アバチャ山 2741m  2009.08.12〜15

 今年は父の入院などがあって,当初予定していた海外の山はキャンセルし,その代わりどこか簡単に行ける適当な所はないか探していたところ,アルパインツアーサービス社の「アバチャ山登頂4日間」を見つけた。しかもこのツアーは,同社の創立40周年記念特別企画で,ツアー代金が22万と安く,日程もちょうどお盆に当り休暇も取りやすく早速申込をした。
 アバチャ山は以前は新潟空港からウラジオストック経由でツアーが行われていたが,2年程前から成田から夏の間だけ臨時直行便が出るようになり,僅か3時間半のフライトで着けるようになった。
 カムチャッカは北海道のはるか北に位置し日本の面積の3分の2で中央山脈と東山脈があり,11月に入ると雪が降り5月までは冬,6〜8月が夏,9,10月が秋で,春がないとのこと。夏の時差は+4時間,夜10時を過ぎでもまだ明るい。
 今回のツアーは男性10名,女性7名である。この未知の世界にわくわくしながら楽しみに出かけた。

 日  程 
  【8月12日(水)】
   成田―ペトロパブロフスクカムチャッキー空港―パラトウンカ温泉郷
    
 9時5分予定通り成田を離陸し3時間半,ペトロパブロフスクカムチャッキー空港に到着する。空港の建物は小さな町工場くらいの大きさで,今でこそフラワーハイキングやアバチャ山に登る日本人が多く利用するようになったが,オフシーズンは閑散としているだろうと思われるほど小さなものだった。
 そんな小さな空港でありながら入国審査は厳しく(厳しいというより要領が悪く),日本では考えられないほど時間がかかり,全員が出てきたのが1時間後という有様だ。(VISAナンバーを別の数字を書けと強引に言い張るのには驚いた)
機内食 乗ってきた飛行機

 気温は17度,でも日差しがありそんなに寒くなく心地良い。車は日本製が多く(新潟港から盛んに輸出されている),今回乗った大型バスは韓国製だった。19時45分パラトウンカ温泉に到着する。部屋はまあまああだ。水も直接飲めるとのこと。今回一番心配したのは蚊の大群だったが,シーズンが過ぎていたのか刺されはしたが,それほどでもなかった。
宿 ホテルの部屋

 20時30分夕食を取る。ビールは小瓶2ドル,味はいまいちというところか。夕食が終わり100m離れた温泉へ向かった。プールのように広く水着着用だ。私はかなづちだが皆さんは上手に泳いでいた。(遊泳禁止だが)湯温もちょうどよく湯もきれいだった。
   

  【8月13日(木)】
   パラトウンカ温泉―アバチャ山麓―らくだ山ハイキング
    
 7時起床,8時ホテルで朝食を取り9時出発する。
 買い物の時間が今日しかないとのことで途中スーパーと市場へ立ち寄る。通貨はルーブルで日本では替えられなかったので現地でUSドルと交換する。20ドルと500ルーブル交換だった。サーモンの缶詰,イクラ,キャビア,鮭の燻製などかなり安価なので驚いてしまった。その代わり生野菜や果物が少ないように感じた。
市場(鮭の燻製が並ぶ)

 11時,正面にアバチャ山が見える所で写真タイムを取った。間もなく舗装された道を離れ雪解けの頃には川になっているという悪路を,軍用車のような巨大なタイヤの車で進んで行く。水が流れた溝を横切る時など体がジャンプするほど揺れた。途中で一回休憩したとき車から降りると,何とヒグマの足跡を発見する。
途中 乗って行った車 ヒグマの足跡

 2時間ほどしてアバチャ山麓に到着すると,辺りにはたくさんのジリスがいてちょろちょろ動き回っていた。これがまた愛嬌があって人懐こく食べ物をおねだりしてくる。餌を食べ過ぎてメタボリスが多かった。
愛嬌あるジリスが多くいた

 泊まる所はプレハブのような建物で,1棟2部屋で1部屋2段ベットが2つ,全部で8人定員だ。
 14時,昼食を取り,15時10分,近くのラクダ山へハイキングに出発する。ラクダ山は良く見えるが,アバチャ山の山頂はこのところ悪天候で雲に隠れていた。3日前に来たツアーは吹雪で登頂を断念したと聞く。
 ガイドを先頭に緩やかに砂礫の道を進んでいくと1か所えぐられた小さな流れの橋を渡る。さらに緩やかに進んで行き,2つのコブのあるラクダ山直下に到着する。この時点で,すでにばてた人がいた。ラクダ山は山頂を回り込むようにまず雪渓を登り急なガレ場の斜面を登り切るとようやくコブの中間に到着する。1時間20分かかった。下山は右のピークを通り反対側の急斜面をジグザグに下った。花はもうほとんど終わっていた。
らくだ山

 キャンプ場へ戻り19時夕食だ。ツアーリーダーが市場で買った蟹とイクラどんを用意してくれた。
夕食

  【8月14日(金)】
   アバチャ山へ
  
 夜は満点の星空で雲一つない絶好の登山日和となった。5時30分朝食を取り,6時40分出発だ。途中まで昨日と同じ道を行き途中で分かれて急な斜面を行く。ガイドがゆっくりペースで歩いてくれるので楽だが,そのペースに付いて来れない人が最初の休憩の時点からもう出た。標高2000mの昼食広場まで更にペースダウンしたにもかかわらずガイドに付いて歩けた人は約半分,あとの人はもうばらばらになり,休憩の度にその人達を待つはめになった。午後になると天候が変わるので出来るだけ早く行動したかったが,団体行動なのでしかたない。中にはイライラし始める人も出てきた。
噴煙のコリャーク山 影アバチャ 富士山のような登り

 昼食場所から2100mまでは緩やかな雪のトラバースとなり,いよいよ核心部へ突入だ。
 普段のアバチャ山は雪がなく夏の富士山のようだが,今年は3日前に雪が降り様子が少し違っていた。
 地元の人はアイゼンなしでどんどん登っていたが,我々は安全のため軽アイゼンを着けることにした。
 ここで止めると申し出た人以外の10人が行くことになった。
 しかし、もうばてて遅れる人やアイゼンが外れても自分で直せない人が混じっていて(そういう人にツアーリーダーはなぜ「NO」と言えなかったのか疑問)それ以上前進できず標高2400m付近で下山の決断が下された。
噴煙のアバチャ山

 雪の急斜面を下り,2100mの広場に着いた。時々ガスるものの,快晴・微風の絶好の登山日和だった。実力以上の所まで行けたと大喜びしている人がいる半面,途中下山を余儀なくされた人達は複雑な気持ちだった。
 2000mの広場で一回休み,そこからは登りと違うルートを取り富士山の須走りのような斜面を下った。2100mから一足先に下山した人達とあまり変わらない時間で17時,山麓までもどった。
 荷物をまとめて18時,山麓を後にする。
 オフロード車に揺られパラトウンカ温泉郷に着いた。夕食を取りシャワーを浴びて早々に寝た。


  【8月15日(土)】
   帰国の途に
 
 5時起床,6時朝食,7時10分出発する。
 辺りは霧が立ち込めている。
 
空港

 空港は100パーセント日本人ばかりだ。我々の他に4日前に日本から一緒に来た「クラブツーリズム」の人達も一緒だ。フラワーハイキングとのことだが,この時期に来てももう花は終わっていて,満足な観察はできなかったと聞く。
 霧のため離陸が遅れ,10時5分,ようやく離陸する。3時間半のフライトで日本時間朝9時35分,成田に到着した。
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