ゲイドの冒険 |
プロローグ 「たーーーいしょっ」 ゲドは、ノックとほぼ同時に部屋の中に滑り込んできた人影をちらと一瞥して、ため息をついた。 そして、読んでいた本に視線を戻そうとする、が、すでにその男はテーブルの向かい、ゲドの目の前にちゃっかりと腰を下ろしていた。 無視しようと思っていたが、がっちりと視線が合ってしまう。ゲドは、再度溜息を吐こうとして胸に吸い込んだ空気を、力無く吐き出すように声にした。 「…なんだ」 こうして相手がここにいることで、だいたい答えはわかっているが、それでも返答を期待しない質問をおざなりに投げかける。 なにもいつもこんなにも来訪者にむけて不機嫌丸出しの態度をとるわけではない。 べつに、この男だからというわけでもない。 ちゃんと、しかるべき理由があって、このにこにことこちらとは対照的な表情を浮かべた男を拒絶しているのである。 話は数週間前にさかのぼる。 |
1・事の始まり 2・悪夢の始まり 3・暗黙の始まり 4・自覚の始まり 5・情熱の始まり ・ ・ |
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