ファジアーノ岡山関連コラムNo.14

ファジアーノ岡山の挑戦:Jリーグ2年目の期待と展望(2010/3/3)


−新戦力台頭なるか−

ファジアーノ岡山は2009年にJ2に昇格し、今年はJリーグ2年目を迎える。昨年は得点力不足と守備力の欠如で18チーム中最下位に終わった。

今年は7億数千万円の予算を組み、昨年当初予算よりも約2億円の増額となった。J2では3億から5億の予算で戦っているクラブもかなりあるので予算が低いから良い選手が取れないという言い訳が出来なくなるので最低でも最下位脱出は至上命題となる。

昨年の低迷の大きな原因となったのがセンターバック(CB)の不安定さだった。ここが改善されない限り守備力の向上はないと言い切っていいほど最重要強化ポイントだった。

CBには浦和から獲得した近藤と鹿島から獲得した後藤に期待が集まる。少なくともふたりのうち一人がディフェンスの柱になってくれないと厳しい。この二人には多くのファジアーノサポーターからの期待が大きいだろう。

CB以外に大きく補強したのがボランチだ。岡山はダブルボランチを採用しているが、攻撃的なボランチは昨年保坂でスタートするもののプレーがボランチを任せるには軽く、FWで起用していた喜山をボランチに起用せざるを得なかった。ボランチ喜山は展開力に優れ、経験不足と適性を考えると今後もボランチで使って欲しいと思うが、本人は前でプレーしたい気持ちが強い。現在喜山は怪我でリハビリ中で監督がどこで使いたいのかはまだはっきりしていない。少なくとも開幕には間に合いそうにないので新戦力が攻撃的ボランチを任されることになりそうだ。

期待されるのは岡山県出身のルーキー福本。身長181cmと体格に恵まれ、足下もうまく攻撃的な意識が強いとの評価で妹尾に続く新たな地元出身実力派が誕生することをサポーターは期待しているだろう。

守備的ボランチに関しては昨年小野でスタートしたもののパフォーマンスが今一つで途中から竹田を起用してきた。試合の展開を読む頭脳は非常に良いものを持っているが、頭に体がまだ追いついておらず、球際の強さ、ボール奪取能力という面で不安があった。
竹田もリハビリ中ということでこのポジションも開幕戦では新戦力が起用されることになる。第1候補は昨年水戸にいたキム・テヨンか。当たりの強さが持ち味ということで昨年欠けていた中盤でのボール奪取に期待が掛かる。また攻撃的か守備的かどちらで起用されるのかはよく分からないが、ルーキーの宮田もボール奪取能力に優れているとの監督評で、トレーニングマッチでボランチでも起用されている植田も候補になってくるだろう。

新戦力がどこまで台頭できるのかが不安なのが攻撃陣だ。昨年唯一個人で突破できていた妹尾がリハビリ中で開幕絶望なだけに両サイドの攻撃力というのは不安が残る。大幅な戦力補強は行っておらず、即戦力として期待できるのはFWもやや下がり目も出来る岸田くらいかもしれない。
それだけに昨年トップチームで出場機会に恵まれなかった選手の奮起に期待したい。出井や新中といった選手が輝いてくれると選手層も厚くなる。

FWは昨年怪我に泣いた西野に負担が掛ってくる。予想では西野が1TOP気味張るようなので(岸田はやや下がり目)西野が昨年後半のように離脱してしまうとチームが成り立たなくなる危険性もはらんでいる。それだけ西野の力が抜けていて層が薄いため昨年青木を獲得したようにシーズン途中の補強も十分あり得るだろう。

−未来に繋がるスタイルの構築を−

昨年のコラムで新監督には、良いところは受け継ぎ、悪かったところは修正して欲しいと書いたが、昨年の良かった点であるボールを大切にする姿勢は今年も受け継ぎ、さらにボールを大事にするスタイルで行くようだ。

個人的には全面的に支持できるコンセプトで嬉しいが、結果が出なくても貫けるかが心配だ。桃太郎スタジアム改めkankoスタジアムの芝は非常に整っていてポゼッションを指向するには最高のスタジアムだ。負けが込むことによって安易にロングボールを放り込むようになっては中長期的に見ると袋小路にはまってしまうだろう。選手のテクニックが劣るとボールを大切にしていくというのは厳しいものがあるが、バルセロナやアーセナルのようなこれがクラブのスタイルだというものを信念を持って貫いて欲しい。

監督の言動から予想するに全員攻撃、全員守備の運動量豊富でアグレッシブにボールを奪いに行き、ボールを奪うと速い攻撃を基本にしつつも速攻に失敗すればきっちりとボールを繋いでいくスタイルなのではないだろうか。選手層が若いだけに全員攻撃全員守備で走り回ってもスタミナという面では相手を上回れることが多いだろう。あとはいかにボールを奪って攻撃を仕掛けるのかがポイントになってくるかもしれない。昨年欠けていたボール奪取が出来るようになれば一方的に押し込まれることも少なくなり、主導権を握りやすくなるだろう。

理想は非常に良さそうだが、それをピッチ上で表現できるかが監督の手腕ということになる。影山監督には魅力的なチームスタイルの構築という面でも期待したい。

−みんなで支える意識を−

不況のためファジアーノ岡山に限らず予算を確保するのはどのクラブも厳しい状況だろう。岡山も袖スポンサーが決まらず、当初予算を確保するのは厳しい可能性が十分ある。

100年クラブ続くクラブになるためには県民に広く愛されるクラブになる必要がある。一人一人が少額でも良いのでクラブのためにお金を使い、自分たちのクラブを支えるんだという意識を持つサポーターが多くなることが必要だ。

多くのサポーターを増やして家族意識を持ってもらうには観客動員を増やすことが大事になる。昨年の岡山の1試合平均動員数は6,162人とJFL時代から+2,497人とJ2昇格3クラブの中で唯一の大幅増だった。

今年はその勢いを持続させてどれだけ上積みできるかが大事になる。今年は3回戦総当たり制から2回戦総当たり制になったためにホームの試合数は25から18に7試合減った。そのため大幅な観客増を果たさないと昨年並みの観客動員収入は見込めない。シーズンチケットを昨年と同額にして実質値上げと高級席の導入で動員収入を上げようと努力しているが、やはり基本は1試合当たりの動員数を上げることだ。目標は8,000人に置いているとのことだが、その目標を達成するためにも例え負けが込んだとしてもスタジアムに足を運ぶことが未来に繋がるということを一人でも多くの人間が意識できるようになるとクラブの将来は明るくなるはずだ。
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