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TO BE THERE


 戦況はいよいよ厳しくなった。
 売店はとうの昔に閉じ、もう開く事はなさそうだ。
 教室の隅には埃がつもり、それを掃除する暇もなくなった。
 生活はひどく乱され、人々の顔に疲れが出ている。
 以前はよく愚痴をこぼす人もいたが、今では幻獣の『げ』の字も聞きたくないらしく口をつぐんでいる。
 出るのはため息ばかり。

 そんな中でさえ、陽気に踊る者がいた。
 「お〜や、遠坂くん。こんな所でさぼっちゃダメですよぉ」
 岩田の瞳の下だけクマがない。
 (ああ、そういえば、化粧をしていますしね)
 「変な事を言わないで下さい。
  買い出しでジャガイモを買って‥‥その‥‥重くて少し座っていただけです」
 「フフフ、それはそれはご苦労様」
 とてもいいとは言えない顔色。
 (所詮化粧ですけどね)
 陽はまだまだおりる気配もなく、暑かった。
 岩田の目が止まる。
 「その‥‥暑そうですね」
 「フフフフフ、ご心配なく。
  この服には世界に実証された冷却効果を持つ保冷剤がもうどっさり」
 などとすぐバレる嘘をつく。
 もしかしたら、つっこんでほしいのかもしれない。
 ははは、と自分が乾いた笑いをすると、彼は目を細めて笑った。
 「この生活は辛いですか?」
 岩田が陽気な空とは裏腹に涼しげな顔できいた。
 「ええ、まぁ」
 「これは誰のせいなのでしょうかねぇ?」
 「‥‥」
 咄嗟に、人間だ、と言いそうになった。
 だが、この人物にそんな事を言うべきではない。
 どこか危険な人物。
 暑い中、そんな事を考えていると、岩田は返事をせかすように激しく回りだす。
 この変人の変な動きに慣れてる自分。
 「誰でしょう」
 言葉をにごすと岩田は嬉しそうに笑う。
 はたして、どんな答えを彼は欲しかったのだろう。
 「敵を憎いとは思いませんか?」
 「敵?」
 ええ、とうなずく。
 彼の鋭い目で見つめられる、まるで試されているよう。
 「敵は、倒します」
 「ふふ‥‥」
 「何を笑っているんですか」
 「いいえ〜、別に」
 岩田は踊りを止めると、今更ながら暑い、という動作をする。
 手をパタパタと扇いでいるのだが、その顔はどうみても暑そうにはみえない。
 「ねぇ、私があなたの敵だったらどうします?」
 それに少し驚いて、
 うつむいて、
 目をつむる。
 それから、息をすって、
 彼の鋭い瞳を視る。
 「あなたを倒します」
 少しは何か微妙にでも反応があるかと思った。
 けれど、彼は何の素振りもみせない。
 「それは頼もしい」
 彼は笑う。
 それは皮肉の笑いか。
 それとも、本当にそう思ってなのか。
 私の持ってきた二つあるジャガイモ袋の一つを持ち上げ、岩田は歩き出した。
 「あっ、待って下さい!」
 「フフフ。おいてっちゃいますよ」

 今はもういつも通りに笑っている。














B.D.O.の岩澄さんよりキリ番にていただき掲載許可を頂いたものです。
フフフ。この肌にピリピリくるかんじがスゴクイイですね。
なんとなくラブも感じるんですけどね。気のせいですか。まやかしですか。幻覚ですか。いやいや


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