傾月  場面4



ガツンッと一度引っかかったが、少し戻してから思い切り力をいれると、
さびをいくらか落としながら蝶番が開く。

「あーーー、なんだけっこう風はいるじゃねえか、ここ」

ふうっと抜けていく風がまとわりつく湿気を四散させ、
浴びる光の感触まで違う気がして、エースは伸びをした。
と、バサバサバサバサバサと机の上の紙束が背後に飛んでいく。

あああ、と声を上げてそれを追いかけ、
わずかに開いていたドアを押し込んで、緩んだ風に舞い落ちるそれをはっしと掴む。

散らばった紙を拾いながら、エースはふと、不意に窓を。その先を振り仰いだ。
空は白いほどに青くて、まだ日は傾いでさえ居なくて。
それがなぜか安心させる。

一度息をついて、立ち上がった。

「ようし、もういっちょ頑張りますかねぇ〜」

肩をまわしながら机に向かうエースの背に、
また不吉な足音が迫っていたのだが、それはまた別の話。


END







2002/11/29
結局勤労感謝週間となってしまいましたがとりあえず完結!
してねえ!!!!!
ということでそのうち続くかもしれません。
そして続けば続くほどエースが不幸になるでしょう。(予言

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