グロースグロックナー登頂  3798m  2012.7.22〜23    戻る

 グロースグロックナーはオーストリアの最高峰で、ザルツブルグ州、ケルンテン州、チロル州の東チロルにまたがり、標高3798m、周囲はホーエ・タウエルン国立公園になっている。
 万年雪に覆われ、岩と雪のミックスクライミングの山とのことだが、あまり登山情報がなく、唯一見た山頂の写真は、両側がすっぱり切れ落ち、果たして登ることができるのか不安を抱えての出発だった。
 

【7月22日】

 ガイドにスロベニアのブレッドの宿まで迎えに来てもらい、国境を越えてオーストリアのカルス登山口(1984m)まで、約3時間のドライブだ。EU加盟の国は自由に乗り入れできる。
 今回の私のガイドはアリヤージュさんといって39歳、元アイスクライミングのワールドカップチャンピオンで日本にも来たことがあるという。
 のどかな景色を眺めながら、拙い英語で何とか会話をしていたら、あっという間に時間が過ぎ、国境も気づかないうちに通り過ぎた。。
 14時30分、登山口(1984m)着。身支度をして45分出発する。
 
ハイキング道

 今日泊まるSTUDL小屋(2802m)までは約3時間、高山植物の広がるなだらかな広い道が続き、ハイキングコースだ。小屋までハイキングをして小屋に泊る家族連れが多く見られた。身長180cmを超えるアリヤージュさんに必至について行く。
 1時間ほど歩くと小さな橋があり、そこを渡ると急なジグザグの登りになり、16時50分、STUDL小屋に着いた。

小さな橋

 小屋の食事はレストラン並みで美味しく、トイレも水洗で清潔で、ベッドも広く静かで快適だった。疲れたので早めに休む。

STUDL小屋   小屋の豪華な食事


【7月23日】
 
 5時起床。朝食を取り5時40分、ハーネス、ヘルメットを着けて出発する。
 小屋から尾根を、右から回り込むようにトラバースして進む。岩の上は前日融けた雪が夜に凍ってアイスバーンになっている所があり、慎重に歩いた。2.3日前に雪が降り山は白く覆われている。
 回り込むと広大な雪原になり、ここでアイゼンを着ける。新雪で足首まで潜る。
 
 
 
正面の尾根の末端にある小屋(3454m)まで、最初なだらかな雪原を進み、その後、急な雪面をアイゼンとピッケルで進む。雪崩が起きないか心配だ。尾根に出ると、小屋まで、最近設置されたワイヤーの手すりにつかまりながら、岩と雪のミックス尾根を登る。
 8時、3454mの小屋にようやく着く。少し休憩してから再び歩き、小屋の裏に出ると広大な雪原が広がっていて、ヘリが2回物資を運んできていた。
 雪原を横切り、いよいよ山頂に続く尾根の登攀だ。垂直に見えるルートにガイドは「まるでマッターホルンだね」と言った。ジグザグに登り始めると、上から先に登ったグループが降りてきた。何人もザイルでつながって四苦八苦しながら降りるのを脇に避けて待った。
 
    山頂への登り

 急な壁を登りきると尾根は痩せ、両側がスッパリ切れ落ちたルートになる。この山はオーストリア最高峰なのでやはり人気があるのだろう。混んでいる時はすれ違いも大変だ。
 慎重に狭い尾根を進むと、前方に山頂が見えてきた。でも、その前に一旦鞍部に下らなければならない。両側は深く切れ落ち高度感がある。とても怖い。それに足が届かない。躊躇していると、ガイドは容赦なく進めという。後ろ向きになり懸垂で降りる。
 最後はV級ほどの岩登りと雪のミックスで、ここでも下山のグループとの擦れ違いで待たされた。グロースグロックナー山頂着9時55分、十字架が建ち、あまり広くない山頂から素晴らしい景色が広がっていた。
 
山頂 山頂にて

 下山は10時15分発、途中の小屋(3454m)で昼食を取り、同じルートを慎重に下った。

グロースグロックナー

 14時40分には駐車場に着き、ブレットのツヴェット邸に17時半に戻った。