ファジアーノ岡山関連コラムNo.20

ファジアーノ岡山2010年を終えて(1)(2010/12/20)


−成長は見られたか−

今シーズンから影山雅永監督となり、自分たちでボールをコントロールするサッカーを掲げた。
昨年の手塚監督はJFL時代と同様に開幕ダッシュを掲げ、開幕にピークを合わせて長いシーズンで調子が出ないうちに格上チームから金星をあげようとしたものの実力差が大きく、ピークを合わせても引き分けに持ち込むのが精一杯で、初勝利は10戦目までかかり、終盤戦は開幕にピークを合わせたツケもあり力尽きた。

影山監督は開幕にピークを合わせることなく、チームを成長させていきたいとシーズンが進むにつれてパフォーマンスを上げていきたいという意向を示していた。

シーズン前半途中まではボールポゼッションを意識するものの中々シュートまで持ち込むことが出来ず、7試合連続ノーゴール(第10〜17節)と全く得点の匂いのしない時期があった。

そこでワールドカップ明けの第18節水戸戦からトップチームに上がって来た三木をターゲットにする放り込み戦術に転換して水戸、札幌と下位チームから白星を挙げた。

三木は24節の千葉戦までスタメンを張るもののそれ以降は持病の腰痛の状態があまり良くないのか途中出場や欠場が多くなる。

その後、岸田・西野、白谷・三木の2トップの時期を挟んで31節の岐阜戦から白谷・岸田の2トップにすることで前線からプレッシャーを掛けて相手陣後方からでも相手に自由にプレーさせないスタイルにすると得点力が増し、31節から最終戦まで8試合連続得点の計10点とコンスタントに得点を重ね、攻撃面においてはシーズン前半と後半では明らかに後半の方が良いチームになっていた。

白谷・岸田の2トップに変更したことも大きかったが、J1からも声が掛かりながら膝に大怪我を負ったために他チームがオファーを撤回することによってJ2下位の岡山に来た千明が後半戦に出場したのも大きい。
大怪我からの復帰ということでまだまだトップフォームにはほど遠いと思われるが、サッカーセンスは初出場の時から感じられ、千明が先発し始めた岐阜戦から毎試合得点しているのも偶然ではなく、千明がボールを落ち着かせることが出来るのは大きかった。

来年はさらに千明のパフォーマンスが上がってくると予想されるので、千明中心のチーム作りが求められる。

守備に関しては前半戦は18試合20失点と十分合格点の出来だったが、後半戦はクリーンシート(無失点)が2試合のみで18試合で31失点と前半戦の1.5倍以上と守備に課題が残ったのは確かだ。

前半戦は非常に出来が良かった近藤の調子が落ちて一時スタメン落ちし、相棒の後藤も終盤戦にスタメン落ちをしたため両センターバックのパフォーマンスが落ちたことが失点急増の主要因だった。

センターバックの個の能力がいかに失点数を左右するのか感じたシーズンにもなり、今シーズン近藤と後藤を獲得できたのは良い補強だったと感じる。

守備面に関してはセットプレーでの守備が改善されなかったのは課題として残った。コーナーキックからの失点は4点と少ないものの、フリーキックを誰かに合わされるシーンがシーズンを通して目立った。
セットプレーでも流れの中でもボールサイドに集中する傾向があり、ファーサイドにいる選手をケアし切れずにファーに蹴られて押し込まれるシーンが目立った。

−被シュート数の低下が課題−

ファジアーノ岡山のシュート数が非常に少ないというのはファジアーノサポーターならば誰もが認識していることで明らかな課題だが、個人的にはシュートを打たれる本数が多いことも気になる。
本数 /試合
1 303 8.41
15 富山 414 11.50
16 岡山 431 11.97
17 札幌 434 12.05
18 北九州 452 12.55
19 水戸 558 15.50
上の表はシーズン通しての被シュート本数で一番打たれなかったのは柏で1試合当たり8.65本と非常に少ない。
下位5チームのうち4チームが総合順位でもボトム4を形成しており、シュートを打たれる本数が多いと成績も低迷することが表れている。

昨年被シュート本数がダントツに1番多かった愛媛は今年4番目に少ない数までシュートを打たれる本数を飛躍的に減らしており、愛媛の堅守と順位アップに大きく貢献しているのは間違いない。
来年の課題はシュートを打たせない守備を構築できるかどうかになり、シュートを打たせない試合運びが出来るかどうかが失点の減少に大きく関わってくるものと予想される。

−監督と外国人FWの威力−

昨年ファジアーノ岡山と同時にJ2昇格し、順位も勝ち点も岡山のひとつ上だった栃木SC。
今年松田体制2年目とブラジル人FWリカルド・ロボを擁して10位と大きく順位を上げた。

ファジアーノ岡山は地域リーグ時代にはブラジル人のジェフェルソンが所属し、サポーターからも愛されていた。
しかし、JFL昇格時にチームを離れ、それ以来韓国人FWは所属するもブラジルなどの本当の意味での助っ人外国人FWは誰もいない状況となっている。

栃木のリカルド・ロボの活躍や他クラブでの外国人選手の活躍を見るとやはり助っ人外国人FWの必要性を感じざるを得ない。
特にファジアーノ岡山は2012年に昇格争いを目指しており、来年は少なくとも中位につけるだけの結果を残さないと2012年に昇格争いというのは難しい。
昇格チームを見るとFWあるいは攻撃的MFに1人以上、センターバックに1人外国人を置くのがセオリーで福岡は実質外国人なしで昇格を決めたが、これは例外中の例外だ。

J2で昇格争いをするには外国人の力は必須で特に優秀なユース組織がなく、日本人選手でも限られた選手しか獲得でない状況では当たり外国人を引くことが絶対に必要になる。

当たり外国人を引いても上のチームに引っ張られることは百も承知だ。しかし、外国人なしで昇格争いはほぼ不可能で、優秀な外国人を獲得するルートを構築するためにも来年は朝鮮系ではない外国人を獲得し、外国人のルートを開拓していかないといけない。

栃木の躍進に関しては松田監督の手腕も大きいと思われ、反対に千葉がJ2昇格を逃したのは江尻監督の能力不足が大きく、監督でチームの成績が大きく変わることが改めて感じられた。
影山監督に関しては怪我が多かったこともあり、制約が多かったために監督のやりたいことが100%出来たわけではないだろう。
シーズン終盤のスタイルは悪くなく、シーズン途中の縦ポンスタイルのまま押し通していたら完全に監督を見限っていた。選手交代に関しては大いに不満はあるが、もう1年様子を見ることに関しては反対ではない。影山監督にとって来季は勝負の年でここで結果が出なければチームを去ることになるのは間違いないだろう。
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