11 働くカラダ 1 〜肝臓のお仕事〜 2002 .6.3

普段、自分のからだがどうやって自分を支えているのかなんて考えたりすること、ありますか? 病気の時には健康のありがたみってよく分りますけど、日常の中で意識することってまず、ないですよね。
そこで今回は少し趣向を変えて、体のどのような働きが人間の体を動かしているのかを簡単に紹介して行こうと思います。
第1回目は体内で脳よりも大きく重い臓器、「肝臓」です。

肝臓は胃の少し上、ろっ骨の後側にあります。小さな肝細胞の群れと毛細血管が集まった臓器で、血管や胆管などで他の臓器とつながっています。
肝臓の仕事は言わば化学工場のようなもので、その処理は血液が肝臓内をゆっくりと循環することにより行われます。
主に以下の働きをします。

1 栄養素(糖質・脂質・たんぱく質など)の代謝。
2 解毒と排泄。
3 脂肪を分解する「胆汁」を作る。

それぞれを具体的に紹介しましょう。

【1】まず食事によって体内に取りこまれた栄養素は胃で消化され、小腸で吸収されて血液により肝臓に運ばれて来ます。そして肝臓は、

・糖質をグリコーゲンという名のエネルギー源に変換して肝臓に貯蔵。
・脂質を中性脂肪へ変換、またコレステロールの処理。
・たんぱく質をアミノ酸に分解して各種酵素を合成。

と言った仕事をこなします。
すべての栄養素は肝臓が処理することによって初めて使える状態になるのです。そしてこうやって処理されたものは、必要に応じて再び肝臓内で分解・生成され、血液に乗って全身へ送られて行きます。数日間、何も食べないでも人間が死なないのは、肝臓のそう言った性質が利用されるからです。

逆に暴飲暴食は、代謝処理を休みなくフル稼働させ続けることになるので、結果肝臓は疲れてダウンしてしまいます。簡素な食事や断食が良いと言われるのは、そうすることによって胃腸だけでなく肝臓を休める働きがあるからなのです。胃腸の疲れは肝臓の疲れに、そして腎臓の負担へつながります。
「バランス良く、ほどほどに食べる」。簡単なようで難しいことですが、とても大事ことです。

【2】外から入ってきた有害物質(薬剤・たばこ・農薬・アルコール・食品添加物など)や体内で出来た有害物質を、無害かつ水に溶けやすくして排泄を促します。もちろんその処理能力には限界がありますから、限界を超えると様々な肝臓障害を引き起こします。

例えば過剰な飲酒は、「肝臓がアルコールの処理に追われるあまりに脂肪の処理まで手が回らず、中性脂肪が大量に蓄積して肝臓が腫れる」と言ったことを引き起こします。いわゆる脂肪肝の発症です。ちなみに脂肪肝はバランスを欠いた食生活が原因の場合もあります。

脂肪肝だけに限らず、過剰な有害物質の摂取は肝機能の低下を招きます。アルコールはもとより、様々な化学物質を体内に入れない努力も、これからを生きる私たちには必要ではないでしょうか。

【3】胆汁は、古くなった赤血球を処理したカスや余分なコレステロールなど、肝臓が化学的処理をすることで生じる廃棄物を利用して作られます。作られた胆汁はいったん胆のうと言う所にたくわえられてから十二指腸に流れこみます。そして脂肪の分解に使われます。言わばゴミになったものから、新しいものを生み出して役立てる。見事なリサイクルの仕組みですね。

さて、これだけハードな仕事をこなす肝臓ですが、実は非常に忍耐強くちょっとやそっとの事では音を上げません。
細胞が破壊されても再生する能力が活発で、おまけに容量もかなり大きいので、自分の限界ギリギリになるまで「助けて」とは言えないのです。
肝臓が「沈黙の臓器」といわれるゆえんはここにあります。だから症状が出た時には病状がかなり進行していることがとても多い。

頑張り屋の肝臓が弱っているサインは体の末端にも出てきます。
肝臓が腫れてくると体内の脂肪の分解が滞るので「おでき」や「ものもらい」、「痔」などが出来やすく化膿しやすくなります。
また肝臓病の人は赤ら顔の赤っ鼻の人が多いのですが、これは血液が濃くドロドロしているので、頭にのぼった血がうまく回りにくくなるためです。
また肝臓は眼とも、とてもかかわりが深いので、肝臓が悪くなると白目が黄色くにごって来ます。

さあ、鏡を見てチェックしてみましょう。
思い当たることがあれば、ぜひとも肝臓をいたわってあげて下さいね。