所属する山岳会の冬山講習会に参加した。
場所は谷川岳山麓「土合山の家」周辺である。
講師はインストラクターの資格をもつ我01会のO氏だ。会の主催だから受講料は勿論タダ。毎月1回講習会を行っているので有難い。
10時半現地集合して昼食を取り,午後から雪崩に関する講習だ。
まず,斜面を垂直に削って,層の観察だ。雪も地層と同じく何段にもなっていることが分かる。指を刺してみると更にその違いが分かった。
次に30cm角を作って上にスコップを当て,上から思いっきり衝撃を与えるとある所から層がずれる,そこが雪崩の起こる分かれ目か。
次に30cmの円柱を作り,抱きかかえるようにして軽く前に引くとある所から簡単に層が動く。
このように,雪崩は急斜面ではいつでも起こりうるといいうことである。
層の観察
次にビーコンの使用法の講習だ。
ビーコンは冬山入山では必需品である。難点は高価ということだ。
今回,それぞれ自分が持っているビーコンの使用方法の練習だ。
私の持っているのはピープス「フリーライド」。高価なものは手が出ないので,1本アンテナの一番安い物だが,価格はそれでも2万円以上する。単3乾電池1本で200時間持つというからコンパクトである。
ビーコンは「送信」と「受信」モードがあり,山に入る時は常に送信モードにしておく。誰かが埋まってしまって場所を特定する場合は全員が受信モードに切り替え捜索する。これが基本である。
離れたある位置にビーコンを埋め,場所を特定する練習をした。他の人が持っている3本アンテナの高価なものは,距離も長く,方向が⇒で表示され,3人まで同時に特定出来るすぐれものだった。私のは,20m近くまで近寄らなと受信せず,方向をあちこちに向けて探らなと特定せず,時間が少しかかった。でもこれは慣れてくれば他とあまり変わらない時間でできるそうだ。
ビーコン使用
でも,セルフレスキュー能力の高いチームなら是非3本アンテナのものが良いと思う。埋まった人の送信能力はどれも同じようだ。
以上で1日目の講習は終わった。
2日目は「イグルー」作成方法とケガ人の搬送方法である。
雪洞はお馴染みだが,「イグルー」を作る機会はなかなか無い。極寒の平な地では寒さから身を守る方法としては極めて有効なものだ。
Oさんの指導のもと,四苦八苦しながら「イグルー」作りをした。
基本的には縦30cm,横20cm,高さ20cm位の雪のブロックをスノーソーとスコップで切り出し,これを互い違いに順次積み上げていくわけだが,ブロックを積み上げただけではいつまでたっても円柱で上がすぼまらないので,ブロックを斜めに切り落とし内側に傾くよう積み上げなければならない。これが結構難しく不安定で崩れたりしながら
ようやく4.5人入れる「イグルー」が完成した。
出来上がったイグルーの前で
次に,ケガ人の搬送法だ。よくテレビのニュースなどでシートに包んで搬送する場面を目にするが,簡単そうに見えるが,なかなか難しいものだ。
まず,搬送している間にバラけないようしっかり固定しなければならない。しっかり固定といってもぐるぐる巻きにすればよいというものではなく,固定する場所や方法,絞め加減が決まっている。頭の保護や膝の下にクッションを入れることも重要だ。
また,私は今回ケガ人役(その可能性大だから)をやったわけだが,雪の上なので体がどんどん冷えてくるし,迅速な作業が要求される。平らな雪面のようでも,引かれた感じはまるで整形外科にあるローラーに乗っているようだった。引くほうも「重いネー」なんていう始末。(実際重いけど・・・)
手順としては,ツエルトを広げ,その上にシートを敷き,シュラフを開いて敷き(切ることもあるそうだ)そこにケガ人を横たえる。頭の下にクッション,膝の下にもクッション(上着を丸めたりして)を入れ,まず足首を固定する。
次に膝の位置,肘の位置,肩の位置で固定する。肩の位置は水平にすると首吊状態になるのでザックのベルトのような状態で斜めに固定する。
その後,側面を全部固定し,搬送者の引くロープを取り付ける。ざっとこのような手順だが,ダミーで私はわからなかったが,固定方法はそれ専門の方法があり,皆さん指導を受けながら四苦八苦しながらやっていた。
要は迅速に対応することが求められ,慣れれば短時間にでき,中の人の苦痛も少なくて済むというわけだ。何でもそうだが,1回や2回練習したからいいというものではなく,常にやっておく必要があると思う。
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