(昨年の岡山は夏に非常に多く得点を取っていた)。 攻撃面で良いところを指摘するならば三木が筆者の予想を上回るパフォーマンスを見せてくれたことだ。予測できない状態で反射神経が問われるような場面では相変わらず反応が非常に遅いが、ボールの出所が分かっていて前もってボールの落下地点が分かる場合の競り合いは強さを発揮している。三木の場合は片足踏切でバスケのスラムダンクをするような斜め上に跳ぶ競り方なのでその場で両足で踏み切って競るよりも高さが出るので競り合いに勝ちやすくなる。 恐らくこれからもFWは三木を中心に回していくと監督は考えているだろうが、相棒をどうするかが問われている。今回45分でリ・ドンミョンに見切りをつけて喜山を入れた。リは累積4枚となり次戦の出場停止のため、ずっと三木-リの2トップにこだわっていた監督は2トップの片方を変更せざるを得ない状況になった。 もっともリはかなり先発でチャンスをもらいながら点を取るどころかアシストもなく結果を全く残していなかっただけに累積がなくともそろそろ他の者にチャンスを与える時期だっただろう。 田所の出場停止で久しぶりに出番が回ってきた福本は試合勘が戻っていなかったのか良くなかった。シーズン序盤はもっと大きなロングパスが出せたと思ったが、試合勘がないためか視野が狭く短いパスばかりでそれがパスミスとなる場面も多くチャンスを生かせなかったというのが正直なところだ。 山陽新聞の満足度調査ではやや不満が46%、不満が30%と全体の76%が不満を感じており、満足とした人は0だった。ホーム2連勝で基準が上がったかもしれないとはいえ、得点を取った試合の割には不満を感じる割合が高いようにも思える。 これは現在のやり方がサポーターが最も期待する妹尾が生きないスタイルとも関係あるのかもしれない。レプリカユニフォームの売り上げトップは妹尾で地元岡山の期待の星で実力もあることが分かっているだけに監督の方針に不満を持つ者も少なくないのかもしれない。 徳島戦の翌日に行われた桃山大学とのトレーニングマッチを見に行ったが、ディフェンスラインは非常に雰囲気が悪く、前半にセンターバックの選手から「バラバラ」という声まで出るほどうまく機能していなかった。 特に前半は左サイドバックに入っていた植田の裏を狙われる場面が多く、本職ではないにしろ対応が非常にまずかった。植田は後半センターバックに入ったものの決定的なやらかしを1回するなど精彩がなく、前日の徳島戦でのパワープレー要因で投入でリズムを崩してしまったかのようだった。 初めて千明を生で見たが、噂には聞いていたが本当に小さい。小林優希より小さいのではと思うほど小さい。前評判では非常にテクニックがあるとのことだったが、今回のTMでは単純に捌く場面が多く、それほど目立った印象はなかった。もっとも中盤よりも前の選手はめまぐるしくポジションチェンジがあり、澤口がボランチをしていた時間帯もあるほどということも加味しないといけないだろう。しかし、監督の指示だとすればあのポジションチェンジはどのような意図があったのだろうかと思った。 澤口は山中に右サイドバックのレギュラーを奪われた形になっているが、久しぶりに実践で動く姿を見たものの、やはりパフォーマンスが落ちている感じは否めなかった。山中も最近それほど良いパフォーマンスを見せているとは言い難いが(徳島戦は完全なガス欠まで起こしていた)、澤口も調子が悪いとなると山中になるのも仕方ないなと感じた。 調子がだいぶ戻ってきつつあるなと感じたのが西野。前半に頭で得点を決めたことに加えてスピードもそれなりに戻ってきているのではないかと感じた(近くで見た分だけスピード感を感じたかもしれないが)。TMのパフォーマンスを見る限り千葉戦では三木と西野の2トップが妥当かなと感じたが、ただアウェイということを考えるとこの二人では運動量が足りず、前線からのチェックが出来ない可能性が高いので運動量のある喜山、あるいは岸田をトップに上げる可能性も十分ある。 練習生も参加していてFWで前後半で一人ずつ入っていたが、どちらも背の高い電柱系の選手だった。影山監督は2トップにして以来背の高いもの同士を並べているので電柱系FWが好みなのか(リは182cmと背は高いが電柱系というわけではないが)、それとも現在の背の高いFWは来シーズン以降厳しいということを見越して新たな電柱系を探しているのか分からないが、ともかく両方とも背の高いポストプレーを主とするような練習生だった。 徳島戦、このTMと心配なのは妹尾だろう。ボールをトップに当ててセカンドボール狙いが多いために妹尾が生きる場面が非常に少ない。パフォーマンスそのものも落ちているのかもしれないが、現在のやり方だと生きようがないのが正直なところだ。それでも妹尾の特徴であるペナルティーエリア付近での落ち着きでフリーの小林優希にラストパスを送るアシストを記録していたが、本来ならば妹尾にペナルティーエリア付近でドリブルで切り込んでいくような展開を多く作りたいが、今のやり方では妹尾の悩みは深くなるだけかもしれない。 妹尾絡みでもうひとつ気になるのがディフェンス側でのコーナーキックの対応だ。徳島戦では後半残り僅かの徳島のCKを岡山は全員戻って守備をしていた。 1-2で負けているのだから多少のリスクを背負って一人か二人前線に残すべきだろう。特にスピードのある妹尾を前戦に残しておけばカウンターで一気にチャンスになる。降格もなく得失点差を気にしなくて良い立場なのだから全員で守備をする必要性は全くない場面だっただけに監督の指示なのか、それともいつも通りの守り方しかできない状況に対応した臨機応変さに欠ける選手の問題なのかは分らないが、タイムアップ近くの場面で誰も前線に残さないのはあまりにも疑問だった。 |
山陽新聞試合満足度調査 やや不満46% 不満30% やや満足20% 満足0% MIP(投票者69人) 三木良太45% 喜山康平13% 岸田裕樹9% 野田紘史9% 川原周剛6% |
筆者の試合満足度(10段階) 6 |