天神山は,大河ドラマ「天地人」の主人公直江兼続(なおえかねつぐ)の弟,大国実頼(おおくにさねより)の居城跡である。大国実頼は,天正10年,上杉景勝の命により小国重頼の養子になって城主となり,天正15年,同じく景勝の命により,小国を大国に改めた。
今年に入ってからここへ登るのはもう4回目なので,今回は反対回り(松岳山〜天神山)で行くことにした。
午前中は所用があり午後から出かける。
松岳山は標高174m,その形の良さから「岩室富士」と呼ばれている。登山口は岩室温泉の岩室神社である。
登山口 |
文治4年,時の天神山城主小国頼連が小国吉政と名付けた養子を迎え,居城させた天神山の支城である。神社前に4.5台の駐車スペースがあったのでそこに車を止め,荷物は何も持たず登り始める。
神社の階段を登ると社殿に突き当たり,登山道はその左側から始まる。
岩室神社 |
落ち葉を踏みしめながらつづら折れの山道を登ると,途中に「中段・腰曲輪跡」という標識がある。更に進むと松岳山に到着する。山頂は小広い台地になっていて,ここから南西の方向にはこれから登る天神山(山頂が伐採されているからすぐ分かる)とその奥には多宝山を望むことができた。
松岳山山頂 |
さて,その先,空堀と言われるアップダウンを経て,幅広の道に出る。
しばらく幅広の道を進み鉄条網のある牧場の淵を過ぎるとまた山道になる。
アカマツや杉の生える急な登りで尾根に出てそこから左へ折れ,空堀のアップダウン(一部ロープ設置あり)で天神山本丸跡に到着した。
ここは海抜234m,北側に二の丸を配し,大小7本の空壕に防護されている主郭である。空壕とは,城郭の山頂部の尾根をV形に切り裂き進入した敵をくい止める役目を果たした。
山頂からは広大な越後平野や五頭,菅名,飯豊など越後の名峰を望むことができた。
さて,本丸跡からは一部急な下りとなる。
道が整備された |
今回の大河ドラマで,山登りを普段していない人でも歴史に興味がある人がここを訪れるようになったので,この急斜面には今回ロープの手すりと階段が設置された。
急斜面を下ると「土塁・石塁」と標識のある場所に着く。
これは,土や岩石で城郭を形成する各部所を攻撃や自然災害から防御するため人工的に構築された城壁の一部だ。
また,左眼下には城の貴重な水源で夏でも枯れることはないという「瓢箪池」が見える。
瓢箪池 |
その一段高い所には「武者溜まり」といわれる広場がある。ここは海抜180m,城郭の中心にあたり,いざの戦時の籠城時にはここを居住区として構えた場所らしい。また,本丸にむかって十三輪とよばれる段々になった郭を設け本丸への道を複雑にしていた。
武者溜り |
縦走路の戻り,先へ進むと「天神山物見台」に到着だ。ここは越後平野を一望でき,大軍の往来を手に取るように観察できたとのこと。
物見台 |
物見台からほんのわずかで林道に出る。ここまで車で来ることもできる。林道を横切り対岸の山道へ入り小ピークを越し下るとコンクリートの水道施設に出て,あとは丸小山公園に出て車道を車まで戻った。
大河ドラマを見ながら,こうして実際に当時の場所を訪れ,はるかいにしえの戦国時代にタイムスリップした思いに浸った。 |