ポテトマな日々 メインディッシュ |
「僕はぁぁぁ今ぁぁぁ、幸福ぅ幸福ぅ、ああ幸福ぅ」 ベーゴマのように回転しながら岩田が現れた。 機体調整をしていた遠坂はそれを一瞥して視線を戻す。岩田の回転がとまり、ねじれたポーズのまま岩田は指をつきつけた。 「フフフ。お早ーぅございますタイガァ。ご機嫌はいかがですか」 「貴方が現れたのですこし悪いです」 ムスっとした調子で遠坂が言う、岩田は途方もない笑みを浮かべた。 「フハハハそれは結構!いやじつに結構!」 岩田はばふばふと手を叩いた。 「…なにか用ですか?忙しいのですが」 「フフフ、つれませんね!そこがまたイイ! クククですがこれを見てもまだそんなことが、いえますかねぇぇ」 そういうともったいぶるように岩田は懐に手を入れ、遠坂の顔色を伺う。 その眉間が訝しげに歪むのを確認すると、岩田はそれをすばやく取り出し、 一回転の後突きつけた。 瞬時に遠坂の顔色が変わる。 「なっ…んですかこれはっ!!!」 写真には今まさにシャツを羽織るべく四苦八苦している遠坂の姿が激写されている。 普段はがっちりと閉められた襟元から垣間見ることもできない肌も露で、 それは遠坂の理性を蒸発させるに十分な代物だった。 みるみるうちに遠坂の顔が真っ赤になる。 「なんでそんなものを、なんでもってるんですか! だれがとったんですか!!!!」 岩田がぴらぴらと閃かせる写真に遠坂が掴みかかる、 が岩田は優雅にそれをかわした。 「フフフフ、秘密です、ひみつぅぅ」 「かえせっ!このっ」 ひらりひらりと遠坂の繰り出すこぶしやら手やら足やらを華麗にかわす岩田。もはや遠坂は言葉を整える余裕すらない。 「返せといわれましても、これは僕のモノですからねぇ〜」 「黙れ!僕はそんなこと許可していないっ!!」 「フフフいいではないですかこの程度の写真。男子なのですからぁ」 「それを貴方が持ってることが嫌なんです!!!!」 「ならば!」 びしぃっと鼻先に突きつけられる指。遠坂が一瞬怯む。 「ならば女子ならばいいのですか?フフフ、これを所持していてもォォ」 んぐぐと歯軋りをする遠坂の周りを岩田はこれ以上ないくらいに愉快そうにふらふらとまわった。 「複製品を全女子に配りあるくもしくはサンドイッチマンと化して 新市街を練り歩く私ィィ、それもいいですねえフフフ」 あまりの怒りに思考が停止直前になっていた遠坂はその脳がバーストしたらしく、突然弾けるようにその浮遊物体を殴りとばす。 岩田は真っ白な幌布のようにその拳とパンチによるベクトルに絡みつきながらなぎ倒された。 「きっさっまっは、いつもいつもいつもいつも!」 吹き飛んだ岩田が不自然な空気抵抗を受けつつゆらりと地面に落ちる寸前、 続けて繰り出される回し蹴りによってその体は再び空中に浮き上がった。空中コンボである。 「今日という今日は、もう、死ね!」 言葉と同時に流れるようなかかと落としが決まり、岩田は地面にたたきつけられた。飛び散る液体。静寂の後、血溜りが広がる。 はあはあと荒ぐ息を静めながら、遠坂は動かぬ岩田を見た。まさしくボロ雑巾といった様子だ。ピクリとも動かない。 ちょっとやりすぎただろうか、と遠坂が思った瞬間、その姿が忽然と掻き消えた。 「フハハハハハ、甘い!甘いですよタイガァァ!」 背後から響く笑い声。岩田とはいえまさかあれだけの攻撃を受けて平気なのか。遠坂は狼狽しつつも振り返る。 目の前に血みどろの岩田が力なく崩れ落ちていた。 数秒の静寂。 「効いてるじゃないですかーーーー!!!」 遠坂は、思わず突っ込みました。 「フフフ、そのツッコミ、イイ!」 岩田は、ぐっと親指を立てました。 2002/ |
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