12 体が知っている  2002.8.7


美味しい食事を作るにはまず素材から、と考えると野菜は必ず旬の力のあるものをいただくようになります。私自身も旬の野菜中心の食生活をしていますが、やはり季節の野菜は生き生きしていると言うか、エネルギーの強さを感じます。
さて、言葉としてはごくあたりまえに世の中に浸透している「旬」ですが、以外にその内容は理解してもらっていない様子。
「旬のものは良いって言うけど、一体何がいいのかイマイチ良く分らないのよね」なんてシンプルな疑問もよくいただくので、今回は旬について書いてみたいと思います。

一体「旬」とは何者ぞ?と辞書を引いてみると、
「魚介類や蔬菜(そさい・野菜や青菜のこと)、果実などの最も味の良い出盛りの時期(以上、大辞泉より引用)」
と書いてあります。
しかし、出盛りと言われても今はスーパーに行けば年がら年中同じ野菜が並んでいる時代。何が旬なのかいまいちピンとこないのが現状でしょうか?
でも旬になればその食物はたくさん採れる訳なのですから、普段より当然値段も安くなっている筈だし、もちろん栄養価だって高い。
この部分だけでも旬のものを食べる価値ってありますよね(笑)。

旬のメリットはまだあります。
例えば「身土不二」と言う考え方。これは、その土地のその季節に出来るものを食べる事を良しとした考えです。
日本には四季がありますから、その季節ごとに多様な作物が栽培されています。そこに住む私たちはその四季にそって出来るものを食べれば、自然に体のバランスがとれて健康を保てると言う仕組みです。

さてその四季に出来る作物ですが、大別すれば、春から夏は地上に出来る作物が多く、秋から冬にかけては地下に出来るものが多いです。そして基本的に、夏に出来る作物(きゅうりやなすび、トマトなど)は体を冷す働きがあり、冬の野菜(れんこんや大根、ごぼうなど)は体を暖める働きがあると言われます。
なるほど、と思いませんか?
その季節のものを食べることによって人間が過ごしやすくなるように出来ているんですね。旬はとても理にかなっている訳です。

では日本以外で採れる食物に対してはどうでしょう?
南方の暑い国で採れるものは、バナナやパイナップル、マンゴー、パパイヤなどのトロピカルフルーツ、コーヒー、そして砂糖などがあります。
南国のフルーツは「身土不二」以前に、輸送中に腐敗防止のために散布される農薬(ポストハーベスト)の害の方が問題だと思いますが、これは余談ですね。
この赤道に近い場所の食物は体を冷して細胞をゆるめる働きがあります。逆に北極や南極に近い寒帯のものは体を暖め、細胞を引き締める働きがあります。どちらもそこに住む人々にとっては理にかなった食べ物です。
そのどちらにも属さない温帯の日本に住む私たちが、例えば冬場に南国のフルーツを常食すればどうなるでしょう? 当然、細胞はゆるみっぱなしになりますね。そしてそこから風邪などのウイルスの侵入が容易になるので、病気にかかりやすくなります。
同様に砂糖の採りすぎも細胞をゆるませるので、常時砂糖を多く採る生活はイコール不健康と言っても良いでしょう。女性に多い水太りや貧血、冷え性もこのあたりが原因の場合が多いようです。
このことを考えるとやはり日本に住むなら日本で採れる物を食べる方が体には良さそうですね。

さて、旬でないものは食べていけないの?と言った疑問ですが、そもそも旬でない時にどうやってその作物を作るんでしょう?
例えば冬にきゅうりを作る場合。
ハウス栽培などで夏そっくりのニセモノの環境を作ってそこで育てる訳ですよね。そしてニセモノの環境で出来た季節狂いのきゅうりは、旬のものと比べて味も香りも当然、栄養も劣ります。しかも価格は割高。
・・・これをわざわざ、どうしても食べる必要性があるんでしょうか?
もちろん、季節はずれの食物の存在すべてを否定するつもりはありませんが、例えば冬に作るポテトサラダにわざわざきゅうりを入れなくても、青みとしてならブロッコリーやほうれんそう、刻みパセリなんかを入れてもそれはそれで良いのではないでしょうか?

自然からはずれたものを食べることは、それを食べる人自身の体が健康から遠ざかる用に思います。
自然の一部である人間も、うつろう季節に合わせて生きるのが1番簡単で、効率が良くて、気持ちがいいように出来ているのではないでしょうか?
どんな動物だって植物だって自然には逆らいません。逆らっても何もいいことないって、ちゃんと本能が知ってるんですよね。私たちの体もきっと知っているはずなんです。今、何を食べるべきなのかを。
飽食に流されるだけでなく、もっとじっくりと聞いて見ませんか?自分の体の声を。