グロスグロックナー&トリグラウ登頂   2012年7月17日〜7月26日   戻る

 グロスグロックナーはオーストリアの最高峰で、万年雪に覆われU〜V級程度の岩と雪稜のミックスクライミングの山である。また、トリグラウはスロヴェニア最高峰で、この時期、雪は無いものの、急峻な岩稜の山である。今回、山仲間のSさんに誘われ女性3人で出かけた。トリグラウは3人で登ったが、グロスグロックナーは私だけの登頂となった。

【日程】
7月17日(火) 成田ーインチョンーパリ(シャルルドゴール)ースロヴェニア(リュブリャーナ)
7月18日(水) トリグラウ登山口ーボーデニコア小屋
7月19日(木) ボーデニコア小屋ーコヌスコセルーエーデルワイス小屋ートリグラウ山頂ークレダリッツア小屋ー登山口
7月20日(金) ブレッド城見学及びブレッド湖一周ハイキング
7月21日(土) スロヴェニア首都リブリャーナ市内見学及びポストイナ洞窟見学
7月22日(日) スロヴェニアからオーストリアに移動し、グロスグロックナーカルス登山口ーSTUDL小屋
7月23日(月) STUDL小屋ーグロスグロックナー山頂ー登山口ースロヴェニア・ブレッド
7月24日(火) ヴィントガル渓谷見学及びブレッド湖周辺ハイキング
7月25日(水) リュブリャーナーシャルルドゴールーインチョン
7月26日(木) インチョンー成田

【7月17日(火)】
 朝、成田に集合してコリアンエアーに乗り9時25分発インチョン経由パリのシャルルドゴール空港に向かう。
当初誘われたオーストリアの最高峰グロスグロックナーは、ちょっと厳しいということで、Sさん達は登らないことになったので、今回は前半はみんなで一緒にスロヴェニア最高峰トリグラウに登り、後半はみんなと分かれて私だけグロスグロックナーに登ることになった。
 インチョンからは11時間のフライトでシャルルドゴールに着く。とても広い空港で、2Gへの表示に従いながら進むが、まるで迷路のようだ。おまけに、次に乗る飛行機の出発ゲートまでバスで移動しなければならず分かりにくかった。
 シャルルドゴールからスロヴェニアの首都リブリャーナ行きの小型飛行機に何とか乗り、現地時間夜9時45分、リブリャーナに着いた。空港には今回の旅行を手配したガイドのツヴェットさんが迎えに来てくれた。車に乗り今夜の宿へ向かう。
富士山を望む民宿の部屋仕留めた獲物の剥製

【7月18日(水)〜19日(木)】 トリグラウ登頂

【7月20日(金)】
 
 昨日無事トリグラウに登頂したので、今日はブレッド湖周辺の観光だ。
 まず、昨日登ったトリグラウ北壁の見える場所に行った。巨大なカラビナの下がる場所から北壁が良く眺められた。
 その後、ブレッド湖のほとりの岸壁の上に聳えるブレッド城が気になり行ってみることにする。
 ブレッド城はスロヴェニア最古の城の一つで、初めて文献に言及されたのは1011年5月22日、ドイツの皇帝ヘンリック2世がブリクセンの司祭アデルベロンに城を譲渡した時である。城の展望テラスからはカラバンケ山とユリアン・アルプスの間に広がるゴレンスカ地方を眺望できる。
 城内建築は上下階二つの広場を囲むように建ち並び、下の広場には印刷所、プリモジュ・トュルパル記念館、塔内ギャラリー、カフェ、上の階との間にはワインセラーとハーブギャラリーがある。
 上の広場には16世紀に作られた礼拝堂と博物館があり、銅器時代から今日までのブレッド湖周辺に触れることができる。
 展望テラスで優雅にランチを食べながら、パンフレット等によく出てくる教会のあるロマンチックな小さな島の浮かぶ湖の景色を堪能した。その後、ブレッド湖一周する。湖の周囲には遊歩道が整備されていて、ゆっくり歩いて2時間ほどだ。水は透明で綺麗で、多くのバカンス客が訪れていて、水遊びやハイキングを楽しんでいた。ここでもシクラメンの原種を多く見つけることができた。
ブレッド城教会テラスで優雅にランチ北壁を望む

【7月21日(土)】
 天候が不安定で急に黒い雲が広がり、雷やスコールのような激しい雨が降ることがある。
 今朝も激しい雨が降った。今日はツヴェットさんの案内で、リブリャーナ市内見学と郊外に位置するポストイナ洞窟の見学だ。
 オーストリアとイタリア国境に立ちはだかるユリアンアルプス。そこから約50Kmの盆地に開けた首都リブリャーナは、ルネッサンス、バロック、アールヌーヴォーなど各様式の建築物が調和した美しい街だ。
 1144年建設のリブリャーナ城から見下ろす赤瓦の屋根が折り重なる旧市街の街並みは、中世へとタイムスリップしたような錯覚を起こさせるほど美しい。
 三本橋トロモストウイエは新市街と旧市街を結ぶリブリャニツア川にかかるもっとも有名な橋である。そこから20分程山道を登ると城に到着する。入場料はシルバー料金で半額の3ユーロだった。城の中に入って見学した後、再び坂を下って街に戻り、市場で買い物をしているSさん達と合流した。市場には多くの店があり1日いても飽きないくらいだ。車に乗り次はポストイナ鍾乳洞へ向かう。
 ヨーロッパ最大の大きさを誇るポストイナ鍾乳洞は、今から200年ほど前、初めて調査隊が入り、長さ27kmの洞窟は不思議な形をした鍾乳石が広がりまさに圧巻だ。
 まず、洞窟内をトロッコに乗って2kmほど進み、そこから歩きながら見学する。日本語のイヤホンで聞きながら1時間半様々な形や色の鍾乳石を見学しながら進む。気温は10°ほどでとても寒い。終盤では「ホライモリ」という洞窟で生息する両生類も見ることができた。再びトロッコに乗って出口へ向かう。
 夜はブレッド湖周辺のお祭りの日で、沢山の屋台が出て、舞台では演奏会もあり大変賑わった。ツヴェット夫妻やお兄さんと共にそこでビールやワインを飲みながら賑やかに夕食を取った。夜には花火も上がった。
三本橋城の前にて城からリブリャーナ市街を望むポストイナ鍾乳洞

【7月22日(日)〜23日(月)】 グロスグロックナー登頂

【7月24日(火)】
 昨日、グロスグロックナーに無事登頂できたので、今日の予備日は自由行動の日だ。
 近くのハイキングをしようと思い、まず、ヴィントガル渓谷入口まで送ってもらう。
 ツヴェット邸から車で15分だ。渓谷は、ドヴナ川沿いに遊歩道が付けられており、日本でいえばちょうど清津峡のような感じだ。距離はそんなに長くないが、ひんやりとして気持ちがいい。
 その後ブレッド湖まで戻り、対岸のスキー場に登った。スキー場の山頂はクライミングやアスレチックの場所で多くの子供達が楽しんでいた。その後、湖を反対周りでツヴェット邸に戻った。途中激しい雷と雨に遭いずぶ濡れになってしまった。
ヴィントガル渓谷滝もあるスキー場からのブレッド湖

【7月25日(水)】

  −帰国の途にー
 朝、空港まで送ってもらう。日本まで1人旅だ。少し不安もあるが何とかなるだろう。
 スーツケースが20kgを超えて重量オーバーだったが、何とか許してもらった。
 パリ・シャルルドゴール空港に着いて、2Eまでバスで移動だ。
 分かりにくいため案内のスタッフが大勢いて案内してくれたので、何とか迷わずインチョンへの飛行機に乗り継げた。
 シャルルドゴールでは家族へのお土産を沢山買ってしまった。
 ここでフライトチケットがインチョンと書いてあるのに気づき、成田までの分を発行してもらった。(航空機が遅れてギリギリだったので、あらかじめシャルルドゴールで発行してもらっていて良かった)
 11時間のフライトでインチョンに到着した。

【7月26日(木)】
 インチョン到着が1時間遅れ、飛行機から降りて通路を歩いていくと、私の名前を書いた紙を持っている係員がいた。
 何かと思って聞いたら、乗継時間が少ないから急いでくださいとのこと。列車に乗ってターミナルを移動して出発ゲートにたどり着いた。パリもそうだが、空港が広いと移動も複雑で大変だ。
 11時半、ようやく成田に着いた。
 2日後、ロンドンオリンピックが開幕した。

【おわりに】

 今回登ったトリグラウとグロスグロックナーはメジャーな山と違って日本ではあまり知られていない。
 所属山岳会のSさんに誘われ、あまり情報のない中、安易にOKして出発したものの、トリグラウは夏の穂高連峰、グロスグロックナーは冬の穂高連峰のような感じで両山とも険しく大変な山だった。でもその分、充実感も大きく、今回は本当に行って良かった。
 この冬には今度ニュージーランド・サザンアルプスに所属山岳会の計画で行く予定だ。
 元気なうちに可能な限り出かけたいと思っている。