ファジアーノ岡山関連コラムNo.11

ファジアーノ岡山の挑戦:Jリーグ1年目を終えて(1)(2009/12/19)


−手塚監督勇退−

ホーム最終戦のヴァンフォーレ甲府戦の前に3年間指揮を執ってきた手塚聡監督が勇退することが発表された。

今年の成績こそ芳しくなかったものの就任1年目に2年間足踏みを続けていた地域リーグ決勝大会の壁を越え、そして2年目にはJFLを僅か1年で通過させた手塚監督の貢献は感謝してもしきれないほど大きく、ファジアーノ岡山の発展に大きく貢献した。

このサイトでも触れているように地域リーグ決勝大会というのはコンディションが過酷な非常に難しい大会で実力だけではない部分も試される大会だ。
地域リーグ決勝大会を優勝して堂々とJFLに参戦し、研究されないうちにスタートダッシュを決めるという戦略がズバリと当たりギリギリの4位ながらもファジアーノ岡山を4位に導き、岡山にプロチームを誕生させることに大きく貢献した。

来季からは岡山に来た時と同様の地域リーグに所属し、将来Jリーグを狙っている福島ユナイテッドの監督の就任が決まっていて、福島ユナイテッドでの活躍をファジアーノ岡山サポーターも祈っていることだろう。

手塚監督が退任して新しい監督には今季ヘッドコーチを務めていた影山雅永氏の就任が決まった。
好きなサッカースタイルはバルセロナということだが、当然選手に合わせた戦術を取り入れなければならず、バルセロナのような華麗なサッカーは無理だろう。

しかし、今季第2クールから意識していたボールを大切にしていくスタイルは継承してもらいたい。
選手のレベルの問題や主力選手の離脱、選手起用のミスマッチもあって第3クールでは低パフォーマンスに終わったものの第1クールのような西野の頭めがけての面白くないサッカーよりも観客にとっては非常に魅力的なスタイルだ。
ホームスタジアムの桃太郎スタジアム(来季からはカンコースタジアム)のピッチは非常に整備されており、ボールのイレギュラーバウンドが少ないのでボールをしっかり繋いでいくスタイルには適している。

問題は荒れていないピッチで練習できるかだが、その辺りは現在ファジアーノの支援に非協力的な岡山市が練習場のピッチ整備に力を入れて解決してもらいたい。

−想定内の最下位−

J2に上がれるかどうか分からず、補強に取り掛かるタイミングが遅れ、資金力も乏しい中でJ2で戦う十分な戦力を集めたとは思えなかったために個人的には最下位を独走しなければ今年は成績を問題にしないつもりだった。

結局栃木SCと勝ち点1差での最下位とJ2一年目は一番下からのスタートとなった。
試合内容は光明を見出せる部分もあり、引き継ぐべき部分は引き継ぎ、変えていかなければいけないところは変えていって来年はひとつでも上の順位を目指してもらいたい。

今季のようにひたむきに最後まで全力を尽くすプレーをしていれば例え今季と同様に思うような成績が上がらなくとも大部分のサポーターがチームを見放すことはないだろう(その部分に選手が甘え過ぎても困りものだが)。

−一番の懸念材料はGM−

ファジアーノ岡山の中で最も心配な箇所は補強や選手構成の責任者のゼネラル・マネージャーの手腕だ。

木村社長は選手構成には口を出していないようで、クラブ運営に注力し、誰一人として木村社長の手腕を疑うものはいないだろう。

Jクラブの中でも誇れる社長に対してGMに関しては選手構成、補強に疑問点が多々見られるのが気になるところだ。

昨年ではフィジカルに強く、キープ力があり、異彩を放っていた関と契約を更新しなかった。
GMや監督の頭の中には小野と新規加入の保坂をボランチの中心としてチームを回していく戦略だったのだろう(大卒の田所と馬場もいたが大卒を即戦力で計算するのは難しい)。

しかし、小野も保坂もJ2で通用していたとは言い難く、保坂はトップ下にコンバートされ、小野はベンチにも入れない状況となった。
そしてFW指向の強い喜山を保坂の代わりにボランチで起用し、竹田を小野の代わりに守備的なボランチとして起用して何とか乗り切ったものの想定外の出来事だったことは間違いないだろう。
元から小野の力量には疑問符がついており、JFLのパフォーマンスに比べれば良くなったもののJFLのパフォーマンスを見てJ2でも使えると判断していたのならGMの選手を見る目のなさを象徴する事例だろう。

そしてシーズン途中に完全移籍でガンバ大阪から三木を取った判断も疑問だと言わざるを得ない。契約満了後の移籍金0で獲得するのならばまだしも資金を使いたいところはたくさんあるファジアーノの中で多額の移籍金を支払ってまで獲得するのだからそれなりに活躍してもらわなければ困る。
しかし、今季の三木のパフォーマンスは西野の代役はおろかFWとして非常に物足りないものだった。
背の高さはあるものの体の軸(センター)がしっかりしておらずそのフィジカルの弱さが競り合いの弱さにも繋がっており、移籍金を支払ってまで完全移籍させるほどの選手かというと明らかにノーだろう。

ファジアーノ岡山の一番の弱点はGMの選手の見る目のなさと強化がGMにおんぶにだっこでスカウト網の組織が出来ていないところだろう(クラブが若いだけにそこまで手が回っていないように見える)。
現在のところこのオフにかなり多くの選手を獲得しているが、7億2000万円の予算に見合った成績を残すためにも新たに獲得した選手が期待通りのパフォーマンスを見せてこちらの懸念を払拭する展開になることを願っている。
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