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[文房四宝]
古来より「文墨文化に興味を持つものは先ず周辺から美を求むる」と言われており、そのために直接手に触れる文房具の美は発達しました。そして書斎において最も貴重な筆・墨・硯・紙の四つを称して文房四宝と呼ぶようになりました。
ここでは、「美」はお伝えできませんので、解説にとどめます。
筆
- 材料から分けると羊毫、宿浄羊毫、兼毫、兎毫、狸毛、鹿毛、山馬毛、玉毛(猫毛)、貂毛、鶏毛、鶴毛、雉毛、人鬚、胎髪、鼠鬚などがあります。
- 形の上からは長鋒、中鋒、短鋒、雀頭、柳葉、かぶら筆、椎の実筆などに分けられます。長鋒、中鋒、短鋒は毛の長さによる比較上の名称で、それ以外は形がそのものにいているところから呼ばれたものです。
- 現在使われている一般的な筆の毛の種類による違いは以下の通りです。
- @羊毫(ようごう)羊の毛を用いて作った筆で、毛質が柔軟で弾力に富み、上質のものは高価です。
- A兼毫(けんごう)二種類以上の毛を交ぜて作った筆のことで、種類はたくさんありますが、普通兼毫といえば馬毛を中心として羊毛で包んだものを呼びます。
- B狸毛筆(りもうひつ)狸の毛を用いた筆で小筆が多いです。
- C狼毫(ろうごう)狼と言っても現在では主に犬の毛が使われているようです。
- D紫毫(しごう)兎の毛で作られた筆です。現在は羊毛と兎毛を交ぜて、その割合により七紫三羊とか五紫五羊とかの筆が作られています。
- E山馬筆(さんばひつ)馬の毛が材料です。粗毛は小・中学生用として市販されています。
- F玉毛(たまげ)猫の毛で主に細字用、写経用の小筆に使われています。
- 墨
- 墨は、松、油、鉱物油を燃して煤(すす)をとり、それに膠(にかわ)、漆、香料をまぜて乾燥させて固めたものです。漢の時代までは団子状のもので墨玉であったと言われています。
- 煤の種類によって、松煙墨・油煙墨・洋煙墨に分けられ、それぞれ松・植物油・鉱物油を燃やした煤を原料としています。
- 現在では表現の多様性にともない、植物の炭素粉、顔料、ポスターカラーに接着剤を混ぜたり、エナメル、ペンキ等の塗料も書写の用材として使われています。
- 総称して中国産を唐墨、日本産を和墨と呼びます。
硯
- 平安初期までは「スミスリ」と呼ばれていました。「源氏物語」「枕草子」で「スズリ」と書き記されておりその後の多くの書物では「スズリ」となっています。
- 用途で分けると実用硯、鑑賞実用硯、鑑賞工芸硯(実用に重点を置かない)、装飾硯(玉硯、銅硯、竹硯など)があります。
- 石の種類で主なものは次の通りです。
- @中国産=端渓石、歙州石、紅絲石、福州石、トウ河緑石、空青石、方城石、螺渓石など
- A日本産=鳳足石、高島石、雨畑石、赤間石、田の浦石、若田石など
- B朝鮮産=渭原石、鐘城石、大同江石、海州石など
紙
- 日本書紀によると、推古天皇十八年(610)三月に高麗から僧・曇徴(どんちょう)が紙墨の法を伝えたとあります。製法や材料によって様々な種類があり、大きさによっても呼び方が変わります。
- 今日、一般の人は下記の半切を指して画仙紙と呼んでいるようですが、全紙が基準となる大きさです。中国では長さが120cm、150cm、180cm、240cmのものもあり、正式には「宣紙」「画宣紙」と呼びます。
- サイズによる呼び名の違いは以下の通りです。
- 全紙(ぜんし)−−−約136cm×68cm
- 半切(はんせつ)−−全紙を縦に二分の一に切ったもの。(約136cm×34cm)
- 聯(れん)−−−−−全紙を縦に四分の一に切ったもの。(約136cm×17cm)
- 聯落(れんおち)−−全紙の四分の三。 全紙から聯を切り取った残り。(約136cm×51cm)
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