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Dvorak配列は本当に優れているのか? |
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―Dvorak配列の長所―
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| 上中下段のキーを押す割合 | ||||
| 上段 | 中段 | 下段 | ||
| Qwerty配列 | 英語 | 49% | 33% | 18% |
| 日本語 | 55% | 30% | 15% | |
| Dvorak配列 | 英語 | 24% | 67% | 9% |
| 日本語 | 13% | 74% | 13% | |
意外なことに、日本語ローマ字入力の方が英語入力よりもホームポジション列を使用する割合が多いのです、これは日本語の子音のあとに母音が必ずくるという特徴によるものと考えられます。
つまりDvorak配列では英語入力のみならず、日本語ローマ字入力でもほぼベストに近いキーアサインがされていると言ってもいいでしょう。
しかし、日本語ローマ字入力の場合問題もあります、その一つがDvorak配列の場合「k」が左手下段にあり「か」行が打ちにくいことです。
この対策として日本語をDvorak配列で入力する場合「c」で「か」行を入力するという方法が一般に取られています。ただその場合でも「きゃ」行が打ちにくいと言う欠点は残ってしまいますが・・・・。
各キーの詳しい使用率については「Qwerty/Dvorakにおけるキー使用率」をご覧ください。
個人的感想では、Dvorak配列の一番の魅力は連続打鍵が気持ちよく打てることです。
Dvorak配列はdigraph(2重音字)が打ちやすいように配列されています。
digraphとは「sh」や「tr」や「oe」のように2字で1音を表すもののことです。Qwerty配列もある程度、digraphの打ちやすさについて考慮された配列です(詳しくは「キーボードの歴史」を見てください)。
しかしQwerty配列は5本の指を使って行うタッチタイプを考慮して作られた配列ではないため、digraphを同指で打鍵しなくてはいけない場合が有ります(「ed
」「tr」)。それに対してDvorak配列は少なくとも頻出digraphで同指打鍵しなければ成らないものはあまり頻度の高くない「gh」くらいしかありません(詳しくは「Digraphの頻度表」を参照)。
それどころかDvorak配列は、頻出digraphがアルペジオ打鍵可能です。アルペジオ打鍵とは指の運動特性に適合した同手打鍵の場合に、非常に素早く打鍵できる現象の事を言い、あたかもピアノでアルペジオを弾くように指が高速に動くことから、名付けられたものです。 例えばタイピングに慣れた人なら、QWERTY配列で「 sa 」などを打鍵したときに、指が高速で動くのが分かるのではないでしょうか。 アルペジオ打鍵が可能かどうかはは指の運動特性だけで決まるものではなく、その組み合わせの出現頻度にも拠ります。 Dvorak配列では「 sh 」「 th 」「 ht 」「 tr 」「 st 」「 ch 」のdigraphがアルペジオ打鍵可能と考えられます(英字出現回数順グラフを参照)。
Qwerty配列では左右の手が交互する確率が50%なのに対してDvorak配列では70%弱の確率で左右の手が交互します。交互打鍵は両方の手を効率よく使うため、片方の手に偏るよりも基本的に入力効率的に優れています。
また交互打鍵はタイピングにリズムを生み出します。
リズミカルなタイピングは「タイピングの快適さ」のみならず、打鍵速度の向上・正確な文章入力にも効果があると言われています。
リズミカルなタイピングが「ドタバタ」としたタイピングに比べて主観的な面で「快適である」というのは、感覚的に分かって頂けると思います。
人間はタイピングするときに無意識にリズムを取ろうとしてるので、左右の手の交互打鍵はリズムを取り易くして、打鍵速度を向上させる効果があると言われています。逆にQWERTY配列では配列の不規則性がリズムを取るのを妨げているとの指摘もあります。
さらにリズミカルなタイピングは正確な文章入力を補助します、とくに自分に合ったリズムでタイピングするとき、誤打鍵が減ると言われています。
| 左右の手が交互する確率 | ||
| Qwerty配列 | 英語 | 50% |
| 日本語 | 50% | |
| Dvorak配列 | 英語 | 66% |
| 日本語 | 70% | |
上でも少し述べましたが、日本語ローマ字入力にはいくつかのキーアサインの問題があります。
日本語でよく出てくる「 k 」や「 y 」がアルファベットの出現頻度としては低いため、左手に配置されてしまっていることです、人によっては「
j 」が左に配置されていることも気になるかもしれません。
これらことは日本語を入力する場合多少問題となります、実際に「Qwerty/Dvorakにおけるキー使用率」の左右の手の使用率を見ると、Dvorak配列は英語入力時は左手46%・右手54%の使用率なのに対して、日本語入力時は左手63%・右手37%となります。
この対策として多くの日本語ローマ字入力Dvorak使いは「か」行を「 k 」ではなく「 c 」を使って入力しています。しかし「きゃ」行を入力する場合運指が複雑に成ってしまいます。また「じゃ」行も「
j 」を使うにしろ「 zy 」を使うにしろかなり問題なのではないでしょうか。
日本語ローマ字入力で左手の使用率が高いことは、Dvorak配列の狙いの一つである(不器用な)左手の打鍵を減らして、打鍵効率ならびに快適さの向上を図るという意図を没却してしいますし、またタイピングのリズムをくずしてしまう要因にもなります。
またUNIX使いの方は、「 / 」と「 | 」が小指に割り当てられてしまっているので、最初は少々苦痛に感じるかもしれません。
WindowsのショートカットキーやUNIXのコマンドはQwerty配列を元に割り当てられていますので、Dvorak配列では非常に打ちづらくなります。
もしあなたがDvorak配列に乗り換えたとしても、職場や学校などでQwerty配列を使用しなくてはならないの機会はあるでしょう。そこでDvorak配列を習得することはQwerty配列をタイピングすることに干渉するかが問題となります。私自身の経験では練習し始めた最初のころを除いて、ほとんどOwerty配列とDvorak配列の混乱はないです。
ちなみにDvorak配列はその他の新入力方式よりQWERTY配列との干渉が少ないとする実験結果もあります。
下のグラフはQwerty熟練者がQwertyを使い続けながら新配列を練習する場合、新方式がQWERTY配列でのタイピングに干渉を与えるかどうかの実験の結果です、ちなみに快速和文とはM式のことです。
しかしやはりQwertyでのタイピングに多少の悪影響が出ることは間違いないです。

(木村泉、大野健彦、松井龍也 「快速ローマ字配列およびドボラック配列とQWERTY配列の相互干渉」
情報処理学会研究報告、ヒューマンインターフェース研究会 53-7 1994)より抜粋
Dvorak配列の優位性を詳しく記述している文献には経済学の本が多いです、それはDvorak配列 vs Qwerty配列が、経済学で言う「 Lock in 」・「 path-dependence 」や「悪しきデファクト・スタンダード」の代表的なモデルとされたからです。つまり「かならずしも市場が正しい製品を選ぶわけではない」という命題の中心例として、遙かに優れていると言われているDvorak配列がQWERTY配列シェアをなぜ覆せなかったかがあげられたのです。
それに対してLiebowitz,S.J./Margolis,S.Eが1990年にJournal of Law & Economicsで反論を呈しました、そしてその論拠となっている2つの実験があります。1956のStrong博士のGeneral
Services Administrationでの研究と1997年のIBM研究所のA.
MillerとJ.
C. Thomasの研究です。
しかしこの二つの反Dvorakレポートには疑念がのこります。
まずStrong博士の研究ではQwerty配列とDvorak配列の効率の差はほとんど無いとしているのですが、しかしStrong博士自体公平でなかったとの指摘が為されています。Strong博士はDvorak・・・というか新しい画期的な配列の開発に係われなかったことが非常に不満だったと言われています。そういえば日本でも親指シフトの富士通に対抗して新JISが制定されたという似たようなこともありましたね。
またIBM研究所のA. MillerとJ. C. Thomasの研究では、たった2・3パーセントDvorak配列はQWERTY配列を優越するに過ぎないとしています、しかしIBM社は会社の方針としてDvorak配列の優位性を否定しているとの山田尚男教授の指摘もあります。
結論として、反Dvorakの実験はそれぞれ複雑な事情を抱えており、純粋な実験結果として受け取れないのではないでしょうか。それに対してDvorak配列の優位性を肯定する見解は情報処理の分野でも経済学の分野でも通説となっています。